フォルクスワーゲン パサートオールトラックを徹底解説!オフロードもこなせるルックスと4WDシステムが特徴
更新日:2024.09.09
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フォルクスワーゲン パサートオールトラックとは、ベースモデルとなるパサート・ヴァリアントをクロスオーバー風に仕立てなおしたモデルだ。フォルクスワーゲンでは、他にゴルフでも、同じ手法によって派生したゴルフ・オールトラックが存在する。現行のパサートオールトラックの日本での発売は、2018年10月31日より。2015年より導入されたパサートの中では、最近に登場したばかりのフレッシュなモデルだ。
文・鈴木ケンイチ
文・鈴木ケンイチ
オフロードもこなせるルックスと4WDシステムが特徴だ
パサートオールトラックの特徴は、クロスオーバーを意識させる専用のルックスと4WDシステムにある。樹脂製の専用バンパーやホイールエクステンション、サイドシルが与えられ、車高は3cm高められている。4WDシステムの4MOTIONを備えるのは、パサート・シリーズの中で、パサートオールトラックが唯一の存在だ。また、ラフロード走行向けにアクセルの特性が低速域で緻密に操作しやすいように調整され、ABSの制御も専用に。また、坂道で一定速度をキープするヒルディセントアシストも採用されている。
搭載されるエンジンは、最高出力140kW(190馬力)、最大トルク400Nmの2リッターのディーゼルのTDIエンジン。組み合わされるトランスミッションは6速DSGだ。2グレード構成になっており、スタンダードの「パサートオールトラック TDI 4MOTION」が509万9000円(税込)、上級の「パサートオールトラック TDI 4MOTION Advance」は569万9000円。上級グレードは、デジタルメータークラスター、アラウンドビューカメラ、ナッパレザーシート、アダプティブシャシーコントロール「DCC」、電子制御式ディファレンシャルロック「XDS」が装備されている。またアルミホイールは、スタンダードが17インチで上級が18インチとなる。
クロスオーバーらしからぬ、エレガンスでモダンな印象を受けるエクステリア
パサートの中でも唯一の4WDモデルとはいえ、パサートオールトラックにはミラーをはじめバンパーなど、あちこちにシルバーの飾りがちりばめられており、あまり泥や土のイメージは湧かない。クロスオーバーであっても、エレガンスさを感じさせるのだ。室内を覗けば、さらに、その印象は強くなる。
インテリアはベースとなるパサートと同じで、フォルクスワーゲンのラインナップのトップを担うだけの洗練と上質さを感じることができるのだ。また、セグメントでトップクラスの荷室の広さ(639~1769リッター)もベースモデルそのまま。フラッグシップならではの上質なインテリアと、パサート伝統の実用性の高さはベースモデルの美点そのままと言えるだろう。
静粛性が高く、ゆったりとした安定感のある走り
パサートオールトラックのディーゼルエンジンは、アイドリングのときこそガリガリというノイズを聞かせるが、走り出してしまうと、驚くほどに静かになる。最高出力は190馬力とたいしたことはないが、最大トルクは400Nmもある。ガソリンエンジンでいえば4リッターのV8クラスだ。しかも、1900回転も回れば、最大トルクが発揮されるのだから、ほとんど高回転までエンジンを回す必要がないのだ。もともとフォルクスワーゲンのフラッグシップとして静粛性能に優れている上に、エンジンもあまり回さない。これがパサートオールトラックの静かさの理由になるのだ。
静かなだけでなく、路面の凹凸を上手にいなすしなやかな足回りも美点のひとつだ。さらにクルマ全体の動きはフラットで鷹揚なもの。大船に乗ったようなもの。まさにフラッグシップたる乗り心地だ。上級グレードにあるアダプティブシャシーコントロール「DCC」を使えば、スポーティな味付けに変化させることはできるが、スタート地点がコンフォートよりということもあり、スポーツ度はほどほど。あまり大きな期待はしない方がいいだろう。
高得点のベースに、さらに魅力を足した万能モデル
ベースモデルとなるパサート・ヴァリアントは、フォルクスワーゲンのフラッグシップとしての高品位さと、ステーションワゴンとしての高い実用性を兼ね備えた実力の高いモデル。
その素の点数の高さをそのままに、クロスオーバーという魅力をプラスしたのがパサートオールトラックだ。高級ホテルに乗り付けても恥ずかしくなく、高速道路を使ったロングツアラーとしても優秀だ。さらに雪道にも強く、冬場のスキーの足にもおすすめ。街乗りから、遠出、さらにはバカンスにまで、オールマイティに使える。こうして、自転車も楽々と積めてしまえるし、エレガンスさと実用の両方を求める、わがままなユーザーにもおすすめできる万能ワゴンだ。
鈴木ケンイチ
モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)