自動車保険は確定申告や年末調整で控除対象になる?【2022年版】
更新日:2024.09.09
保険に加入していると年末に保険料控除証明書が届き、会社に勤めている場合は保険料控除証明書を提出しているという方も多いのではないでしょうか。
保険料控除証明書をもとに年末調整や確定申告で控除を受けられることがあります。では自動車保険は控除対象となり節税ができるのでしょうか。
この記事では、年末調整の基礎知識や所得税の控除対象、自動車保険料を経費として計上できるケースなどについて紹介します。
この記事を読むことで、自動車保険料を経費計上する際の勘定科目や仕訳のポイントも把握できるため、適切な会計処理に役立てることができるでしょう。
自動車保険料の控除や経費計上について興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
年末調整とは
会社員などの給与所得者は、給与や賞与から税金が天引きされています。所得税の天引き金額は概算で計算されており、年間の所得額が確定した時点ではじめて正しい税額が算出できることになります。
天引きで徴収された金額と確定した正しい税額を比較して精算する手続きが「年末調整」です。払い過ぎた分は還付され、不足分は追加納付するしくみになっています。
出典:給与所得者(従業員)の方へ(令和3年分)|国税庁
天引きで徴収された金額と確定した正しい税額を比較して精算する手続きが「年末調整」です。払い過ぎた分は還付され、不足分は追加納付するしくみになっています。
出典:給与所得者(従業員)の方へ(令和3年分)|国税庁
一定の保険料は所得控除の対象
年末調整ではいくつかの所得控除が受けられます。例えば基礎控除や配偶者控除のほか、年度内に支払った一定の保険料も控除の対象です。
所得控除が認められるとその分だけ年間所得金額が減ることから、支払うべき所得税が少なくなります。何が控除対象となるのかをきちんと把握し適切に申告することで、節税につなげることができるでしょう。
出典:給与所得者(従業員)の方へ(令和3年分)|国税庁
所得控除が認められるとその分だけ年間所得金額が減ることから、支払うべき所得税が少なくなります。何が控除対象となるのかをきちんと把握し適切に申告することで、節税につなげることができるでしょう。
出典:給与所得者(従業員)の方へ(令和3年分)|国税庁
控除の対象となる保険料は?
保険に支払う保険料については年末調整や確定申告で控除の対象となりますが、保険の種類によっては控除できないものもあります。
会社勤めの場合、保険料控除証明書によって年末調整をしてもらいますが、控除の対象とされるのはおもに生命保険・個人年金保険、介護保険・医療保険、地震保険です。これ以外の保険については控除の対象にはなりません。
会社勤めの場合、保険料控除証明書によって年末調整をしてもらいますが、控除の対象とされるのはおもに生命保険・個人年金保険、介護保険・医療保険、地震保険です。これ以外の保険については控除の対象にはなりません。
自動車保険料は確定申告・年末調整で控除の対象外
以前は損害保険料控除があり、損害保険も控除の対象でしたが、令和2年現在では地震保険と一部の限られた損害保険以外は控除の対象外となります。自動車保険の保険料も火災保険や傷害保険と同様、支払った保険料を控除することはできません。
自動車保険料は経費として申告できる場合がある
自動車保険は確定申告や年末調整の所得控除の対象とはなりませんが、自動車の用途によっては保険料を必要経費として申告できる場合があります。
ここでは、経費として計上できるケースについて見ていきましょう。
ここでは、経費として計上できるケースについて見ていきましょう。
個人事業主は事業用の車であれば、保険料は必要経費として計上できる
自動車を事業用で使っていれば、必要経費として計上することができます。仕事のみで使う社用車であれば保険料全額が対象となり、自家用車も兼ねている自動車であれば一部を経費に計上することができます。たとえば事業用とプライベートとの使用割合がそれぞれ50%であれば、経費として保険料の半分を計上することができます。
また保険料を必要経費とするためには、領収書やクレジットカードの利用明細書、銀行口座の引き落とし履歴など、支払い実績がわかる書類が必要となります。詳しくは、お近くの税務署や税理士に相談するとよいでしょう。
また保険料を必要経費とするためには、領収書やクレジットカードの利用明細書、銀行口座の引き落とし履歴など、支払い実績がわかる書類が必要となります。詳しくは、お近くの税務署や税理士に相談するとよいでしょう。
会社で支払う保険料は損金計上
事業用として使う自動車について、法人名義で自動車保険に加入し保険料を会社で支払っている場合は、その保険料を損金として計上することができます。
損金計上することで法人税の対象となる会社の利益が少なくなるため、法人税の節税につながるでしょう。
出典:法人向け自動車保険とは|チューリッヒ保険会社
損金計上することで法人税の対象となる会社の利益が少なくなるため、法人税の節税につながるでしょう。
出典:法人向け自動車保険とは|チューリッヒ保険会社
自動車保険の勘定科目
前述のとおり、事業用として使用している自動車の保険は経費として計上することが可能です。
自動車保険の保険料は、基本的に「損害保険料」もしくは「車両費」という勘定科目で計上します。ここでは、自賠責保険、任意保険それぞれの会計ルールについて見ていきましょう。
自動車保険の保険料は、基本的に「損害保険料」もしくは「車両費」という勘定科目で計上します。ここでは、自賠責保険、任意保険それぞれの会計ルールについて見ていきましょう。
自賠責保険
自賠責保険の保険料は「損害保険料」もしくは「車両費」のどちらかで扱えば問題ありません。ちなみに「車両費」は、自動車の維持管理にかかわるあらゆる費用に対して使える勘定科目です。
なお、自賠責保険は法律で加入が義務付けられていることから、保険期間が複数年に渡っていても保険料を支払った時点でその全額を計上することが認められています。
出典:自賠責保険について知ろう!|国土交通省
なお、自賠責保険は法律で加入が義務付けられていることから、保険期間が複数年に渡っていても保険料を支払った時点でその全額を計上することが認められています。
出典:自賠責保険について知ろう!|国土交通省
任意保険
任意保険も自賠責保険と同様に「損害保険料」または「車両費」として仕訳しますが、複数年契約の場合は注意が必要です。
複数年契約の任意保険料は、年度ごとに均等に金額を振り分ける「期間按分」を行って分割し、当年度分だけを計上します。翌期以降の保険料については「長期前払い費用」として資産計上しておくことを忘れないようにしましょう。
複数年契約の任意保険料は、年度ごとに均等に金額を振り分ける「期間按分」を行って分割し、当年度分だけを計上します。翌期以降の保険料については「長期前払い費用」として資産計上しておくことを忘れないようにしましょう。
節税対策よりも自動車保険を見直し保険料の節約を!
個人が自動車保険の保険料を年末調整などで控除することはできません。そのため保険料の負担を軽減したい場合は、自動車保険の見直しをしてより保険料の割安な保険会社に乗り換える必要があります。必要のない補償を外す方法もありますが、本当に必要ない補償か十分検討してからにしましょう。
自動車保険の保険料を経費として認められるのは個人事業主や法人のみで、プライベートで使用する場合の保険料は控除することができません。保険料の負担を軽減したいのであれば、自動車保険を見直すことによって保険料の安いプランに変更するなどの工夫をしましょう。各社が販売している自動車保険の保険料や補償・サービスを比較して、自分にとってベストな自動車保険を探してみましょう。