トヨタの歴代車種を一覧で解説!パブリカからスターレットまで(1959年~1974年)

トヨタ・2000GT

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戦前からクルマづくりを手がけてきたトヨタ。戦後の混乱から高度経済成長に差し掛かっていた1950年代から1970年代にかけて、トヨタには何が起こり、どのような車種が登場したのかを、乗用車を中心とした当時のラインナップとともに紹介します。

文・PBKK
Chapter
1959〜1974年のトヨタ
トヨタ パブリカ(1961年)
トヨペット クラウンカスタム(1962年)
トヨタ パブリカコンバーチブル(1963年)
トヨタ クラウンエイト(1964年)
トヨタ スポーツ800(1965年)
トヨタ カローラ(1966年)
トヨタ センチュリー(1967年)
トヨタ 2000GT(1967年)
トヨタ 1600GT(1967年)
トヨペット コロナ マークII(1968年)
トヨタ カローラ スプリンター(1968年)
トヨタ カリーナ(1970年)
トヨタ セリカ(1970年)
トヨタ カローラクーペ(1970年)
トヨタ スプリンター(1971年)
トヨタ クラウン(1971年)
トヨタ カリーナ ハードトップ(1972年)
トヨタ パブリカ スターレット(1973年)

1959〜1974年のトヨタ

1945年8月の太平洋戦争終結に伴い、トヨタは戦前から続けていたクルマづくりを再開し、さまざまな車種を発売してきました。1964年には東京オリンピックが開催され、そのために首都高速道路が開通。1968年には東名高速道路の一部区間が開通するなど、クルマを取り巻く状況は大きく変化していきました。

そのため、この時期にトヨタから登場したクルマたちも実用性に加え個性が備わった車種が多く、結果として2020年8月現在も販売され続けているロングセラーモデルもあります。

トヨタ パブリカ(1961年)

トヨタ パブリカは、当時の通商産業省が発表した「国民車構想」などの影響を受けて企画・開発された小型大衆乗用車です。

1950年代の軽自動車や小型車ではスペースや構造の関係上RRレイアウト(リアエンジン・リアドライブ)が多かったものの、パブリカはそれを克服してFRレイアウト(フロントエンジン・リアドライブ)を採用し、大衆車としての実用性を高めたクルマでした。

トヨペット クラウンカスタム(1962年)

トヨペット クラウンカスタムは、1955年に登場したトヨペット クラウンのステーションワゴンモデルとして発売されました。

クラウンのワゴンモデルには商用車のバンやピックアップなどがすでにラインナップされていましたが、クラウンカスタムは乗用車として使われることを想定して開発されたため、エクステリア(外装)やインテリア(内装)の質感が高められ、大きな荷物を乗せられる乗用車という新たなニーズを開拓しました。

トヨタ パブリカコンバーチブル(1963年)

トヨタ パブリカコンバーチブルは、1961年に発売されたトヨタ パブリカをベースにしたオープンモデル(コンバーチブル)として登場しました。

現在では4ドアセダンなどの乗用車をベースにオープンモデルが開発されることは当たり前となっていますが、当時としては珍しい試みでした。パブリカコンバーチブルは幌製のソフトトップの他に、1966年に着脱可能な樹脂製ハードトップを備えたモデルが加わりました。

トヨタ クラウンエイト(1964年)

トヨタ クラウンエイトは、1962年にフルモデルチェンジしたトヨタ 2代目クラウンをベースにボディーを拡大させた大型乗用車です。

ベースのクラウンに排気量の大きな2.6L V型8気筒エンジンを搭載した他、パワーステアリングやパワーウィンドウ、電磁ドアロックなど、当時の最新装備を持つ車種でもありました。こうした高級路線はのちのトヨタ センチュリーの開発につながり、クラウンエイトはトヨタの高級車の方向性を示したクルマと言えるでしょう。

トヨタ スポーツ800(1965年)

トヨタ スポーツ800は、1961年に発売された小型乗用車であるトヨタ パブリカをベースに開発された小型2シータースポーツカーです。

ファンからは略称である「ヨタハチ」の名称としても親しまれ、当時としては優れた空力性能を誇るなめらかなボディー形状をしていました。軽量に仕上げられたことにより、エンジンの排気量は0.8Lながら150km/hを超える最高速度を発揮したとも言われています。

トヨタ カローラ(1966年)

トヨタ カローラは、現在も販売されているカローラシリーズの初代にあたるクルマです。

初代は排気量1Lの乗用車として登場し、1961年に発売されたパブリカの上位車種として欄ナップされました。2019年に12代目となる新型が発売されていますが、同年時点の累計販売台数は4750万台を超え、乗用車としては国内トップクラスの販売台数と歴史を誇っています。

トヨタ センチュリー(1967年)

トヨタ センチュリーは、1964年に登場したトヨタ クラウンエイトに代わるトヨタの高級車です。

センチュリーは初代以降販売が継続され、1997年に2代目、2018年に3代目へとフルモデルチェンジされましたが、なかでも初代は約30年という長いモデルライフを誇ります。また、国産乗用車としては最初期にエアサスペンションを装備し、これによって快適な乗り心地を実現しました。


1989年にはホイールベースを延長した「リムジン」が追加されましたが、初代は基本的な構造を変えることなく長期間製造されました。

トヨタ 2000GT(1967年)

