なぜ最近の車はタイヤ(ホイール)が大きいのか|今では20インチも当たり前!?
更新日:2024.09.09
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最近では20インチ以上のホイールは当たり前のようにあり、軽自動車ですら純正で16インチホイールを採用している車種があります。それにも関わらず未だに「新車のサイズでないと車検に通らない」と思い込んでいる人もいる過渡期ではありますが、ホイールはいつからこのように大きくなったのでしょう?
ホイールの大径化はタイヤの低扁平率化、クルマの高性能化の歴史でもある
ホイールというものはそれ単体では「部品」として成立しません。
もちろん「商品」として裸の状態で店に並んでいる事もありますが、実際に使用する際にはタイヤを組み込み、「タイヤホイール」としてでないと、クルマを走らせる事ができないのです。
つまり、ホイールが変わっていく歴史とは、タイヤが変わっていく歴史と常にコインの裏表、まずはタイヤの歴史から紐解かなければいけません。
さらに言えば、ホイールの内側にあるもの、つまりブレーキにも関わる話です。
今はなぜホイールが大きいのか、逆に言えばなぜ昔はホイールが小さかったのか?
その理由を説明していきましょう。
もちろん「商品」として裸の状態で店に並んでいる事もありますが、実際に使用する際にはタイヤを組み込み、「タイヤホイール」としてでないと、クルマを走らせる事ができないのです。
つまり、ホイールが変わっていく歴史とは、タイヤが変わっていく歴史と常にコインの裏表、まずはタイヤの歴史から紐解かなければいけません。
さらに言えば、ホイールの内側にあるもの、つまりブレーキにも関わる話です。
今はなぜホイールが大きいのか、逆に言えばなぜ昔はホイールが小さかったのか?
その理由を説明していきましょう。
その昔、国産車のスポーツタイヤとは「70扁平」だった
今では信じられない話ですが、今から30年ちょっと前までは「70扁平」のタイヤがスポーツタイヤの主流でした。というより、それ以上の低扁平タイヤは運輸省で認可されず、車検が通らなかったのです。
1983年に運輸省からようやく60扁平のタイヤが許可され、フェアレディZで言えばZ31の時代にようやく215/60R15という純正タイヤが装着された、という時代でした。
それ以前であれば195/70R14であれば立派なスポーツタイヤ、普通の車であれば80扁平、82扁平が標準の時代でしたから、70扁平の車でさえスポーティ、60扁平や50扁平のタイヤなどを履くクルマは暴走族や走り屋系の違法改造車だったわけです。今となっては新車で60扁平のタイヤを履くクルマすら少なくなっている事を考えれば、本当に昔話の世界です。
そして、それだけ扁平率の高いタイヤしか認可されていないとなれば、当然ホイールも軽自動車なら10インチ、普通車なら12インチから14インチもあれば大きい方で、大径タイヤを履くトラックやバスなどの大型車、ジープのような特殊なクルマを除けば、大径ホイール時代がアンダーグラウンドの世界だったのです。
1983年に運輸省からようやく60扁平のタイヤが許可され、フェアレディZで言えばZ31の時代にようやく215/60R15という純正タイヤが装着された、という時代でした。
それ以前であれば195/70R14であれば立派なスポーツタイヤ、普通の車であれば80扁平、82扁平が標準の時代でしたから、70扁平の車でさえスポーティ、60扁平や50扁平のタイヤなどを履くクルマは暴走族や走り屋系の違法改造車だったわけです。今となっては新車で60扁平のタイヤを履くクルマすら少なくなっている事を考えれば、本当に昔話の世界です。
そして、それだけ扁平率の高いタイヤしか認可されていないとなれば、当然ホイールも軽自動車なら10インチ、普通車なら12インチから14インチもあれば大きい方で、大径タイヤを履くトラックやバスなどの大型車、ジープのような特殊なクルマを除けば、大径ホイール時代がアンダーグラウンドの世界だったのです。
低扁平タイヤの登場で「インチアップ」が流行った
先にも書いたように1983年に60扁平タイヤが、1988年には50、55扁平タイヤが運輸省から認可され、三菱 スタリオンGSR-VRのフロントに205/55R16、リアに225/50R16タイヤが装着されて国産市販車初の55/50扁平タイヤ装着車となったのです。
その後1990年代に入って規制緩和により「改造」が許されるようになり、「構造変更検査」(いわゆるマル改)を受けなくても、メーター誤差など走行に支障が無い範囲でユーザーがタイヤを選べるようになりました。そうなると、タイヤ直径を極端に変えるとメーター誤差が許容範囲を超えますし、そもそもクルマの構造的に大きくできる範囲は限られます。
