自動車保険の「等級」とは?等級が上がる・下がる条件と引継ぎについて【2022年版】

ドライブ

「自動車保険の等級ってなに?」
「自動車保険の等級によって保険料が変わるって本当?」
「自動車保険の等級を上げる方法を知りたい!」

このように、自動車保険の等級について詳しく知りたいという方は多いのではないでしょうか。

この記事では、自動車保険の等級の決まり方をはじめ、等級を上げる方法などについて詳しく紹介しています。この記事を読むことで、自動車保険の等級や保険料の仕組みなどの基礎知識が身につき、今後さらに安全運転を心がけたいと思うようになるでしょう。

自動車保険の等級について詳しくなりたい方はもちろん、昨年よりも自動車保険の等級が下がり、保険料が上がったことに対して疑問があるという方も、ぜひご一読下さい。

Chapter
自動車保険の「等級」の基礎知識
自動車保険の「等級」はどのように決まるの?
[無事故]1年間事故を起こさなかった場合(保険を利用しなかった場合)
[有事故]1年間事故を起こして保険を使った場合
[事例]13等級で3等級ダウン事故と1等級ダウン事故を起こした場合
「等級」を上げるにはどうすればいい?
安全運転をする
複数所有新規の割引制度を利用
保険を使うか見極める
等級が下がった時に他の自動車保険に入りなおしたらどうなる?
自動車保険の「等級」の引継ぎはどうなる?
等級を把握して安全運転を心がけよう

自動車保険の「等級」の基礎知識

自動車保険の等級は1等級(最低)から20等級(最高)まであり、等級が上がれば保険料は安くなり、下がれば高くなります。初めて自動車保険に入る場合は、一般的に6等級から始まります。等級によって保険料の割増引率が決まっており、20等級で63%の割引となり、逆に1等級では64%の割増しになります。

また7等級からは無事故契約者と有事故契約者で割増引率が異なり、有事故契約者の割引率は3年間低くなります。ちなみに、6等級までは無事故契約者がいないため区分はありません。

有事故の割増引率を適用する期間を「事故有係数適用期間」といい、初めて加入する場合は0年(下限)、上限は6年となっています。

保険料に影響する等級や事故有係数適用期間については、次の章で具体的に解説します。

自動車保険の「等級」はどのように決まるの?

初めて自動車保険に加入する人は、6等級から始まります。また2台目の車など条件を満たせば7等級から始まることもあります。ではその後の等級はどのように決まるのでしょうか。

[無事故]1年間事故を起こさなかった場合(保険を利用しなかった場合)

1年間事故を起こさなかった場合や事故を起こしたが保険を利用しなかった場合は、「無事故」となり、翌年の等級が「1」上がります

また「事故有係数適用期間」は1年経過ごとに「1」引かれます。初めて自動車保険に加入する人など事故有係数適用期間「0」の場合は引かれません。

[有事故]1年間事故を起こして保険を使った場合

事故を起こして保険を使った場合の等級の変動は、事故内容によって3等級ダウン事故1等級ダウン事故ノーカウント事故に分かれます。
なお「事故有係数適用期間」は事故の有無にかかわらず、1年経過ごとに「1」引かれます。

[事例]13等級で3等級ダウン事故と1等級ダウン事故を起こした場合

ここまで無事故と有事故の場合に分けて、等級と事故有係数適用期間について解説しました。ここでは仮に13等級だった場合で事故により等級がどのように変動するか具体例で確認しましょう。13等級時に3等級ダウン事故が1件、翌年には1等級ダウン事故が1年のケースです。
保険を使わない方が良いパターンもある

大きな損害を被る事故の場合、損害を補てんするのが難しいため保険を使うと思いますが、数万円程度の損害ではどうでしょうか。

保険を使うと等級が下がり有事故の割増引率が適用されます。たとえば13等級で3等級ダウン事故により保険を使うと割引率は49%から23%となるだけでなく、13等級に戻るのは4年後です。そのため保険金が支払われたものの複数年で考えると総支払額が増えてしまう可能性もあります

ここで保険料のシミュレーションで確認してみましょう。
上記は、13等級時に3等級ダウン事故を1件起こし、保険を使った場合と使わなかった場合の5年間の保険料推移です。自動車保険は車種や地域などさまざまな条件で保険料が決まりますので参考程度ですが、このシミュレーションでは42,500円の差があります。有事故の割引率が適用される3年間は1万円程度保険料が増え、無事故の割引率では3,000円程度となります。

事故例でも考えてみましょう。たとえば交通事故により車両保険から4万円(損額額9万円/免責金額5万円)支払われるとします。保険を使うと4万円は受け取れるため、免責金額分の5万円を自己負担します。保険を使わなければ9万円を自己負担します。
当然ですが、自己負担額の差が42,500円以内であれば保険を使わない方が保険料をおさえることができます。保険料の差は6年目以降も続きますので、数万円程度の損害額なら自己負担した方が良いと判断することもできます。20等級までですので、無事故を続けると保険料の差はなくなる点にも注意が必要です

保険会社を換えると適用される割増引率が変わる可能性があり、シミュレーション通りとはなりません。また保険料率が改定されたり、補償内容を見直したりすることでも保険料は変わります。

事故時の家計状況によっては4万円受け取った方が良い場合もあります。数万円程度の損害額の際に迷う可能性がありますが、事故時に保険金が必要かどうかも判断材料にすると良いでしょう。

「等級」を上げるにはどうすればいい?

