ホンダのフロントガラスに三角マーク、これってなんで付いているの?
更新日:2024.09.09
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ホンダ車のフロントガラスの両端に、小さな三角形のマークがついているのをご存知でしょうか。このマークには、運転が苦手な方でも上手になれる秘密が詰まっているのです。今回は、このフロントガラスの三角(▶◀)マークについて紹介していきます。
文・吉川賢一
文・吉川賢一
- Chapter
- 三角マークとは?
- なぜホンダの三角マークはついている?
- ホンダの実験
三角マークとは?
ホンダ車のフロントシートに座って、フロントガラスをよく見ると、両サイドのAピラー近くに▶◀マークがあることに気づきます。場所は、ドライバーの視線より少し上。左右に向かい合うよう付けられています。カタチは一辺が4~5mmの三角形で、セラミックでできています。
2008年に発売された「フリード」に初めて採用され、その後、他のクルマにも導入されました。
2008年に発売された「フリード」に初めて採用され、その後、他のクルマにも導入されました。
なぜホンダの三角マークはついている?
注意して見なければわからないほど小さなマークですが、これがあることでドライバーの水平方向の視線が安定する、といいます。人間が意識していないくらいの領域の話で、運転中の視線が縦に乱高下しにくくなるのだそうです。
実際、私たちが狭い道を運転しているときには、前方を見て道幅と路面状況を確認し、左右の障害物までの距離をサイドミラーを使って確認。視線を戻して前方確認、進みながらまた左右を確認、危ないなぁと思ったらハンドルで軌道を修正し……と、視線はいつもよりも忙しなく動いています。
前、右、左、また前、右を見て…と続けているうちに、ドライバーは距離感覚が鈍ってきて、はっと気づいたらどちらかに寄り過ぎていた、という経験がある方もいるのではないでしょうか。
ホンダ車のフロントガラスに付けられた三角マークは、ドライバーが無意識のうちに目印として認識し、すれ違ったり、曲がったりする際に、このマークを起点にして水平に視線を移すことで、縦揺れがなくなり、スムーズに曲がったり、車幅を把握したりしやすくなる、という効果が期待できるそうです。結果として、接触事故も大幅に減らせるのだとか。
実際、私たちが狭い道を運転しているときには、前方を見て道幅と路面状況を確認し、左右の障害物までの距離をサイドミラーを使って確認。視線を戻して前方確認、進みながらまた左右を確認、危ないなぁと思ったらハンドルで軌道を修正し……と、視線はいつもよりも忙しなく動いています。
前、右、左、また前、右を見て…と続けているうちに、ドライバーは距離感覚が鈍ってきて、はっと気づいたらどちらかに寄り過ぎていた、という経験がある方もいるのではないでしょうか。
ホンダ車のフロントガラスに付けられた三角マークは、ドライバーが無意識のうちに目印として認識し、すれ違ったり、曲がったりする際に、このマークを起点にして水平に視線を移すことで、縦揺れがなくなり、スムーズに曲がったり、車幅を把握したりしやすくなる、という効果が期待できるそうです。結果として、接触事故も大幅に減らせるのだとか。
ホンダの実験
車1台がやっと通れる道幅の道路や、狭い左折路を通るときに、ドライバーの視線がどのように動いているのかというデータを収集し分析した結果、運転が上手な人の視線は、水平方向で安定して動くのに、苦手な人の視線は、上下に乱れてしまう傾向があることが、ホンダの長年の研究によってわかりました。
その視線の乱れを少なくするものとして、ホンダはフロントガラスに三角マークをつけると、運転が苦手でも視線がほぼ水平方向に動くようになること、左折時にも運転操作が改善されることを発見しました。
その効果を確かめるため、社内の性別、体格、年齢などが異なる社員30人を抽出した検証実験で、各人に幅3mの狭い左折路を12周させてから、出口側から見てフロントバンパーと壁の間の距離を計測したところ、マーク無しに比べて、ありの車では、バラツキの差が120mm以上も少ないという結果が出ました。
これらの実験結果をもとに、ホンダは特許を申請、2010年以降に発売した車両に三角マークを採用しています。主力の小型車「フィット」、ミニバンの「フリード」、ハイブリッドの「インサイト」など、国内で販売されている車はもちろん、アメリカや中国といった海外で販売されている車にも採用されています。
このマークは、ホンダが長年、ドライバーの視線の動きを研究してきた成果のひとつなのですね。
その視線の乱れを少なくするものとして、ホンダはフロントガラスに三角マークをつけると、運転が苦手でも視線がほぼ水平方向に動くようになること、左折時にも運転操作が改善されることを発見しました。
その効果を確かめるため、社内の性別、体格、年齢などが異なる社員30人を抽出した検証実験で、各人に幅3mの狭い左折路を12周させてから、出口側から見てフロントバンパーと壁の間の距離を計測したところ、マーク無しに比べて、ありの車では、バラツキの差が120mm以上も少ないという結果が出ました。
これらの実験結果をもとに、ホンダは特許を申請、2010年以降に発売した車両に三角マークを採用しています。主力の小型車「フィット」、ミニバンの「フリード」、ハイブリッドの「インサイト」など、国内で販売されている車はもちろん、アメリカや中国といった海外で販売されている車にも採用されています。
このマークは、ホンダが長年、ドライバーの視線の動きを研究してきた成果のひとつなのですね。
ホンダ車の三角マークは、開発メーカーの試行錯誤が詰まったものです。ほとんど気づかれないほど小さいのに、運転者の視線を安定させ、運転の安全性を高める働きをしています。
フェンダーミラーが、車幅の目印になる、といわれていましたが、その代わりになる働きをこの小さいマークが担っているのです。
フェンダーミラーが、車幅の目印になる、といわれていましたが、その代わりになる働きをこの小さいマークが担っているのです。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。