自動車事故の過失割合とは?決まり方や損をしないポイントについてわかりやすく解説【2022年版】

高速道路 軽自動車

不運にして交通事故に遭ってしまった場合、事故の当事者双方にその責任(過失)があれば、発生した損害をどう分担するか、相手方と話し合いで過失割合を決めることになります。

過失割合の交渉では保険会社も関わってきます。適正な過失割合で合意できるか、相手方の保険会社の思惑通りに交渉が進まないか不安に感じる方もいるでしょう。

この記事では、過失割合の基本的な決め方や、代表的なケースにおける過失割合について紹介しています。過失割合について基本的な事柄だけでも知っておくことで、相手方との話し合いを納得のいくものにできる可能性は高くなるでしょう。

もしもの時のために、過失割合について少しでも知識を身につけたいと考えている方は、ぜひこの記事を参考にして下さい。

Chapter
自動車事故の過失割合の基礎知識
自動車事故の過失割合はどうやって決まる?
四輪車同士以外の事故パターン別にみる過失割合の決まり方
損をしないポイントとは?
自動車事故の過失割合について少しでも理解しておこう

自動車事故の過失割合の基礎知識

自動車事故の「過失割合」とは、交通事故を起こしたそれぞれの当事者がその事故について有する責任の割合をいいます。全員の過失割合を合わせると100パーセントになるため、たとえば当事者が二人だった場合、一方の過失割合が50%であれば、もう一方の過失割合は自動的に50%ということになります。

一般的に当事者のうち過失割合が大きい方を加害者、小さい方を被害者とよびますが、常に加害者の過失割合が100%になるわけではありません。過失割合が80対20の場合には、被害者であっても20パーセントの過失割合を負っているため、それに応じた責任を負担する必要があります。

加害者が制限速度を30キロ超えたことによる事故であっても、被害者の走行速度も制限を5キロオーバーしていたとなれば、たとえ被害者であっても責任は免れないという点を基礎知識として持っておくと良いでしょう。

自動車事故の過失割合はどうやって決まる?

過失割合は、基本的な割合をもとにして、個々の状況と過去の判例を照らし合わせて決められます。基本となる割合を一部紹介します。

信号機がない同幅員の十字路で一時停止を怠った自動車と、徐行を怠った自動車が出合い頭に衝突した場合はどうでしょうか。この場合、一時停止義務違反をした車の運転手の過失割合が80%制限違反をした車の運転手の過失割合は20%となります。これは、一時停止線がある道路を走行する場合には停止するとともに、交差路を走る自動車を妨げてはならないと法律で明記されているためです。
また前方の自動車が進路変更中に、後続の自動車と接触事故を起こした場合は、前者が70%後者が30%の過失割合となります。道路交通法で進路変更中に周りの交通を乱すことが禁じられているため、進路変更中の自動車のほうがより大きな責任を負わされるというわけです。一方で、後続車も前方をしっかり確認していれば避けられた可能性もあるため、まったく責任がないとはみなされません

四輪車同士以外の事故パターン別にみる過失割合の決まり方

上の例では四輪車同士の事故における過失割合を紹介しましたが、四輪車と事故を起こしたのが二輪車(バイク)や自転車などの場合は、四輪車同士の事故の場合とは基本的な過失割合が異なります。

また、同じ四輪車同士の事故であっても、事故を起こした場所が一般道路か高速道路かによって過失割合が変わることもあるのです。

ここでは、四輪車同士以外の事故や高速道路での事故における過失割合について、ケース別に紹介します。

四輪車と二輪車による事故の場合

まずは、四輪車と二輪車による事故の場合の過失割合について、2つのケースを紹介します。


★信号機がない同幅員の十字路で四輪車と二輪車が出合い頭に衝突したケース★

このケースで、四輪車に一時停止義務がある場合は、四輪車の過失割合は85%、二輪車は15%となります。同様のケースで二輪車に一時停止義務がある場合では、四輪車の過失割合は35%、二輪車は65%です。

四輪車同士の事故と比べると、二輪車に有利になっていることがわかります。これは、二輪車は四輪車と比べて被害が大きくなる可能性が高く、四輪車より弱い立場にあると考えられるためです。

ただし、二輪車に怪我がなかった場合は、四輪車同士の事故の基本過失割合が適用されます。


★信号機のない交差点で渋滞が起こっていて、四輪車が渋滞車両の間を右折して通り抜けようとしたところ、渋滞車両の左側を直進してきた二輪車と衝突したケース★

この場合の過失割合は、四輪車が70%、二輪車が30%です。

このようなケースでは、四輪車には前方確認が不十分であった過失が問われる一方で、二輪車にも前方不注意や渋滞車両の間から車が走行してくる想定が不十分であったことの過失が問われます。そのため、このような割合となります。

四輪車と自転車による事故の場合

続いては、四輪車と自転車による事故の場合の過失割合について、2つのケースを紹介します。


★信号機がない同幅員の十字路で四輪車と自転車が出合い頭に衝突したケース★

このケースで、四輪車に一時停止義務がある場合は、四輪車の過失割合は90%、自転車は10%となります。同様のケースで自転車に一時停止義務がある場合では、四輪車の過失割合は60%、自輪車は40%です。

