【プロ解説】ホンダ シビック タイプRを歴史とともに徹底解説!!

シビックタイプRは、初代モデルが1997年にデビューし、現在6代目となります。FF世界最速を争うまでになったその進化の歴史を振り返っていきます。

文/写真・萩原文博

Chapter
初代モデル EK9
2代目モデル EP3
3代目モデル FD2
4代目モデル FN2
5代目モデル FK2
6代目モデル FK8

初代モデル EK9

「EK9」という型式で呼ばれ、現在でも高い人気誇る初代シビックタイプRは1997年8月に登場しました。シビックタイプRは、スポーティハッチバックとして高く評価をされているシビックをベースに走りの楽しさと運動性能を徹底追求。ホンダ「タイプR」開発の手法をNSX、インテグラに続き投入した3 ドア・FFスポーツモデルです。 レーシングスピリットを継承し、クルマを走らせる真の歓びをより多くのユーザーに堪能してもらいたいという願いと情熱をもって開発されました。

シビックタイプRは操る歓びを実現させるために、パフォーマンスロッドの採用などによるボディ剛性の強化をはじめ、車高ダウン、低重心化、ハードチューニングサスペンションの採用。トルク感応型ヘリカルLSDの搭載そしてタイプR専用ブリヂストンポテンザRE010タイヤを装着し、優れた旋回性能と安定性、制動力を確保し、人車一体感のある走りを実現しています。

搭載するエンジンは最高出力185ps、最大トルク16.3kg-mを発生する1.6L直列4気筒DOHC VTECエンジンを搭載。当時自然吸気エンジンとして世界最高峰の高出力、リッター当たり116馬力を実現し、ドライバーの意志に即応する高出力、高回転域の痛快な伸びと加速感の良さを実現しました。

さらに、高速安定性を高める空力パーツ(前・後アンダースポイラー&リアスポイラー)をはじめ、ホールド性を高める真っ赤なレカロ社製バケットシート(可倒式)とコーディネイトしたインテリア、ショートストロークチタン削り出しシフトノブなどスパルタンなテイストと洗練されたエクステリア&コクピットデザインを採用し、ドライバーの気持ちを高揚させる装備が満載です。

2代目モデル EP3

2代目のシビックタイプRは2001年10月に登場。開発コンセプトは“Dangan(弾丸) Hot Hatch”です。シビックタイプRの特徴であるJ「走る・曲がる・止まる」という高い基本性能と、力強さを表現したデザインを誇るエキサイティングな3ドアハッチバックとして、「ニュー・ブリットフォルム」、「エキサイティング・パフォーマンス」、「セイフティー&エコロジー」という3つのテーマを実現しています。また、2代目シビックタイプRはホンダ車として初めて、英国・Honda of the U.K. Manufacturingで生産され、日本に輸出されるモデルとなっています。

外観デザインは“ニュー・ブリットフォルム”をテーマに、エアロフォルムバンパー(フロント/リア)、ストレイキ一体型のサイドシルガーニッシュ、大型テールゲートスポイラーなどの専用パーツを標準装備し、エキサイティングなハッチバック・スタイルを追求しました。弾丸をイメージした個性的で存在感、躍動感のある力強いデザインの中に空力性能を最大限に盛り込み、高速走行時に優れた走行安定性を引き出すエアロダイナミックなフォルムを実現しています。

また、ボディはスポーツ走行時の応答性と限界性能の向上を目指し、ボディ骨格部材の約60%に高張力鋼板を使用。軽量化、ならびに徹底した高剛性化を図った新骨格ボディを採用。加えて優れた運動性とユーティリティを高次元で両立させる3ドアハッチバック専用のパッケージングを実現。大人2名が十分にくつろげるリア席をもつ広い室内空間を持ちながら、オーバーハング部を徹底的に短くし、高い運動性能を実現しています。また、ショートノーズでありながら、世界最高水準の衝突安全性を実現する高効率なパッケージングも実現しました。

インテリアは“ダイレクトドライビング”をテーマに、ドライバー優先のスポーティーでパーソナルな空間を創出。個性的なインパネ配置のアルミシフトノブは、操作性向上のため、形状、ストローク、操作荷重に至るまできめ細やかにチューニングされています。さらにホールド性を向上させた、ヘッドレスト一体型のスポーティーなレカロ社製バケットシート(フロント)、グリップフィーリングを向上させ、フィット感に優れた小径のMOMO本革巻3本スポークステアリングホイールを採用。インストルメントパネルに、こだわりを感じさせるアルミ調パネルを採用し、レーシーな雰囲気を演出しています。

