自動車保険を解約・途中解約する際の手続きと注意点とは?

自動車保険

「自動車保険を解約したいけど、更新月まで待たないとできないの?」
「事情があって車を手放すことになったから、自動車保険を途中解約したい」
「保険料が安い自動車保険に変えたいから、今の保険を途中で解約したい」

このように自動車保険に加入している人の中には、解約や途中解約についても疑問があるのではないでしょうか。

この記事では、自動車保険を解約・途中解約する際の手続きや注意点について、状況別に解説していきます。

この記事を読むことで、車を手放す場合や自動車保険を安いものに切り替える場合の具体的な手続き方法や注意点を把握できるでしょう。

自動車保険の切り替えや車を手放すことを検討している人は、この記事を参考に解約手続きしてください。

Chapter
自動車保険の解約・途中解約とは?どんな時に発生する?
解約返戻金について
保険料を月払いしている場合
保険料を年払いしている場合
自動車を手放す場合
無保険期間が発生しないようにする
一時的に手放す場合は中断証明書を発行する
自動車保険の解約・途中解約の手続きは?
保険会社間の等級引き継ぎはどうなる?
〈保険期間中に途中契約して保険会社を切り替える場合〉
保険料が払えない場合は解約すべき?
自動車保険の解約・途中解約をする場合のポイント
自動車保険を解約する時の注意点について知っておこう

自動車保険の解約・途中解約とは?どんな時に発生する?

自動車保険の解約には「満期解約」と「途中解約」があります。満期で解約する場合は契約更新をしなければ継続されないため、自動更新特約を付けていない限り、何もする必要はありません。一方、途中解約の場合には、保険会社に申し出て必要な手続きを行います。解約の事情は、個々によってさまざまです。たとえば海外に転勤しなければならなくなったり、保険料の支払いが厳しくなったりした場合などが挙げられます。そのほかに、今よりもロードサービスが充実している別の保険会社に乗り換えたい場合も理由として挙げられます。

解約返戻金について

自動車保険の解約や途中解約の手続きを行う場合、多くの人が「支払った保険料はどうなるのか」「解約返戻金があるのか」ということが気になるでしょう。

自動車保険の解約や途中解約を行うと、解約返戻金を支払うという規定が設けられている保険会社がほとんどです。

しかし、解約返戻金があると定めているところでも、解約の時期によって戻ってくる保険料がゼロになる場合もあります。各保険会社によって規定が異なるため、解約の前にはしっかり確認しておきましょう。

また、月払いと年払いによって解約返戻金の支払い方法は異なります。以下では、月払いと年払いの解約返戻金について詳しく見ていきましょう。

保険料を月払いしている場合

月払いしている場合、解約した月までの保険料を支払うという形で契約が終了します。

例えば、2ヶ月で解約したとすると、2ヶ月間の保険料を支払えば良いのです。保険料を前払いしていて3ヶ月分納めていた場合には、余分な1ヶ月分が解約返戻金として支払われます。

月払いをしている場合に注意しなければならないことは、月の途中で解約しても基本的に日割り計算は行われない点です。保険開始日が8月1日だった場合、9月30日までに解約すれば2か月分の保険料だけで良いですが、10月1日以降の解約になると3ヶ月分の保険料を支払わなければならなくなります。

月払いの場合、解約時期については良く考えなくてはいけないでしょう。

保険料を年払いしている場合

年払いしている場合、解約するまでの期間に応じてあらかじめ設定されている短期料率という係数をもとに、解約返戻金の計算が行われます。年払いで保険契約している場合、まず約款などで短期料率をチェックするようにしましょう。

保険会社により短期料率には違いがありますが、既経過期間7日までは10%、15日までは15%、1ヶ月までは25%などと決められています。例えば、50,000円の自動車保険を1ヶ月で解約した場合、50,000円-(50,000×25%)=37,500円が解約返戻金として支払われるということになるでしょう。

残りの保険期間が少なくなればなるほど解約返戻金の額は下がり、1カ月未満になると戻ってくるお金はゼロになってしまいます。解約を決めたら早急に解約手続きに入った方が良いでしょう。

自動車を手放す場合

廃車や乗り換えで自動車を手放すことになった場合、自動車保険の解約や途中解約を検討しなくてはいけません。このような場合の自動車保険の解約・途中解約にはいくつか注意しておきたいことがあります。

ここからは、自動車を手放すことが決まり、自動車保険の解約や途中解約を行う場合の注意点を見ていきましょう。

無保険期間が発生しないようにする

乗り換えなどで自動車を手放す場合、無保険期間が発生しないように注意しましょう。

現在の保険と新しい保険との間に空白ができ無保険状態になってしまうと、その期間に起こった事故は保険の対象外となり保障されなくなってしまいます。現在の保険の解約日と新しい保険の開始日が同じになるように契約手続きをしましょう。

