【試乗記】スズキ『e ビターラ』登場 我慢しないEVの真価に迫る

e ビターラ

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スズキが満を持して送り出す初のEV『e ビターラ』がついに姿を現しました。

SUVの人気モデル「ビターラ」の名を受け継ぎながらも、電気自動車としてゼロから設計された本モデルは、スズキのEV戦略を象徴する1台。
開発に携わったチーフエンジニアは「EVだからといって特別な存在にはしたくなかった」と語り、誰もが安心して使える“日常使いに馴染むEV”を目指したといいます。

全方位で刷新されたe ビターラの魅力を、開発の想いや技術とともに紐解いていきます。

宇田川 敦史|うだがわ あつし

旧ヤフージャパン社の元自動車サービスマネージャー、カービュー社のプロデューサー、carview!編集長、日本カー・オブ・ザ・イヤー執行役員。
現ファブリカコミュニケーションズ社のメディア車選びドットコムとカープライムの統括編集長。
消費者目線でのクルマ選びとクルマ好きならではの目線をバランス良く発信し、一人でも多くの方が車が好きになっていただける世界に貢献したいと考えています。

宇田川 敦史
Chapter
スズキならではの開発コンセプト
商品コンセプトと車名の意味
エクステリア・インテリアデザイン
パワートレイン・走行性能
駆動性能・4WD技術
プラットフォームと空間設計
生産体制とグローバル展開
気になる価格は?

スズキならではの開発コンセプト

2025年初夏、スズキ「e-ビターラ」の試乗会に参加してきましたので、レポートします。

スズキは、EVだからといって特別なものにしないというのがe ビターラの開発における出発点。スズキが大切にしたのは、クルマとしての基本である“走る・曲がる・止まる”を徹底的に作り込むことだと言います。
さらには、ユーザーがどのように使い、何に不便を感じるかを徹底的に調査し、「安心して使えるEV」を目指して開発されました。そこにはスズキの乗る方、お客様への想いがあるのではないでしょうか。

単にエンジン車を電動化するのではなく、クルマとしての使い勝手や楽しさを追求し、実用性と走行性能を両立させた一台と言えるでしょう。

商品コンセプトと車名の意味

e ビターラの開発コンセプトとして掲げられたのは、「エモーショナル・バーサタイル・クルーザー(Emotional Versatile Cruiser)」という言葉。
これは感性に訴える魅力(エモーショナル)、多用途に応える柔軟性(バーサタイル)といった長所を一台に凝縮した存在を意味します。

電動化が進むなかでも、“走る場所・使う場面を制限したくない”という想いが込められたこのEVは、都会の道からアウトドアのフィールドまで、どこへでも気兼ねなく連れ出せる“相棒”として設計されています。

エクステリア・インテリアデザイン

e ビターラのデザインテーマは「High tech & Adventure」。
これは、EVとしての先進性とスズキが長年培ってきたSUVの力強さ、その“掛け合わせ”にこだわった設計思想を表しています。

外観ではロングホイールベースと短いオーバーハング、外径の大きなタイヤによって、マッシブで安定感のあるシルエットを実現。
一方インテリアは、大型のインテグレーテッドディスプレイを中心に、先進感と機能性が融合された構成になっています。

フロアは若干高めで、長身の方がリアシートに座ると、頭上空間は限られますが、普段使いに問題ないレベルに思えました。

見やすさ・操作性・質感の三拍子がそろった空間は、走行中の安心感と高揚感を高めてくれます。

パワートレイン・走行性能

e ビターラは、スズキが初めて開発したEV専用のパワートレインユニット「EAxle」を搭載しています。

モーターとインバーターを一体化したコンパクトな構造で、高効率かつ高出力を両立。
キビキビとした発進加速や、低速から高速域まで鋭い追い越し加速を実現し、EVならではのダイレクトな走りを体感できます。

また、安全性を重視した新開発のリン酸鉄バッテリーパックは、「燃えにくさ」を特徴に掲げ、コストメリットと安心感を確保。

静粛性・加速性能・安定性を兼ね備えた走行フィールが、日常の移動に“上質な体験”をもたらします。

サーキットでの試乗のため、路面状態が良い状態での試乗会でしたが、サスペンションの初動は低フリクション設計のためか、滑らかな乗り心地です。
車重も車高も高いSUVですので、絶対的なコーナーリング速度が速い訳ではありませんが、スポーティなハンドリングと回頭性を見せてくれます。

ATのシフトセレクターはレバーではなく、ダイヤル上の回転式だったのですが、他メーカーにあまりない操作方法なため、慣れるまでクルマを動かすことができませんでしたが、
アクセルやブレーキは自然なフィーリングで、安心感がありました。

駆動性能・4WD技術

EVだからといって走る場所を選びたくない、との想いから、e ビターラにはスズキ伝統の4WD技術を受け継いだ電動4輪駆動システム「ALLGRIP e」が搭載されています。

前後にモーターを配置し、悪路走行時の走破性はもちろん、EVの静かで滑らかな特性に、SUVらしい逞しさと頼もしさが加わることで、街乗りからオフロードまで幅広いシーンに対応します。

ジムニーなどで鍛え上げられてきた4WDノウハウも生きていることでしょう。

プラットフォームと空間設計

e ビターラには、スズキが新たに開発したEV専用プラットフォーム「HEARTECT-E(ハーテクト・イー)」が採用されています。

このアーキテクチャは、大容量バッテリーを車体下部に効率よく配置しながらも、乗員空間を最大限に確保することを重視して設計されました。
床下電池の搭載によって低重心化が図られ、走行安定性と快適な居住性を両立。
また、荷室スペースも犠牲にせず、日常からレジャーまで使い勝手の高いパッケージングを実現しています。

生産体制とグローバル展開

e ビターラは、スズキのグローバル戦略の要として、インド・グジャラート工場で生産されます。

同工場はマルチ・スズキの中核拠点であり、世界各地に向けて製品を送り出す体制が整備されています。
生産はスズキの世界統一品質基準に基づいて行われ、地域を問わず高い品質が保証されるのも大きな特長です。

また、e ビターラは「スズキEVの新基準」と位置づけられており、このモデルを皮切りに今後展開される電動ラインアップの土台となる存在です。

気になる価格は?

電動化という大きな変革の中でも、クルマ本来の楽しさや使いやすさを犠牲にせず、ユーザー視点を貫いたスズキの開発姿勢が随所に表れています。

EVとしての先進性、SUVとしての頼もしさ、そしてスズキらしい実直なものづくりが融合したe ビターラは、「我慢しないEV」の新たな選択肢といえるでしょう。

生活に寄り添い、冒険にも応える一台が、EVとの距離を縮めてくれるかもしれません。

気になる価格ですは、未発表なため、残念ながら現状では不明ですが、スズキらしい買いやすい設定にしてくれると信じています。

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