レシプロエンジンとロータリーエンジン…それぞれのメリット•デメリットは?

ロータリーエンジン(NSU ヴァンケルスパイダー)

その昔は夢のエンジンのように扱われたロータリーエンジンですが、今や量産乗用車用のメイン動力としてはどこも使っておらず、マツダが復活させない限り今後も新しいロータリーエンジン車は登場しないでしょう。結果的に主役を譲らなかったレシプロエンジンとのメリット•デメリット比較をしてみます。

複雑なパズルのようだった事がレシプロエンジンのメリットを生んだ

ロータリーが登場した当初のレシプロエンジンと言えば、キャブレターにしろインジェクションにしろ燃料供給は機械式、OHVエンジンが当たり前で旧態依然なサイドバルブエンジンすら残っており、マルチバルブや可変バルブタイミングもありません。

市販ターボ車も無かったので、パワーを上げるなら大排気量エンジンや高回転エンジンで燃料をどんどん使っていたため燃費も悪く、排ガス規制がかかれば途端にパワーダウンする、というものでした。

しかし、ロータリーエンジンに比べれば熱効率が高く、エンジンの制御さえうまくいけば、高出力化した時に燃費が落ちにくいという事が内燃機関としての決定的な差となります。複雑な構造がかえってその場その場で最適化、効率化のチャンスとなり、燃焼の電子制御化でその細かい部品のひとつひとつを精密機械のように緻密に制御した事で、その時々で低燃費と排ガス浄化を達成し、続いてハイパワー化に手を付けるという繰り返しが可能になったのです。

その結果、単純な構造ながら発展が頭打ちとなったロータリーに対してレシプロエンジンはますますハード•ソフトの両面で複雑化しながら発展を続ける事ができました。

今では軽トラですらDOHCマルチバルブ、バルブタイミング可変式の電子制御式エンジンが当たり前になっています。

振動問題やEVの台頭で将来は消える?レシプロエンジン

「主動力としての内燃機関」としてはロータリーに圧倒的な勝利を収めたレシプロエンジンですが、将来いつまで存在するかと言えば、ロータリーよりは早く無くなるかもしれません。

いつか内燃機関が主動力では無くなる日、といっても数十年から百年は先の話だと考えますが、その頃に補助動力として生き残ろうとした場合、振動や騒音の面ではロータリーエンジンに劣るからです。耐久性や燃費では今でもレシプロエンジンの方が勝るとはいえ、それは主動力としての話。

レンジエクステンダーEVの補助動力として考えた場合はある程度の回転数で定速回転してくれれば良いので、余計な補機類が不要な小型発電用ロータリーの方がコンパクトで、メンテナンス性も単純構造のロータリーが勝ります。

かつ高負荷を求められないので水素やガスで駆動しても良いわけで、その場合は補助動力として復権したロータリーより、レシプロエンジンの方が早く消えるかと思います。ただし、主動力としては数多くのメーカーで大量生産されて部品も豊富なレシプロエンジンが、今後数十年は使い続けられる事でしょう。

その時代には、「過去の遺物」である事が魅力なレシプロエンジンと、「最先端の補助動力であるロータリーエンジンを6ローターどころか何ローターも繋げたマルチロータリー」を搭載したクルマのレースで盛り上がる、なんて事があるかもしれませんね。

Source:
55-parkway.com