ホンダ 10代目シビック(FC/FK型)の乗り心地は快適! パッケージングからシート機能・走行性能まで徹底解説!

ホンダ 10代目シビック

今回は、ホンダ 10代目シビック(FC/FK型)の乗り心地をメインに紹介していきます。

シビックは、ホンダの代名詞のようなクルマです。デビュー当時から現在まで、非常に強いこだわりをもってつくられています。9代目は日本では販売されていませんでしたが、10代目になって復活。

そして2021年秋には、11代目の日本仕様車販売が予定されています。

そんな10代目シビックについて、乗り心地を中心として特徴を紹介しましょう。

Chapter
そもそもホンダ 10代目シビックってどんなクルマ?
ホンダ 10代目シビックに見られる人中心の設計思想とは?
ホンダ 10代目シビックのフロントシートまわりの快適性
ホンダ 10代目シビックのリアシートまわりの快適性
ホンダ 10代目シビックの走行中の乗り心地と走行性能

そもそもホンダ 10代目シビックってどんなクルマ?

ホンダ シビックについて語るのであれば、シビックというクルマそのものについて語る必要があるでしょう。

シビックの名前は、「市民の」という意味の英語です。つまりは、市民のクルマであることを目指してつくられたということでしょう。当時の誰も創造することのできなかった新鮮なフォルム、FFに四輪独立懸架、OHCエンジン、コンパクトなサイズなのにゆとりのある居住空間…。そのさまざまな設計のすべてが、市民のためをおもってつくられたと言えます。

シビックの初登場は1972年です。N360で軽自動車ベストセラーにまでのぼりつめたホンダが、より本格的に四輪事業に参入するために海外市場を視野に入れてつくられました。

時代が環境性能の向上を求める前に低公害エンジンを取り入れたり、時代がスポーツモデルを求めればスポーツモデルを追加したりと柔軟性が高かったのが初代の印象です。

2代目以降もその柔軟性の高さは受け継がれており、今もなお変わっていません。

さらに、シビックにはその当時のホンダが持てるさまざまな技術が使われているのが特徴的です。初代のときに発表された低公害エンジンなどもそうですし、単にフレーム設計など設計開発段階の技術もそう。現在で言えばHONDA SENSINGという先進安全装備を標準搭載しているというのも、同様です。

ホンダは、シビックのことを「自社の設計思想や技術の全てを集結させたホンダの代名詞」のように称しています。

ところが、9代目は日本では販売されていませんでした。もともと日本での販売も予定されていたのですが、結果的に販売されなかったのです。楽しみにしていた人にとっては、とても悲しいニュースでした。

そして、2017年7月、日本市場では7年ぶりの10代目シビックが登場しました。

ホンダ 10代目シビックに見られる人中心の設計思想とは?

ホンダ シビックには、人中心の設計思想が見られます。というより、シビックはずっと人中心の設計思想でつくられていたのです。人中心というのは他のクルマでも耳にすることですが、具体的にどういうことなのか説明しましょう。

クルマは、人が乗るためにあるものです。人が乗って運転をし、自分自身や荷物・他の誰かを目的地まで運ぶ道具がクルマ。それならば、中心となるのはクルマではなく人です。人中心の設計思想とは、簡単に言えば本来自動車の主役であるはずの人間が快適に過ごせるようにすることを指します。

ホンダの場合、「M・M思想(マン・マキシム/メカ・ミニマム)」と呼ばれているようです。つまり、人のためのスペースは最大限とって、メカニズムは最小限におさえるということ。メカニズムが場所を大きく取った無骨なクルマもかっこいいですが、市民のためのクルマとは言い難いでしょう。

市民が街中で快適に乗るためには、人のスペースを大きく取るためにメカニズムのスペースは小さくするのが大切です。

海外のクルマになりますが、ミニクーパーがこの点をうまく体現しています。コンパクトボディで人が快適に座れる室内空間を実現するため、小径タイヤを四隅に追いやり、メカニズムのスペースの位置と大きさを調整し、見た目からは想像できないほどの室内空間が生まれました。

シビックは、言わばホンダにとってのミニだと言えるのかもしれません。

シビックはもともと、居住性、燃費、動力性能などのクルマとしての機能を最大限追求しながらも、既成概念にとらわれずエンジン・サスペンションは最小におさえるという人中心の設計思想を体現したモデルでした。

