日本の高速道路で一番急なカーブはどこ? 驚異のR=200m急カーブと危険な急カーブ区間

高速道路 カーブ

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高速道路は、安全に高速走行できるよう可能な限り直線的に造られ、カーブもゆるやかに設計されています。しかし日本は山がちな地形のため、どうしてもきついカーブが生まれてしまいます。では、日本の高速道路で最も急なカーブ(コーナー)はどこにあるのでしょうか?

全国の高速道路には様々なカーブがありますが、その中でも半径わずか200mという非常に小さなカーブが存在します。本記事では、日本一急な高速道路のカーブとその背景に迫り、他の急カーブ区間や安全対策、運転の注意点なども紹介します。

CARPRIME編集部

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Chapter
日本一きつい高速カーブ: 中国道R=200mの超急コーナー
カーブの指標「R」と高速道路の設計基準
急カーブが連続する要注意区間
東名高速 大井松田IC~御殿場IC
中央自動車道 飯田山本IC~園原IC
東北自動車道 村田IC~仙台南IC
中国自動車道 美祢IC~美祢西IC「魔のカーブ」
急カーブ走行時の安全運転ポイント
十分な減速とスムーズなハンドル操作
下り坂では速度を抑制
雨天時はいつも以上に慎重に
急ハンドル・急ブレーキ厳禁
まとめ

日本一きつい高速カーブ: 中国道R=200mの超急コーナー

例えば東京近郊では、東名高速下り・大井松田IC~御殿場IC間は比較的きついカーブが連続することで知られています。
その区間でも最も半径が小さいカーブはR=300mで、高速道路では滅多に見ない急カーブですが、それを上回る“超急カーブ”が存在します。

それが、中国自動車道の呰部(あざえ)トンネル付近(岡山県真庭市)にあるR=200mのコーナーです。本線上のカーブ半径としては日本一小さく、他の高速道路では類を見ないきつさと言えるでしょう。

なお、同区間(北房IC~新見IC間)には他にもR=250R=300といった高速道路では珍しい急カーブが連続しており、一部では最高速度が60km/hに制限されています。

カーブの指標「R」と高速道路の設計基準

高速道路などで見かける「R=○○」という表示は、そのカーブの曲線半径 (Radius) を示します。数字が小さいほど小さな円を描くことになり、つまりカーブが急になります。

一般道の感覚ではR=200mは大きなカーブに思えますが、高速道路の速度域では極めてきついコーナーに感じられます。ちなみにレーシングコースの鈴鹿サーキットにも「200R」と呼ばれるコーナーがあるほどで、高速道路上にR=200m級のカーブが存在するのは異例と言えるでしょう。

また、道路構造令という法律では道路の設計速度に応じた曲線半径の基準が定められています。設計速度120km/hの高速道路では、曲線半径は原則R=710m以上やむを得ない場合でもR=570m以上と規定されています。

設計速度100km/hの場合でも最小でもR=380mです。これらと比べると、R=200mという数値が高速道路の本線上に存在すること自体が極めて異例であることが分かります。

急カーブが連続する要注意区間

日本の高速道路には、R=200mほどではないにせよ急カーブが連続し注意を要する区間が各地に存在します。主な例を挙げてみましょう。

東名高速 大井松田IC~御殿場IC

神奈川・静岡県境の山間部に位置し、急カーブと急勾配が連続するため最高速度が80km/hに制限された区間です。

R=600以下のカーブも多く、下り線の鮎沢PA手前にはR=300mという急カーブがあります。

NEXCO中日本の資料によると、この区間のR=1500未満のカーブ数は58か所にも上り、事故による渋滞発生件数も他区間より突出しているとのことです。

並行して建設中の新東名高速は最小でもR=3000mと設計されており、旧東名との線形の差が際立ちます。

中央自動車道 飯田山本IC~園原IC

中央道にも急カーブ区間は多いですが、とりわけ阿智PA付近には「最急カーブ」と警告看板が立つ地点があります。半径R=300m・下り勾配5.4%という厳しい線形で、最高速度は70km/hに規制されています。

2006年には大型車がこのカーブを曲がり切れず横転し、そこへ後続16台が次々と突っ込む事故が発生しました。以降、NEXCO中日本は約1.5km手前から複数の電光式注意喚起標識を設置するなど安全対策を強化しています。

東北自動車道 村田IC~仙台南IC

仙台近郊のこの区間も、丘陵地から市街地へ降りる長い下り坂に急カーブが連続します。

「この先急カーブ R=400」といった警告標識が何度も現れ、最高速度は80km/hに制限されています。2019年上半期には76件もの事故が発生しており、宮城県内の高速道路で事故件数ワーストとなった区間です。

中国自動車道 美祢IC~美祢西IC「魔のカーブ」

山口県内のこの区間は地元で「魔のカーブ」と呼ばれるほど事故が多発しています。急カーブとアップダウンが連続するため特に注意が必要なエリアです。

2022年までの10年間にこの区間で66件の人身事故が発生しました。事故多発を受け、NEXCO西日本は路面を赤茶色に塗装してカーブと下り坂の存在を強調し、カーブ内でのタイヤ滑りを抑制する対策を実施しています。

さらに逆V字型の路面標示で速度超過を抑える視覚効果を持たせ、ドライバーに減速を促しています。

急カーブ走行時の安全運転ポイント

十分な減速とスムーズなハンドル操作

急カーブに差しかかる前に十分減速し、カーブに沿ってハンドルをなめらかに操作しましょう。

下り坂では速度を抑制

長い下り坂では気づかぬうちに速度が出やすいため、常にスピードメーターを確認して速度超過を防ぐ意識が重要です。

雨天時はいつも以上に慎重に

雨の日の急カーブは直線区間に比べて事故リスクが約95倍にも高まるとのデータがあります。視界不良や路面の滑りやすさが重なるため、晴天時以上に減速し、車間距離を十分に取って走行しましょう。

急ハンドル・急ブレーキ厳禁

急なハンドル操作や急ブレーキは横滑りや横転のリスクを高めてしまいます。雨天時は特に慎み、常に余裕を持った運転を心掛けることが大切です。

まとめ

日本の高速道路は基本的にゆるやかな線形で設計されていますが、山岳地形や歴史的経緯によって“例外的にきつい”カーブが残っています。
最小級のR=200m(中国道・呰部トンネル付近)を筆頭に、東名(大井松田〜御殿場)、中央道(阿智周辺)、東北道(村田〜仙台南)、中国道(美祢周辺)などは、急カーブと下り勾配が重なりやすい要注意エリアです。
急カーブでの基本は「手前でしっかり減速」「一定でなめらかな操舵」「視線は遠く」。長い下りは自然と速度が乗るため、メーターで速度管理を徹底しましょう。雨天時はリスクが大幅に上がるため、晴天時以上の余裕を持った減速・車間確保・早めの操作がカギです。タイヤ・ブレーキの状態確認も日頃から忘れずに。

設計基準上は大きな半径が求められる一方、既存路線には避けがたいカーブが残ります。新東名のように線形改良が進む地域もありますが、現状で最終的な安全を担うのはドライバーの判断と準備です。

地図アプリの警告表示PAでの小休止を活用し、「数分の短縮」より「確実な到着」を優先する——それが急カーブ区間での最善策です。
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