扁平率の低いタイヤで燃費や乗り心地はどう変わる?注意点と改善策【2025年最新】

ホイール
スポーツカーなどに多い大径ホイール&低扁平タイヤの組み合わせは、見た目の迫力が増します。しかし扁平率が低いタイヤには乗り心地悪化などのデメリットもあり、注意が必要です。
Chapter
扁平率とは?タイヤの扁平率の定義と見分け方
扁平率が低いタイヤのメリット
見た目がスポーティでカッコいい
ハンドリングや走行安定性の向上
ブレーキ性能の向上(間接的な効果)
扁平率が低いタイヤのデメリット・注意点
乗り心地の悪化とロードノイズの増加
段差やキャッツアイ走行時の衝撃リスク
縁石ヒットによるホイール損傷(ガリ傷)
パンク(リム打ち)やバーストのリスク
タイヤ費用の増加とその他のデメリット
低扁平タイヤ装着車の運転で気をつけたいポイント
路面の状況を常に警戒する
コーナリングは丁寧に、最初は控えめに
空気圧の管理を徹底する
駐車時のタイヤ位置に注意
低扁平タイヤのメンテナンス方法と交換の目安
日頃のメンテナンス
タイヤ交換の目安
豆知識:タイヤにまつわるトリビアあれこれ
オフロード車はあえて扁平率が高い👀
「ロープロファイルタイヤ」の登場と歴史🚗
空気のいらないタイヤ?エアレスタイヤの未来🌬️
まとめ

扁平率とは?タイヤの扁平率の定義と見分け方

扁平率(へんぺいりつ)とは、タイヤ断面の「高さ」と「幅」の比率を百分率(%)で表したものです。計算式で表すと「タイヤの断面高さ ÷ タイヤの断面幅 × 100」で求められ、一般的にはタイヤ側面(サイドウォール)に刻印されたサイズ表記から確認できます。数値が小さいほどタイヤの背が低く(薄く)なり、逆に数値が大きいほどタイヤの厚みが増すということになります。

例えばタイヤに「205/60R15 91H」と表示されている場合、タイヤ幅が205mm、扁平率は60%、ホイール径15インチという意味です。扁平率60%とは「タイヤ幅205mmに対して高さが123mm(205×0.60)ある」という計算になります。近年は車両の大型化に伴いタイヤ径も大きくなる傾向があり、それに比例して扁平率はどんどん低くなる傾向があります。一般的には扁平率が60%以上なら「高い(ハイプロファイル)タイヤ」55%以下なら「低い(ロープロファイル)タイヤ」と分類されます。

扁平率の数値はタイヤ性能や乗り味に大きく影響します。では、扁平率が低いタイヤならではのメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

扁平率が低いタイヤのメリット

見た目がスポーティでカッコいい

扁平率を下げる(インチアップする)とホイール径が大きく見えるため、クルマの足元の印象が引き締まりスタイリッシュでスポーティなルックスになります。デザイン性の高いアルミホイールを履いている場合は、そのデザインをより強調できる利点もあります。タイヤの厚みが薄いシャープな見た目はドレスアップ効果が高く、低扁平タイヤが流行した大きな理由の一つです。

ハンドリングや走行安定性の向上

扁平率の低いタイヤは一般的に同じ幅のタイヤで比較するとトレッド(接地面)が幅広になっている場合も多く、コーナリングや高速走行時の安定性が向上する傾向があります。サイドウォール剛性も高くなるためタイヤのよれが少なく、ハンドル操作に対する応答性が良くなる可能性が高くなります。実際、多くのスポーツカーや走行性能を重視した車種では標準で扁平率の低いタイヤが採用されており、コーナリング性能や直進安定性を高めています。

ブレーキ性能の向上(間接的な効果)

扁平タイヤそのものの効果というより、インチアップでホイールが大径化すると大径ブレーキローターを装着できるようになるため制動力向上につながる場合があります。また接地面積の増加によりグリップが高まればブレーキ時の安定感も増すでしょう。ただしタイヤや車両設計全体との兼ね合いもあるため、一概に低扁平タイヤ=制動距離が短いとは言えませんが、間接的なメリットとして覚えておきましょう。

扁平率が低いタイヤのデメリット・注意点

乗り心地の悪化とロードノイズの増加

低扁平タイヤは空気のクッション量が減るため、路面からの衝撃を吸収しにくく乗り心地が硬くなりがちです。小さな段差や継ぎ目でもゴツゴツと振動を伝えやすく、特に同乗者に不快感を与える場合があります。また接地面積が広がった分だけタイヤが拾うロードノイズ(走行音)が大きくなる傾向もあり、車内で音楽や会話が聞き取りにくくなることもあります。スポーティな見た目と引き換えに快適性が損なわれる点は覚悟が必要です。