一時的に手放す場合は中断証明書を発行する

乗り換えなどで一時的に車を手放す場合や留学などで車に乗らない期間ができる場合には、中断証明書を発行することも忘れてはいけません。

中断証明書を発行しておかないと、等級を引き継ぐことができず、新しい自動車保険の契約が6等級からのスタートになってしまいます。中断証明書を発行しておけば最大10年間は等級を維持することが可能です。

中断証明書を発行するのを忘れ、6等級からのスタートになってしまうと保険料で損をしてしまうことになります。忘れずに発行しておきましょう。

出典:中断証明書の発行|おとなの自動車保険

自動車保険の解約・途中解約の手続きは?

自動車保険の途中解約はどのように行うのでしょうか。保険の乗り換えをする場合の手続きは以下のとおりです。

【乗り換えの手続きの流れ】

1. サービス内容や見積金額を比較して、どこの保険会社に乗り換えるかを検討する
2. 乗り換える保険会社に「保険証券」、「車検証」、「運転免許証」を提示し、契約手続きを完了する
3. 今契約中の保険会社に解約の申し入れをする
4. 乗り換える保険会社に必要な書類を提出し、保険料を支払う

注意点は、今の保険会社と新しい保険会社の空白期間がないように設定することです。解約日と契約の開始日を同日にしないと、等級が引き継がれなくなる可能性があります。

保険会社間の等級引き継ぎはどうなる?

自動車保険の等級はどのように決まるのでしょうか。免許を取って初めて自動車保険を契約する場合は6等級からスタートし、事故がなければ毎年1等級ずつ増え最大20等級まで上がります。等級が上がれば上がるほど保険料は安くなりますので、等級の引継ぎは保険料の負担を考えると重要です。

解約のタイミングは、満期に合わせることがベストです。過去1年で事故がなければ、1等級上がった状態で乗り換えることができます。これに対して途中解約の場合はその時点での等級で乗り換えることはできますが、等級の判定日が契約開始から1年後になります。

〈保険期間中に途中契約して保険会社を切り替える場合〉

たとえば12等級のときに途中解約して保険会社を切り替える場合、新しい自動車保険の等級も12等級からスタートできます。しかし新しく契約した日から1年経たなければ、無事故による等級判定はされませんので、途中解約するタイミングによっては等級の判定に大きく影響します。

保険料が払えない場合は解約すべき?

保険料の支払いがどうしても厳しい場合、自動車保険は思い切って解約した方がよいのでしょうか。車に乗り続ける場合には、事故発生リスクや運転の危険性という観点からおすすめできません。

事故が起きた場合、運転者に加入義務のある自賠責保険で対応することもできますが、補償金額に上限があるため十分とはいえません。補償金額の大きい任意の自動車保険に入っておくことは必須だといえます。車に乗っていると必ず事故の心配がつきまといます。保険料を抑えたい場合は補償内容の見直しや割引制度を活用するなどの工夫をおこない、車に乗り続けるのであれば、安易に解約してしまわないほうが賢明です

自動車保険の解約・途中解約をする場合のポイント

自動車保険の途中解約におけるポイントには何があるのでしょうか。まず過去1年間に事故を起こして等級が下がることがわかっているときには、急がずに満期日まで待ってから乗り換えることです。途中解約してしまうと契約開始日の段階から等級が下がってしまうので、残っている日数分損をすることになり、結果的に金額が高くなってしまいます。また支払方法を年払いとしている場合、解約のタイミングによって解約返戻金の額が異なりますので、事前に確認しておくこともポイントです。


自動車保険を解約する時の注意点について知っておこう

ここまで、自動車保険を解約・途中解約する際の手続きや注意点について解説してきました。

乗り換え、廃車など様々な事情で自動車保険の解約が必要になることがあるでしょう。何も知らずに解約してしまうと、等級がリセットされて保険料で損をしてしまう可能性があります。

この記事で紹介した注意点を参考に、慎重に解約の手続きを進めましょう。

藤 孝憲|とう たかのり

日本FP協会所属のファイナンシャルプランナー。企業に属さない中立公正なファイナンシャルプランナーとして、2006年に独立。保険商品や住宅ローンなどの金融商品の選び方を中心に情報発信しています。保険分野については、約30社の生損保商品を販売していた元保険募集人としての経験や情報を生かした執筆をしております。保険商品は難しいかもしれませんが、複数の商品を比較して初めてそれぞれの商品の特徴が浮かび上がります。記事を通して、商品選びの参考になれば幸いです。

【保有資格】
CFP®、宅建士(未登録)、住宅ローンアドバイザー、証券外務員二種、エクセルVBAエキスパート

藤 孝憲

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