ここまで見てきたように、1年間事故を起こさなければ、次年度の等級は1等級上がります。そのため、等級を上げるためには、事故をしない運転を心がけることが大切と言えるでしょう。

また、その他にも等級を上げるために知っておくと役立つことがあります。

ここからは、等級を上げるために知っておくと良い事柄について紹介していくため、ぜひ参考にしてください。

安全運転をする

1年間無事故であれば、1等級ずつ上がっていくのは前述の通りです。

現在では、1年間に2つや3つ等級が上がる方法は存在せず、毎年等級を上げていくためには、安全運転を心がけるしか手はないでしょう。

車を運転する際には、「運転をする限り誰もが事故と隣り合わせ」ということを肝に銘じておくことが大切です。

自分の運転を過信せず、時には初心に帰って自分の運転を見直してみるのも良いでしょう。

複数所有新規の割引制度を利用

新規加入の自動車保険の場合、6等級からのスタートです。しかし、2台目以降の車を所有する場合は、一定の条件を満たしていれば、「複数所有新規の割引制度」を利用できる場合があります。

この割引を使えば、6等級からのスタートではなく、1つ上の等級である7等級目からスタートできます。

そのため、2台目を購入する際は、この制度が使えるかどうか確認しておくと良いでしょう。

保険を使うか見極める

事故を起こすと等級が下がるのは前述の通りですが、これが適用されるのは保険を使った場合のみです。つまり、保険さえ使わなければ、たとえ事故にあったとしても等級は下がらないということになります。

どんなに自分が気を付けていたとしても、事故に巻き込まれる可能性は0ではありません。

万が一、事故を起こしてしまった場合、保険を使えば等級は下がり、次年度の保険料も上がります。しかし、保険を使わなければ、車の修理などにかかる費用は全て実費となるでしょう。

そのため、どちらの方が負担が大きいかを見極めたうえで、保険を使うかどうか決めることをおすすめします。

等級が下がった時に他の自動車保険に入りなおしたらどうなる?

等級が下がってしまうと、保険料が上がり負担が大きくなります。保険料の負担を軽減させるために、等級が下がった状態を隠し、新しい自動車保険に入りなおすと言ったこともできないため注意が必要です。

たとえ過去の等級や事故歴を隠し、他の自動車保険に加入したとしても、保険会社内には情報交換制度というものがあるため、そのような不正はできません。

等級を上げるためには、安全運転を心がけるのが一番の近道と言えるでしょう。

自動車保険の「等級」の引継ぎはどうなる?

自動車保険の等級には、引継ぎ制度があります。

新しい車に乗り換える場合は、「車両入替」という制度を利用できます。車両入替とは、自動車保険の対象を新たに購入した自動車に変更する手続きを行うことで、これまでの等級が引き継がれます。

手続きには車検証と変更前の車の累計走行距離、新しい車の累計走行距離が必要ですので、自動車の売却をする場合は事前に記録しておかなければなりません。

また保険料は車の種類で異なりますので、高くなる場合は保険料の追納し、安くなる場合は差額が戻ってきます。

保険会社を変更する場合、一般的にどの保険会社に変更してもそれまでの等級は引き継げますが、現在の保険会社の解約日と次の保険会社の契約開始日が途切れないようにすることが重要です。

なお家族に引き継ぐ場合、同居をしていることが条件になりますが、例外として夫婦間は別居していても可能です。

等級を把握して安全運転を心がけよう

自動車保険には、ノンフリート等級別料率制度で割引率が決められた1~20の等級があります。無事故だと翌年の等級が1等級上がり、事故を起こせば内容次第で3等級まで下がります。

等級の引継ぎは、家族間では夫婦間を除いて同居していることが条件になります。また、乗り換えや保険会社の変更の際も引継げますが、契約期間中に保険を使った場合は保険料が高くなることがあるので注意が必要です。
安全運転は自分や周りの人を守るだけでなく、自動車保険の負担を軽くすることにも繋がります。現在の自分の等級がどこなのか分からないという方は、まずは保険証書等で自分の等級を確認してみましょう。

そして今日から、今まで以上に安全運転を心がけると良いでしょう。

藤 孝憲|とう たかのり

日本FP協会所属のファイナンシャルプランナー。企業に属さない中立公正なファイナンシャルプランナーとして、2006年に独立。保険商品や住宅ローンなどの金融商品の選び方を中心に情報発信しています。保険分野については、約30社の生損保商品を販売していた元保険募集人としての経験や情報を生かした執筆をしております。保険商品は難しいかもしれませんが、複数の商品を比較して初めてそれぞれの商品の特徴が浮かび上がります。記事を通して、商品選びの参考になれば幸いです。

【保有資格】
CFP®、宅建士(未登録)、住宅ローンアドバイザー、証券外務員二種、エクセルVBAエキスパート

藤 孝憲

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