二輪車と同様に、自転車は四輪車よりも弱い立場にあると考えられるため、過失割合は四輪車よりも自転車が有利となります。


★左前方に駐車中の車を避けようと進路変更した自転車に、後方から直進してきた四輪車が衝突したケース★

この場合の過失割合は、四輪車が90%、自転車が10%です。

道路交通法では、後方を走行する車両の妨げになるような進路変更を禁じています。

しかしこのケースでは、左前方に駐車中の車両があることから、四輪車が自転車の進路変更を容易に予測できる状況であること、また自転車が四輪車より弱い立場であることから、このような過失割合となります。

出典:道路交通法|e-Gov法令検索

四輪車と歩行者による事故の場合

四輪車と歩行者による事故の場合の過失割合についても、2つのケースで紹介します。


★信号のない交差点で、横断歩道を横断中の歩行者と四輪車が衝突したケース★

このケースでの過失割合は、四輪車が100%、歩行者は0%となります。

歩行者が横断歩道を渡っている、または渡ろうとしている時、車両は横断歩道の手前で一時停止し、歩行者の通行を妨げてはいけません。このケースの場合、歩行者に過失はないため、このような割合になります。

ただし、渋滞車両の間から横断するなど、状況によっては歩行者にも過失が問われる場合があります。


★駐車場の通路で四輪車と歩行者が衝突したケース★

このケースでは、過失割合は四輪車が90%、歩行者は10%となります。

駐車場の通路は主に車両が走行する場所ですが、歩行者が通行することも日常的です。

この場合、四輪車は歩行者の通行を予想し、前方に注意しつつ歩行者の通行を妨げない運転が求められる一方、歩行者としても四輪車の往来を予想するのが当然の状況であるため、このような過失割合となります。

出典:道路交通法 | e-Gov法令検索

高速道路での事故の場合

高速道路での事故における過失割合についても、2つのケースで紹介します。


★走行車線から追越車線へ進路変更しようとした四輪車と、追越車線を直進する四輪車が衝突したケース★

このケースでは、進路変更した四輪車が80%、追越車線の四輪車は20%の過失割合となります。

一般道路において、同様のケースの事故では、過失割合は進路変更した四輪車が70%、直進していた四輪車は30%です。

しかし、高速道路上では、走行車線より追越車線の方で車両が高速で走行するため、進路変更する車両にはより一層の注意が求められます。そのため、一般道路よりも進路変更した車両により大きな過失割合がつくのです。


★本線車道を走行中の四輪車と、加速車線から本線車道に合流する四輪車が衝突したケース★

このケースの過失割合は、本線を走行していた四輪車が30%、合流してきた車が70%となります。

道路交通法では、本線車道に入ろうとする車両は、本線車道を通行する自動車の妨げになってはならないと定められています。一方、本線車道からは合流してくる車両が確認できるため、スピードを落とすなど衝突を避ける行動をとることも可能です。

そのため、本線車道を走行していた四輪車にも、ある程度の過失があると考えられるのです。

出典:道路交通法|e-Gov法令検索

損をしないポイントとは?

自動車事故に遭い納得できる過失割合で交渉するためには、弁護士など知識と経験の豊富な専門家の力を借りる必要があります。自動車保険に加入する目的は、事故などの損害を補てんするためですが、相手方との交渉などを考えると、事故対応時のサポートも重要です。

自動車保険にはロードサービスなど補償以外にも注目すべき点があります。同じような補償内容であれば、事故時の対応が安心できるほうが良いでしょう。自動車保険の基本的な補償内容について理解を深めたあと、各社のサービス・サポートも比較しておきましょう。

 

自動車事故の過失割合について少しでも理解しておこう

自動車事故の過失割合は、事故のパターンごとの基本となる過失割合をもとに、個々の事故の原因や要因などを加味して決められます。そのため、あらゆる事故のケースにおける過失割合を把握するのは非常に困難です。

しかし、過失割合の決め方や、代表的なケースにおける過失割合などについてある程度でも理解しておけば、事故当事者同士の交渉において、不利な条件で合意してしまうことは少なくなるでしょう。

藤 孝憲|とう たかのり

日本FP協会所属のファイナンシャルプランナー。企業に属さない中立公正なファイナンシャルプランナーとして、2006年に独立。保険商品や住宅ローンなどの金融商品の選び方を中心に情報発信しています。保険分野については、約30社の生損保商品を販売していた元保険募集人としての経験や情報を生かした執筆をしております。保険商品は難しいかもしれませんが、複数の商品を比較して初めてそれぞれの商品の特徴が浮かび上がります。記事を通して、商品選びの参考になれば幸いです。

【保有資格】
CFP®、宅建士(未登録)、住宅ローンアドバイザー、証券外務員二種、エクセルVBAエキスパート

藤 孝憲

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