【プロ解説】ホンダ シビック タイプRのエクステリア(外装)デザインを徹底解説!!計算された機能パーツに注目!

ワイド&ローのフォルム、そして大きなリアウィングとスパルタンなスタイリングが特徴のシビックタイプRの外観デザイン。一体このようなアグレッシブなデザインにはどのような意味があるのでしょうか。シビックタイプRの外観デザインについて紹介します。

文・写真/萩原 文博

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機能に基づいたシビックタイプRのエクステリアデザイン
シビックタイプRのフロント周り
シビックタイプRのサイドビュー
シビックタイプRのリアビュー

機能に基づいたシビックタイプRのエクステリアデザイン

シビックタイプRのエクステリアデザインは、ベースとなるシビック開発当初から「タイプ R」を見据えて低く、伸びやかなプロポーションとしたことで、空気抵抗の低減を実現すると同時に、高速安定性や旋回時の限界性能向上を目指してダウンフォース強化も図られています。そしてマイナスリフトと空気抵抗の低減を高次元にバランスさせました。また、ダウンフォース発生や整流に効果を発揮する各種空力デバイスは、スタイリングと一体化させた洗練されたデザインとしました。

採用された空力デバイスを紹介すると、エアカーテンはバンパーコーナーよりフロントインナーフェンダーのスリットに空気の流れを導き、乱れやすいタイヤ前の気流をスムーズにすることでドラッグを低減します。フロントフリックアップはバンパーコーナーでの気流を上方に跳ね上げることでフロントダウンフォースを増加させます。リアフリックアップはフロント同様に、リアダウンフォースを増加させるとともに、リアタイヤ前の流れを整流することでドラッグの低減にも寄与します。

ボルテックスジェネレーターはルーフから後方に流れる空気の剥離を抑え、リアスポイラーの効果を高めます。リアスポイラー成型方法を変更することで先代モデルに対し、より薄い形状とし、空気抵抗を抑えながらも効果的にダウンフォースを発生させます。このようにシビックタイプRのデザインはすべて各機能に基づいたデザインとなっているのです。

シビックタイプRのフロント周り

フロント周りも機能に基づいたデザインとなっています。

インテークダクトが設けられたアルミボンネットは、ハイパワーユニットを積むエンジンルーム内の熱を、走行風により逃すことで冷却性能を高めています。また、通常のハッチバックモデルに対し、よりロー&ワイドのプロポーションとすることで、走行性能を高めるとともに、アンダースポイラー全周にわたって入る赤いピンストライプによって「低さ」がさらに強調されています。

加えて、マイナーチェンジで、フロントアッパーグリルの開口部拡大とバンパーデザインの変更を行いました。フロントバンパー下部にある、エアスポイラー両サイド部の形状を下側に延長し、ボディ下面への空気の流入を抑制。また、エアスポイラーの左右端にリブを追加し、フロントタイヤ前方の圧力をコントール。それらにより、空気抵抗の上昇を抑制しています。さらに、エアスポイラーの左右端部の稜線のアングルを車体がロールした際に路面と平行に近づくように変更。この結果、理想的な前後リフトバランスを実現し、ハンドルを切った時のレスポンスを高めるとともに、切り増していったときのリニアなハンドリング性能を実現しています。

シビックタイプRのサイドビュー

シビックタイプRのサイドビューは上質、スポーティー、先進を高次元で融合させたハッチバックモデルのプロポーションを継承。風洞テストにより導き出された機能的な形状の空力デバイスはブラックアウトさせて存在を強調させたほか、モール類もブラックで統一し、スポーツカーらしいスパルタンなムードを高めています。

シビックタイプRのリアビュー

シビックタイプRのリアビューは、薄型形状の大型リアウイングをブラック塗装とすることで、スタイリングに迫力を付加しつつ、ルームミラーに映り込んだ際には後方視界への違和感を感じにくくなっています。トリプルエキゾーストシステムは排気効率の向上やスポーツサウンドの演出に効果を発揮するとともに、シビック TYPE Rのパフォーマンスを印象づけるデザインとしました。先代モデルに対し、上下のパーツを構造接着剤で結合することで薄型化した現行モデルではウイングの上面と下面の圧力差を大きくすることで、より強大なダウンフォースを発生させます。

シビックタイプRの外観デザインは走りを楽しむクルマとしての「走りの機能美」を追求したシビックシリーズのデザインコンセプトをより一層際立たせた造形を追求しています。ハッチバックモデルに対してよりロー&ワイドのプロポーションとした上で、空力性能を高める各種のデバイスを付加。スポイラーやエアインテーク、ダクトなどのデザインは、すべて機能由来のものとして、スポーツカーらしいストイックなたたずまいにも寄与。さらに、当初より「タイプR」を見据えてプラットフォームの開発を行ってきたことで、全体のスタイリングと一体化させた洗練されたデザインとなっているのです。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