トヨタ センチュリーは、"伝統工芸品"といっても過言ではない理由

【東京モーターショー2017】トヨタ センチュリー

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初代が1967年に誕生してから50年以上、日本のショーファードリブンの頂点として君臨し続けてきたトヨタ センチュリー。2018年に3度目のフルモデルチェンジを行い進化した、新型センチュリーについてみていきます。

文・赤井福
Chapter
外装は華美にならない、落ち着いた最高級
内装は芸術品が並ぶ
エンジンや足回りは旧LSの使いまわし?

外装は華美にならない、落ち着いた最高級

センチュリーの外観は、飾りすぎず、静かにどっしりと構えた高級感がただよっています。

フロントグリルには、センチュリーの象徴でもある「鳳凰」エンブレムが鎮座しています。たがねと鎚を使い、職人が彫り上げる鳳凰には、江戸時代から続く匠の技が使われています。

ボディやフロントグリルに対して、控えめな大きさの鳳凰は、センチュリーのコンセプトを忠実に表現しています。

ボディカラーの4色は、「神威」「摩周」「飛鳥」「精華」という名称。カラークリア層を含めた7層構造に、研ぎと磨きを徹底的に行うことで、深い色味と輝きを放ちます。

機械化が全盛のクルマ作りのなかで、職人の手による匠の技がセンチュリーの外装を造っています。

内装は芸術品が並ぶ

内装で特筆すべきは、シートです。高級車=本革シートの概念を覆し、センチュリーの標準装備は布シートとなっています。

センチュリーのために作られたシート素材は、上質なウールで織り上げたシャガードモケット。メーカーオプションで本革を選ぶこともできますが、あえてセンチュリーには、シャガードシートで乗っていただきたいです。

室内の時計の文字盤やインパネ、さらにはフロントグリルに、日本の伝統文様である「七宝文様(しっぽうもんよう)」があしらわれています。他にも後席の折り上げ天井には、紗彩形(さやがた)崩し柄の織物が用いられています。頭上高を高める折り上げ天井構造と、そこに特別な素材を使うことは、非常に稀な作りといえるでしょう。

室内の随所にセットされる本杢パネルは、タモの中心部分でしか取れない貴重な木目を使用。その木目を際立たせるために、熟練の匠が刷毛で彩色し、趣のある濃淡を引き出しています。

エンジンや足回りは旧LSの使いまわし?

エンジンは、V8 5.0Lの2URをベースとしたハイブリッド。先代LS 600hと同型のエンジンとなっていますが、センチュリー用に専用チューニングが施されています。「絶対に壊れてはならない」という至上命題から、長年の実績がある2URが選ばれたようです。

プラットフォームは先代LSのものをベースに開発されたもので、足回りもLSと同様です。しかし、音や振動に対するネガを最大限削り取り、綿密なボディ補強と防音処理によって、最高の乗り心地を実現しています。振動に対するやりすぎにも思える対策は、最上級の乗り心地につながっています。

職人の精緻な技術によって完成されたセンチュリーは、伝統工芸品といっても過言ではありません。これからも、世界に誇れる日本の技術力を示す存在であってほしいクルマの1台です。

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文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。
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