フォルクスワーゲン パサート オールトラック試乗レビュー! "さりげなさ"が魅力なSUVの新ジャンル
更新日:2024.09.09
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先ごろ、このCarMeでもティグアンTDIとトゥーランTDIの試乗レポートを立て続けにお届けさせていただいたばかりなのだが、このところ新世代クリーンディーゼル「TDI」搭載車の日本導入を積極的に展開しているフォルクスワーゲンから、また一つ魅力的なTDIモデル「パサート オールトラック」が登場することになった。
文・武田公実 写真・土屋勇人
※ 2019年12月時点
文・武田公実 写真・土屋勇人
※ 2019年12月時点
"さりげなさ"が魅力!フォルクスワーゲン パサート オールトラック登場!
日本に正規導入される現行型パサートでは唯一となる「4 MOTION」フルタイム4WDシステムも備えたこのモデル。パサートのワゴン版「ヴァリアント」に比べて30mm高められたロードクリアランスと専用デザインの前後バンパーに加えて、ホイールアーチのエクステンションやサイドシルなどが、いかにも現代的なSUV感を演出する。
でも、そのテイストはあくまで控えめ。例えば、同じジャンルに属するスバル「レガシィ・アウトバック」やメルセデス・ベンツ「Eクラス・オールテレイン」などと比べると、スポーツギアとしてのインパクトについてはいささか譲ると言わざるを得ない。でも、このアンダーステートメントな雰囲気こそが、パサート オールトラックの身上とも感じられる。
SUVは近年でこそ、都市生活者にとっても普通のクルマとして受け容れられるのが当たり前となったが、その一方で、スポーツウェアを街中で着るような気恥しさを今なお感じてしまわれる方も少なくはあるまい。
筆者自身を含む、そんな古いタイプの自動車好きにとっては、新型パサート オールトラックの「さりげなさ」は大いに魅力的なものと映ると思われるのだ。
でも、そのテイストはあくまで控えめ。例えば、同じジャンルに属するスバル「レガシィ・アウトバック」やメルセデス・ベンツ「Eクラス・オールテレイン」などと比べると、スポーツギアとしてのインパクトについてはいささか譲ると言わざるを得ない。でも、このアンダーステートメントな雰囲気こそが、パサート オールトラックの身上とも感じられる。
SUVは近年でこそ、都市生活者にとっても普通のクルマとして受け容れられるのが当たり前となったが、その一方で、スポーツウェアを街中で着るような気恥しさを今なお感じてしまわれる方も少なくはあるまい。
筆者自身を含む、そんな古いタイプの自動車好きにとっては、新型パサート オールトラックの「さりげなさ」は大いに魅力的なものと映ると思われるのだ。
エクステリア 画像
魅力的な新世代ターボディーゼル特有のトルク感
パサート オールトラックに搭載されるパワーユニットは、2018年2月から発売されたパサートTDI/パサート ヴァリアントTDIと共用となるEA288型ターボディーゼル。しかし、走り出してみると3月に乗ったパサートTDIの印象よりも、ほんの少しの差ではあるがノイジーに感じられてしまった。
これは生産初期車両ゆえの個体差か、あるいは筆者の記憶違いの可能性も否めない。加えてこのノイズは、停止状態からアクセルを踏み込んだ時にしか感じられず、ひとたび定速走行になれば本来の静けさを取り戻すので、あまり目くじらを立てるようなことでもないかもしれない。
これは生産初期車両ゆえの個体差か、あるいは筆者の記憶違いの可能性も否めない。加えてこのノイズは、停止状態からアクセルを踏み込んだ時にしか感じられず、ひとたび定速走行になれば本来の静けさを取り戻すので、あまり目くじらを立てるようなことでもないかもしれない。
一方4モーション化による重量アップ(ヴァリアントTDI+70kg)から、動力性能の面では若干の低下もあり得るのでは……?という筆者の予測は、まったくの杞憂に終わったようだ。
140kW(190ps)/3,500~4,000rpmという最高出力もさることながら、400Nm(40.8kgm)/1,900~3,300rpmの最大トルクは伊達ではない。
フォルクスワーゲン・グループ自慢のMQBプラットフォームのおかげか、大柄な車体とフルタイム4WDシステムを持つ割には1,680kgに抑えられた車両重量も相まって、平坦な市街地はもちろん、山間部の上り坂でもグイグイと力強くスピードを乗せてゆく。