結果、低扁平率で太いタイヤを履く傾向にドレスアップとしても、走行性能を上げる目的でのチューニングとしてもタイヤチョイスが変わっていったわけです。
その過程で、タイヤの「インチアップ」も流行りました。
すなわち、大径ホイールの登場です。
その後1990年代に入って規制緩和により「改造」が許されるようになり、「構造変更検査」(いわゆるマル改)を受けなくても、メーター誤差など走行に支障が無い範囲でユーザーがタイヤを選べるようになりました。そうなると、タイヤ直径を極端に変えるとメーター誤差が許容範囲を超えますし、そもそもクルマの構造的に大きくできる範囲は限られます。
結果、低扁平率で太いタイヤを履く傾向にドレスアップとしても、走行性能を上げる目的でのチューニングとしてもタイヤチョイスが変わっていったわけです。
その過程で、タイヤの「インチアップ」も流行りました。
すなわち、大径ホイールの登場です。
性能面からも求められたホイール大径化
こうして1990年代後半にはインチアップするクルマが相次ぎましたが、そうなると気になるのはホイールの内側です。大径ホイールを履くほど、中のブレーキローターの小ささや、あるいはドラムブレーキが目立ってしまいます。
そのため、それを隠す「フェイクローター」なる商品まで出たほどでしたが、ちょうど90年代はクルマ自体の高性能化が急激に進んだ事もあり、メーカーの方でもこれ幸いとブレーキ強化、ブレーキローターの大径化に手をつけました。
まだその動きが出る前のR32 GT-Rなどでは、スリット入りドリルドローターまで純正採用して、無理やりブレーキ性能を確保していましたが、亀裂が入りやすいなどかえって耐久性の面では不安が出ていた頃です。
そこでブレーキの大径化、それにブレーキローターを挟み込むブレーキキャリパーの高性能大型化もあって、かえって小径ホイールが履けなくなります。
そのため、それを隠す「フェイクローター」なる商品まで出たほどでしたが、ちょうど90年代はクルマ自体の高性能化が急激に進んだ事もあり、メーカーの方でもこれ幸いとブレーキ強化、ブレーキローターの大径化に手をつけました。
まだその動きが出る前のR32 GT-Rなどでは、スリット入りドリルドローターまで純正採用して、無理やりブレーキ性能を確保していましたが、亀裂が入りやすいなどかえって耐久性の面では不安が出ていた頃です。
そこでブレーキの大径化、それにブレーキローターを挟み込むブレーキキャリパーの高性能大型化もあって、かえって小径ホイールが履けなくなります。
ドレスアップ用途は行き着くところまで
その後は純正ホイールの大型化と、それに対するアフターマーケットでのインチアップ、さらに安全性向上やクロスオーバーSUVの流行などでクルマ自体の重量が増大した事で、さらにブレーキ性能が強化されて純正ホイールはさらに大径化。
そしてそれに対してまたアフターマーケットで…の繰り返しで、気が付けば「ホイールの周りにゴムが張り付いているだけに見える」というタイヤホイールの組み合わせまで登場しました。
実際には、過度に太いタイヤ、あまりの低扁平タイヤは操縦安定性も悪ければ乗り心地も悪い、何か踏むたびにホイールが歪むので、避けるための蛇行運転を強いられる・・などクルマにとっていい事は何ひとつ無いのですが、ドレスアップというのは走行性能を犠牲にしてまで行われる事もありますから、致し方ない面もあります。
チューニング用途や純正タイヤホイールでは、さすがに極端な低扁平タイヤと大径ホイールの組み合わせはありませんが、主に海外の重量級スポーツSUVなどでは20インチ以上のホイールが当たり前になっています。
そのはじまりは1980年代後半に求められますが、具体的には1990年代の改造規制緩和によるチューニング自由化から、ホイールの大径化が始まり、2000年以降は大径ホイール自体を必要とするクルマが増えた、と言っていいでしょう。
そしてそれに対してまたアフターマーケットで…の繰り返しで、気が付けば「ホイールの周りにゴムが張り付いているだけに見える」というタイヤホイールの組み合わせまで登場しました。
実際には、過度に太いタイヤ、あまりの低扁平タイヤは操縦安定性も悪ければ乗り心地も悪い、何か踏むたびにホイールが歪むので、避けるための蛇行運転を強いられる・・などクルマにとっていい事は何ひとつ無いのですが、ドレスアップというのは走行性能を犠牲にしてまで行われる事もありますから、致し方ない面もあります。
チューニング用途や純正タイヤホイールでは、さすがに極端な低扁平タイヤと大径ホイールの組み合わせはありませんが、主に海外の重量級スポーツSUVなどでは20インチ以上のホイールが当たり前になっています。
そのはじまりは1980年代後半に求められますが、具体的には1990年代の改造規制緩和によるチューニング自由化から、ホイールの大径化が始まり、2000年以降は大径ホイール自体を必要とするクルマが増えた、と言っていいでしょう。