これは10代目にまで受け継がれています。

シビックの乗り心地について語るのであれば、このM・M思想について理解していなければなりません。これから語るシビックの室内空間、乗り心地の要となっているものですから。

ホンダ 10代目シビックのフロントシートまわりの快適性

ホンダ シビックのフロントシート(前席)は、セミバケットシートです。一般車の最もスタンダードな運転席の形状をしています。

しかし、細かな形に特徴があるのです。背面から側面にかけて面を巻き込んだような形をしており、これがしっかりと体をサポートしてくれます。肩の部分は打って変わってスリムになっており、リアシート(後席)からの視界もよくなっているようです。

さらに、フロントシートのセンターには収納付きのアームレストが搭載されています。これが結構しっかりとしたつくりになっており、運転席と助手席とを完全に隔てる仕切りとしても機能しているのが特徴的です。

運転席と助手席とは足元空間でシームレスにつながっているようなクルマも多いものの、このように分離されている方が運転手としては運転への没入感が上がり、集中しやすくなります。

そのうえアームレストで休憩中に腕を休めることもできるので、フロントシートの乗り心地・快適性はとても高いと言えるのではないでしょうか。

ホンダ 10代目シビックのリアシートまわりの快適性

ホンダ シビックの室内空間は、室内長1,910mm、室内幅1,465mm、室内高1,160mmとなっています。

セダンの場合は、室内幅が1,525mmで他は同じです。どちらも、しっかりとした広さがあります。人の空間は最大、メカの空間は最小というMM思想に基づいて、シビックにはダウンサイジングターボエンジンが搭載されているのです。これによりメカスペースを縮小し、伸びやかな室内長を実現しています。

さらに、フロントシートの下には足先が入るように設計されており、見た目以上にゆとりを感じる空間が広がっているのです。

リアシートの形状は、よくあるベンチシートです。中央にはリッドを下げることで出現するアームレストもあります。リアアームレストにはドリンクホルダーもついているので、リアシートに座る人も快適に過ごすことができるでしょう。

また、リアシートは座面中央が少しくぼんでいるようなデザインになっています。先端と奥に向かってゆるやかなスロープ状になっており、これが深く腰掛けたときの乗り心地の良さを作っているのではないでしょうか。

ホンダ 10代目シビックの走行中の乗り心地と走行性能

ホンダ シビックには、最高出力134kW(182PS)/5,500rpm(6MT)、最大トルク240Nm(24.5kgf・m)/1,900〜5,000rpmの1.5L直噴VTEC TURBOエンジンが搭載されています。公式によると、2.4L自然吸気エンジンをも凌ぐ高トルクと圧倒的な加速感を実現しているエンジンだとのことです。

ターボでパワーをしっかりと補う分、排気量は小さくしています。ダウンサイジングエンジンを積んでMM思想を重視したいものの、走行性能の高さと環境性能を両立するためのターボエンジンということです。

直噴システムの燃焼効率は高く、高効率な過給を実現した給排気デュアルVTC、電動ウェイストゲート付ターボチャージャーなどを採用しています。そのうえ、ハイオクガソリン仕様です。

結構しっかりと、こだわられています。

トランスミッションはCVTと6MTの2種類。CVTは、「G-Design Shift」というHonda独自の変速制御技術が使われています。これは、アクセル操作に対しリニアな加速Gを生んでくれるというものです。ターボラグを感じさせず、しかもGまで感じられるということで走りを楽しみたいけどMTには抵抗があるという人に嬉しい仕様となっています。

これだけの走行性能を備えているのですが、乗り味にもこだわっているようです。

アウトバーンでの高速走行でも高い安心感が得られるとともに、どんな速度でも楽しみやすい安定感のあるハンドリングがシャシーによって実現されています。さらに、液封コンプライアンスブッシュを採用したことで、乗り心地も上質に。重心と慣性も低いので、運転していても乗っていても安定感があります。

ホンダ シビックの乗り心地を中心的に紹介してきました。シビックは人中心のMM思想という設計思想のもと、市民のクルマとなることを目指してつくられたクルマです。世界市場に向けた世界戦略車でもあり、日本市民の生活に根付くクルマでもあります。

存在感があるようで実はそれほど大きくはないボディに、見た目よりも広く感じられる室内空間。そして、人を中心にするためダウンサイジングされたエンジン類は走行性能を全く犠牲にせずに人を中心とすることを成功させています。

乗り心地も、走行性能も、どちらも捨てたくないという人は要チェックなクルマです。

※2021年7月現在

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道