あくまで筆者の私見ながら、この新世代ターボディーゼル特有のトルク感は、たとえ燃油代のアドバンテージが無くとも、敢えてこちらを選びたくなるだけの魅力があると考えるのだ。
140kW(190ps)/3,500~4,000rpmという最高出力もさることながら、400Nm(40.8kgm)/1,900~3,300rpmの最大トルクは伊達ではない。
フォルクスワーゲン・グループ自慢のMQBプラットフォームのおかげか、大柄な車体とフルタイム4WDシステムを持つ割には1,680kgに抑えられた車両重量も相まって、平坦な市街地はもちろん、山間部の上り坂でもグイグイと力強くスピードを乗せてゆく。
あくまで筆者の私見ながら、この新世代ターボディーゼル特有のトルク感は、たとえ燃油代のアドバンテージが無くとも、敢えてこちらを選びたくなるだけの魅力があると考えるのだ。
ソフトかつコシの強い乗り味
しかし、今回パサート オールトラックに試乗する機会を得て何より感銘を受けたのは、予想を上回る乗り心地の良さである。
スタンダードのパサートの段階でも、乗り心地は及第点という以上のレベルに達していたと思うのだが、オールトラックでは30mmの車高アップによって同じ数値だけ増やされたサスペンションストロークの深さが、そのまま「懐の深さ」として体現されるのだろうか。
荒れた路面でもショックは最小限で、さらに上のクラスに属する高級セダン/エステートワゴンのような、ソフトかつコシの強い乗り味を感じさせてくれる。
今回は時間の制約があったため、試乗コースは舗装路のみ。オールトラックで新たに設定された「オフロード」モードを試すことも無かったものの、この乗り心地だけをとってもオールトラックを選択するのに充分な動機になり得ると実感させられた。
スタンダードのパサートの段階でも、乗り心地は及第点という以上のレベルに達していたと思うのだが、オールトラックでは30mmの車高アップによって同じ数値だけ増やされたサスペンションストロークの深さが、そのまま「懐の深さ」として体現されるのだろうか。
荒れた路面でもショックは最小限で、さらに上のクラスに属する高級セダン/エステートワゴンのような、ソフトかつコシの強い乗り味を感じさせてくれる。
今回は時間の制約があったため、試乗コースは舗装路のみ。オールトラックで新たに設定された「オフロード」モードを試すことも無かったものの、この乗り心地だけをとってもオールトラックを選択するのに充分な動機になり得ると実感させられた。
SUVに対する「もう一つの選択肢」
そして現代のクルマではもはや必須条件となっている先進テクノロジーについても、全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)や、巧みな縦列駐車を自動で行う「パークアシスト」などの運転支援システムが充実。
インフォテイメント系でもスマートフォンとのコネクティビティや液晶デジタルメータークラスター「アクティブ インフォ ディスプレイ」を装備するなど、まさに全方位的に充実したパサート オールトラックは、全世界で隆盛を極めているSUVに対する「もう一つの選択肢」として、実に魅力的な一台と思われるのである。
インフォテイメント系でもスマートフォンとのコネクティビティや液晶デジタルメータークラスター「アクティブ インフォ ディスプレイ」を装備するなど、まさに全方位的に充実したパサート オールトラックは、全世界で隆盛を極めているSUVに対する「もう一つの選択肢」として、実に魅力的な一台と思われるのである。
インテリア 画像
武田公実|Takeda Hiromi
かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッドで営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、クラシックカー専門店などで勤務ののち、自動車ライターおよびイタリア語翻訳者として活動。また「東京コンクール・デレガンス」、「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントにも参画したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム」ではキュレーションを担当している。