段差やキャッツアイ走行時の衝撃リスク

道路上の段差(スピードバンプや舗装の継ぎ目、pothole〈ポットホール:穴ぼこ〉)や、道路中央線付近に埋め込まれた反射鋲であるキャッツアイ(車線逸脱防止の突起)を乗り越える際、低扁平タイヤだと強い衝撃が車体に伝わりやすくなります。サイドウォールが薄くたわみに余裕がないため、衝撃を吸収できず最悪ホイールのリム変形やアライメント狂いなどのトラブルにつながる可能性があります。実際、居眠り運転などでキャッツアイを踏んでしまいホイールを歪めてしまった…というケースもあります。低扁平タイヤ装着車でどうしても段差を超える必要がある場合は、スピードを落としてショックを和らげるようにしましょう。

縁石ヒットによるホイール損傷(ガリ傷)

扁平率が低いタイヤはサイド部分の厚みがないため、駐車時に縁石(縁石ステップ)にタイヤを擦りつけてしまうと、タイヤより先にホイールのリムが直接当たってしまいやすい構造です。その結果、美しいアルミホイールにガリ傷(擦り傷)が入ってしまうリスクが高まります。またタイヤのサイドウォール自体も高さが低い分、従来なら当たらなかった高さの障害物に当たりやすくなるという欠点もあります。縁石ギリギリに寄せて駐車する際などは、普段以上にタイヤとホイールの位置感覚に注意しましょう。

パンク(リム打ち)やバーストのリスク

低扁平タイヤは衝撃に対する余裕が少ないため、空気圧が不足した状態で段差乗り越えなど強い衝撃を受けると内部でタイヤとホイールがぶつかり、「リム打ちパンク」と呼ばれる損傷が起きやすくなります。リム打ちによってタイヤ内部に亀裂が入ると走行中に突然バースト(破裂)する危険もあるため非常に危険です。空気圧さえ適正であれば大半は防げますが、低扁平タイヤはもともと空気容量が少なく自然に圧が低下しやすいため要注意です。こまめな空気圧チェックを怠らないようにしましょう。

タイヤ費用の増加とその他のデメリット

一般に扁平率が低い高性能タイヤほど価格も高くなる傾向があります。同じ車両外径のタイヤでも、50偏平より40偏平、30偏平…と薄型になるほど製造コストが上がり販売価格も高めです。見た目が良くチヤホヤされる反面、ランニングコストがかかる点はデメリットと言えます。また燃費の悪化も無視できません。

扁平率が低い=タイヤ幅が広がり転がり抵抗が増すことや、インチアップでホイール自体が重くなる場合があることから、燃費性能はやや低下する傾向があります。加えて、扁平タイヤはわだち(轍)にハンドルを取られやすい(道路のくぼみに沿って車がふらつく)とか、雨天時にハイドロプレーニング現象(高速走行時にタイヤが水膜に乗って滑る現象)が起きやすくなる、といった報告もあります。総じて低扁平タイヤでは運転中に注意すべき状況が増えるため、デメリットも理解した上で採用することが大切です。

低扁平タイヤ装着車の運転で気をつけたいポイント

路面の状況を常に警戒する

荒れた路面や段差のある道ではスピードを落とし、ハンドルはしっかり握って走行します。低扁平タイヤ車では、従来タイヤよりハンドルへの反応が機敏になる一方、路面の凹凸にハンドルを取られやすくなるため、慎重なハンドル操作を心がけます。特に高速走行中、わだちや雨で水たまりがあるときは突然挙動が乱れる可能性があるので減速して安全マージンを取ることが大切です。

コーナリングは丁寧に、最初は控えめに

低扁平タイヤはコーナリング性能が高い反面、タイヤのヨレが少ない分だけ挙動がシビアになる場合もあります。初めて低扁平タイヤに履き替えた直後などは、ハンドル操作に対する車の反応が以前と異なるため、最初はゆっくりめのペースで車の挙動に慣れるまで慎重に曲がるようにしましょう。ハンドルを切り過ぎない・急ハンドルを避けるといった基本も改めて意識してください。

空気圧の管理を徹底する

前述の通り低扁平タイヤは空気圧低下に特に敏感です。月に一度はガソリンスタンドやエアゲージでタイヤ空気圧を点検・補充しましょう。近年の車にはタイヤ空気圧警報(TPMS)が搭載されている場合も多いですが、過信せず自分でもチェックする習慣をつけてください。適正空気圧を維持することで乗り心地の悪化や燃費低下もある程度抑えられますし、何よりリム打ちパンクの防止策となります。

