フォルクスワーゲン パサートオールトラック 2.0 TDI 4MOTIONを試乗レビュー!動性能や燃費にも注目

フォルクスワーゲン パサート オールトラック

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VW パサートオールトラックが最も似合うシーンは、広いラゲッジスペースに大量の荷物を積んで遠出する、といったシーンでしょう。後席を倒したときの圧倒的なスペースは、普通のSUVでは味わうことのできない魅力です。そして、このクルマの魅力はそれだけにとどまらず、素晴らしい走りも持ち合わせていました。

今回は、パサートオールトラックの動性能について、良い点・気になった点をご紹介します。

文・吉川賢一/写真・鈴木祐子

※2019年12月現在

吉川 賢一|よしかわ けんいち

モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。

吉川 賢一
Chapter
良い点 ①長距離ドライブでも疲れにくい
良い点 ②滑らかな加速と巡行しやすいエンジン特性
良い点 ③圧倒的な実燃費
気になる点 ①バタバタとする乗り心地とロードノイズの粗さ
気になる点 ②取り回し性

良い点 ①長距離ドライブでも疲れにくい

パサートオールトラックは、長めのホイールベース、グリップの高い18インチタイヤ、空力性能の良さ等、背の高いSUVにはない“どっしり感”を感じることができます。そのため直進安定性が高く、高速走行時には非常に安定したドライビングができます。

稀に、轍でハンドルが取られるシーンもありましたが、慌てる程の挙動変化は起きず、終始ゆったりとした動きで安心していられます。見晴らしがいい運転席からの視界や、サポート性の良いシート、右足・左足ともに設けられたフットレストも、疲れにくさに貢献しています。

なお、高速走行時のみ使用可能な「ステアリングアシスト」機能は、手の力を抜いていても車線に沿って滑らかにハンドルを曲げていってくれるので、アシスト操作特有の違和感や怖さは、全く感じることがありません。

良い点 ②滑らかな加速と巡行しやすいエンジン特性

低速からの緩加速のシーンでは、ディーゼルエンジンならではのゴロゴロとした音と振動を感じますが、40km/hを超えてスピードに乗り始めると、今までが嘘だったかのようにエンジンの音や振動が一切、気にならなくなります。

また1,000rpm程度の低回転時からしっかりとトルクが出るエンジン特性のため、重い車重(1,680kg)が気にならないほどに、グイグイと進んでいきます。

ACC(オートクルーズコントロール)の追従性能も秀逸で、前走車との距離を適切に保ってくれるので、高速道路に乗ったら、すぐにACCをONにしてあとは「クルマに任せっきり」という乗り方が出来ます。

合流シーンなどでの割込みに対しても、早いタイミングでクルマ側が検知して、サイドミラーにアラーム表示くれるので、安心できます。

良い点 ③圧倒的な実燃費

約250kmの試乗(高速道路4:一般道4:ワインディング2の割合)を通した総合燃費は約15km/L、2.0L TDIディーゼルエンジンを積んだパサートオールトラックのカタログ燃費は17.3km/L(JC08モード)ですので、十分すぎるほどのいい燃費となっています。一度の満タン給油で約1,000kmは走行できるという、とても頼もしいクルマです。

なお、高速道路をほぼACCに任せてドライブした結果、20km/Lを超える燃費をたたき出すことも出来ました。クラスを超えた低燃費を実現している素晴らしいエンジンです。

気になる点 ①バタバタとする乗り心地とロードノイズの粗さ

走行中に稀に聞こえる「ゴー」というロードノイズが、クルマの質感を損ねています。もちろん綺麗な舗装の路面では聞こえないのですが、削れたアスファルトなどで、急にノイズが増幅されるようです。一因は太めのタイヤにあると推測されます。18インチタイヤは、このクラスのクルマには奢り過ぎに感じました。

なお、上級グレード「アドバンス」に標準装備されるDCCは、制御ダンパーによってボディーの上下方向のふわつきをコントロールする装備です。「オフロード/エコ/コンフォート/ノーマル/スポーツ」と多くのモードがあり、その差は明確に感じることができます。

おすすめはコンフォートモードとノーマルモードです。どちらもゆったりとした快適なクルージングが楽しめますので、パサートオールトラックのイメージに最も適しています。

気になる点 ②取り回し性

最小回転半径は5.4mと、ボディーのサイズを考えると大きくはありませんが、リアのオーバーハングが長いことで、駐車場での出し入れには気を使います。

アラウンドビューディスプレイが付いてはいますが、最終的には隣のクルマとの距離感は目視でチェックすることになるので、慣れないとかなり大変です。なお、後席ドアもフロントと同じぐらい大きいため、ドアを開ける際には注意すべきポイントです。
パサートオールトラックは、素晴らしい走行性能を持ち合わせており、“最高に良くできた道具”といえるクルマです。ベースグレードは517万円から。フルデジタルメーターや18インチ大径タイヤ等を備えた、アドバンスグレードは578万円からですが、価格に見合う価値があるように思いました。

また、オフロードや荒れた道に行く機会が少ないのであれば、パサートヴァリアント(TSIエレガンス 413万円~)という選択肢もあります。ヴァリアントでもオールトラックと同じ広大な荷室を手に入れることができます。

ご自身のクルマを使う環境に合わせて、オフロードを走ることがあるならばオールトラックを、一般道メインならばヴァリアントを選ばれるといいでしょう。
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