トヨタ 2000GTは、当時のトヨタのイメージ―リーダーとなるべく開発されたスポーツカーです。

1960年代にはホンダ Sシリーズなどのスポーツカーが登場し、自動車メーカーはスポーツカーをイメージリーダーとしてラインナップしていました。そのため、トヨタはヤマハの強力を得て世界に通用するスポーツカーの開発に着手。その結果誕生した2000GTは、最高速度200km/h以上を誇り、数々のレースでも好成績を残しました。

トヨタ 1600GT(1967年)

トヨタ 1600GTは、1960年代に過熱したスポーツカーブームに応えるため開発されたクルマです。

トヨタ 2000GTと名前が似ていますが、専用に設計された車体を持つ2000GTに対して、1600GTはトヨタ コロナの高性能モデルという位置づけでした。一方でヤマハ製の高性能エンジンが搭載され、2000GT用のトランスミッションが搭載されたグレードも用意されるなど、当時としては高性能なスペックでした。

トヨペット コロナ マークII(1968年)

トヨペット コロナ マークIIは、トヨペット クラウンとトヨペットコロナの中間に位置する車種として登場しました。

4ドアセダンや2ドアクーペの他にもステーションワゴンなどのバリエーションがあり、街中での移動やレジャーなど多様化するユーザーニーズに応えるラインナップを揃えていました。コロナマークIIはのちのトヨタ マークIIの起源となるクルマで、トヨタの中型高級セダンの元祖とも言えるでしょう。

トヨタ カローラ スプリンター(1968年)

トヨタ カローラスプリンターは、1966年に発売されたトヨタ 初代カローラをベースに開発されたクルマです。

車体がファストバックと呼ばれるクーペスタイルに変更され、スポーティーなエクステリアとなり、全高も35mm低くされています。当時は他社からもスポーツモデルが多数登場していたため、そのライバル車種としても注目されたと言われています。

トヨタ カリーナ(1970年)

トヨタ カリーナは、同年に発売されたトヨタ セリカと共にスペシャルティーカーとして開発されたクルマです。

車体は2ドアと4ドアの2種類がラインナップされ、ファミリーカーとしての実用性を備えつつ、1.6Lや2Lエンジンを搭載し、5速MT(マニュアルトランスミッション)を装備するなどスポーツカー並のスペックを誇っていました。

トヨタ セリカ(1970年)

トヨタ セリカは、同年に発売されたトヨタ カリーナと共にスペシャルティーカーとして開発されたクルマです。

初代は独特のフロントマスクから「ダルマ」の愛称で親しまれ、当時の若者を中心に人気を集めました。兄弟車種であるカリーナは4ドアもありましたが、セリカは4ドアが無く、1973年には3ドアのリフトバックが追加されるなど、よりスペシャルティーカーとしての性格を強められたクルマと言えるでしょう。

トヨタ カローラクーペ(1970年)

トヨタ カローラクーペは、トヨタ 2代目カローラの派生モデルとして登場したクルマです。

トヨタ 初代カローラのスポーツモデルとして1968年にカローラ スプリンターが登場しましたが、ベースとなるカローラが2代目にフルモデルチェンジしたことでカローラ スプリンターも2代目へと進化。カローラクーペは、カローラスプリンターのクーペモデルとボディーを共有する派生モデルとして発売されました。

トヨタ スプリンター(1971年)

トヨタ スプリンターは、トヨタ カローラから独立した車種です。

もともとカローラの派生モデルとして、1968年にファストバックスタイルのカローラ スプリンターが登場しました。1970年にはカローラが2代目へとフルモデルチェンジしますが、カローラ スプリンターはそれを機に独立した車種となりました。

トヨタ クラウン(1971年)

1971年に登場したトヨタ クラウンは、クラウンとしては4代目に当たり、「トヨペット」から「トヨタ」へとブランド変更された最初のモデルでもあります。


4代目は2ドアハードトップとして登場し、のちに4ドアハードトップが追加されました。また、4ドアハードトップはクラウンロイヤルやアスリート、マジェスタなど、現在に続くクラウンの起源となりました。一方で、このモデルはタクシーなどに採用される角ばったクラウン コンフォートの系譜へとつながっていきます。

トヨタ カリーナ ハードトップ(1972年)

トヨタ カリーナ ハードトップは、カリーナの派生モデルとして登場したクルマです。

名前こそカリーナとなっていますが、1970年にカリーナと共に登場したセリカと共通する部分が多く、車体もセリカに近い2ドアがラインナップされています。また、のちにカリーナクーペや商用車のバンタイプなど派生モデルが登場しますが、バンはトヨタ カルディナ バンの系譜につながる車種となりました。

トヨタ パブリカ スターレット(1973年)

トヨタ パブリカ スターレットは、トヨタ パブリカの上級車種として登場したクルマです。

車体はベースとなったパブリカよりも大きなファストバックスタイルとなり、パブリカとは異なるエクステリアを備えています。また、同年4月にクーペ、10月にセダンが登場するなど、豊富なバリエーションも加わりました。

パブリカ スターレットはその名前の通り、トヨタ スターレットにつながり、スターレットはヴィッツの系譜へとつながるため、現在のトヨタのハッチバックの源流とも言えるクルマです。
1960年代初期から1970年代にかけて、日本の道路状況が進化していったことやモータースポーツの人気が高まったことから、自動車メーカーから数多くのスポーツモデルが登場しました。

一方で、トヨタでは1960年代に量産体制や輸出体制が強化され、クルマづくりの現場も大きな進歩を遂げています。カローラなどの量産車もこの時代に登場していることから、1960年代はトヨタがクルマの大量生産に向けてノウハウを培っていった時期と言えるでしょう。
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