駐車時のタイヤ位置に注意

縁石のある場所に駐車する際はタイヤと路肩の距離感に気を配り、できるだけ縁石にタイヤやホイールを擦らないようにしましょう。バックで駐車する場合も段差に後輪を強く当てないようゆっくりと近づけます。低扁平タイヤでは些細なヒットでもホイールに傷が付いたりタイヤ側面を痛めたりしやすいので、丁寧な取り回しを心がけます。

低扁平タイヤのメンテナンス方法と交換の目安

日頃のメンテナンス

  • 空気圧チェック: 最低でも月に1回、走行前の冷えた状態で指定空気圧に調整します。
  • 外観チェック: タイヤ側面に傷やひび割れ、膨らみ(ピンチカット)がないか特に注意深く確認します。膨らみは走行中に破裂(バースト)する危険性が高いため、発見したら直ちに使用を中止し交換が必要です。
  • ホイール点検: 段差などの衝撃によるホイールの曲がりや、ひび割れがないか確認します。
  • ローテーション: 摩耗を均一にするため、1万km走行などを目安に定期的なタイヤの位置交換を検討しましょう。

タイヤ交換の目安

  • 溝の深さで判断
残り溝が1.6mmになると現れる「スリップサイン」が出たら、法律上使用できないため交換が必須です。
安全のため、溝が4mm程度になったら交換を検討することが推奨されます。

  • 使用年数で判断
ゴムは時間と共に劣化するため、製造から10年が経過したタイヤは交換が推奨されます。
5年以上経過したタイヤは、ゴムが硬化して性能が低下している可能性があるため、専門家による点検が望ましいです。
 
  • 損傷状態で判断
深いひび割れ、片側だけが異常に摩耗している、側面に膨らみや傷があるといった場合は、年数や溝に関わらず速やかな交換が必要です。

豆知識:タイヤにまつわるトリビアあれこれ

オフロード車はあえて扁平率が高い👀

最近のSUVでもオンロード志向のモデルは扁平率の低いタイヤを履くことがありますが、本格的な四駆オフロード車(ランドクルーザーやジープなど)は今でも厚みのある高扁平タイヤを採用しています。その理由は悪路での衝撃吸収と走破性向上のためです。

背の高いタイヤは内部に多くの空気を蓄えられるためクッション性が高く、岩場や段差の衝撃から車体を守ります。またタイヤ外径が大きく接地面が縦方向に長いほど、泥や砂利道で路面を掴むトラクション性能が向上します。一方で舗装路コーナリングでは接地幅が広い低扁平タイヤの方が有利なので、用途に応じてタイヤの扁平率も最適なバランスがあるのです。

「ロープロファイルタイヤ」の登場と歴史🚗

扁平率が低いタイヤは英語で「Low Profile Tire(ロープロファイルタイヤ)」と呼ばれ、1960年代以降に高性能車向けに本格普及しました。かつては扁平率70%でもスポーツタイヤと呼ばれましたが、タイヤ技術の進歩で側面剛性が向上し現在では30%台という極端に薄いタイヤも珍しくありません。

最近では自動車レースのF1でも従来の13インチホイール+厚いタイヤから18インチ+薄いタイヤに変更されるなど(2022年~)、時代とともに扁平タイヤ化が進む傾向があります。もっとも、乗り心地や操作性とのトレードオフもあるため、自家用車では見た目と実用性のバランスを考えて扁平率を選ぶことが重要でしょう。

空気のいらないタイヤ?エアレスタイヤの未来🌬️

近年、一部メーカーから空気を充填しない新構造のタイヤ(エアレスタイヤ)の研究・試作が報告されています。内部がハニカム構造の特殊樹脂スポークで支えられたタイヤで、パンクしないのが最大のメリットです。まだ実用化段階ですが、もしエアレスタイヤが一般化すれば扁平率という概念自体が変わる可能性があります。とはいえ現在主流の空気入りラジアルタイヤは長年の改良で熟成され信頼性も高いので、当面は適切な空気圧管理の下で安全に使用するのが賢明と言えるでしょう。

まとめ

扁平率の低いタイヤは見た目のカッコ良さや走行性能向上といった魅力がある一方、乗り心地の悪化や衝撃によるダメージリスク増大など注意すべき点も多く存在します。【扁平率の定義】【メリット】【デメリット】【運転時の注意】【メンテナンス】と順に解説してきたように、メリット・デメリットを正しく理解した上で付き合うことが大切です。初心者の方は特に、本記事で述べたポイントを踏まえて安全運転と日頃の点検を心掛けてください。

低扁平タイヤの特性を把握し上手に付き合えば、見た目も走りも楽しみながら愛車とのカーライフを充実させることができるでしょう。ぜひ正しい知識を持って、あなたにとってベストなタイヤ選びと安全・快適なドライブを実現してください。

商品詳細