搭載するエンジンは、高回転時に吸・排気バルブタイミング・リフト量を切り替えるVTECと、吸気バルブタイミングの位相をエンジン負荷に応じて連続的に制御するVTC(Variable Timing Control)を組み合わせた最高出力215ps、最大トルク202N・mを発生する高回転・高出力型2.0L 直列4気筒DOHC i-VTECエンジンを搭載。クラッチにも超軽量鍛造クロムモリブデン鋼フライホイールの採用により、俊敏なエンジンレスポンスと鋭い加速性能を実現しています。2004年1月にマイナーチェンジを行い、内外装を変更すると同時に盗難防止効果の高いイモビライザーを標準装備としました。

3代目モデル FD2

3代目となるシビックタイプRは2007年3月に登場しました。従来は3ドアハッチバックでしたが、このモデルは4ドアセダンとなりサーキットを含むあらゆる走行シーンで、人とクルマの一体感ある操るよろこびを目指して開発されています。外観デザインは「ピュアスポーツモノフォルム」をテーマに、空気を滑らかに流す面とシャープなエッジで構成しています。大開口のフロントバンパー&フロントグリル、リアバンパー&リアディフューザー、大型リアスポイラー、サイドシルガーニッシュなど空力性能に優れ、スパルタンな印象を醸し出す専用エアロパーツを採用しています。

シャシーはシビックの高いボディ剛性や優れたレイアウトを活かし、軽量、高剛性ボディを実現しました。ベース車(シビック2.0GL)に対し、軽量化と剛性力のアップを図り、従来のインテグラ TYPE Rと比べ、ボディ剛性を約50%向上させています。さらに、専用サスペンションと高性能な専用18インチタイヤ、トルク感応型ヘリカルLSD、耐フェード性に優れた大径ブレーキなどの採用により、中高速コーナーでの高い旋回性能と、操縦安定性を獲得し、操る楽しさを実現しています。

インテリアは「サーキットコクピット」をテーマに、全体を黒基調とし、人とクルマの一体感を感じることができる、操る楽しさを追求しています。専用の「Honda R specシート」(フロント)は、バケットシートで、ドライバーを面全体で包むようにし、高いホールド性で運転をサポートしてくれます。また、専用メーターパネル「i-VTEC/REVインジケーター」は、マルチプレックスメーター(自発光/レッド照明)の配置を活かし、サーキット走行などの高速走行時でも視線移動を少なく、運転に集中できるように、エンジン回転数を赤いランプの点灯で表示可能です。

搭載する2L直列4気筒DOHC i-VTECエンジンはNSX製法へッドポート処理の伝承により、ポート表面を滑らかにし、吸排気抵抗を低減。そして圧縮比を向上、インテークマニホールド及びエキゾーストマニホールドの最適化により高回転、高出力とともに実用域のトルクを向上したことで、最高出力225ps、最大トルク215Nmを発生。クロスレシオ6速MTが組み合わされていました。

ブレーキシステムはフロントに17インチのブレンボ社製のアルミ製対向4ポットキャリパーを採用。さらに専用18インチハイパフォーマンスタイヤ、ポテンザRE070を採用するなど走る楽しさを徹底追求したレーシングテイストを味わえるスポーツモデルに仕上げられています。そして2008年9月に一部改良を行い、電動格納式リモコンカラードドアミラーの標準装備化や新形状のリアコンビネーションランプを装着。そしてボディカラーに新色の3色を追加しています。

4代目モデル FN2

2009年11月には、スタイリッシュなフォルムと欧州で鍛えられた運動性能を合わせ持つプレミアム・スポーツ「シビック TYPE R EURO」を、2010台の台数限定で発売しました。このモデルは2代目シビックタイプR同様に、英国のホンダ・オブ・ザ・ユー・ケー・マニュファクチュアリング・リミテッドで生産され、日本に輸出されるモデルです。日本国内では2007年に「サーキット・ベスト」として発売した4ドアセダンのシビック TタイプRと欧州で進化を続けた「シビック TYPE R EURO」の2つの「タイプ R」で、ホンダは走りの楽しさ、操る喜びを提供しました。

シビック TYPE R EUROはハイテン材の適用箇所の拡大や優れたレイアウトのベース車を活かした軽量、高剛性ボディを採用。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトにより、広い室内空間とともに低重心による高い走行安定性を実現しています。

外観デザインは空力性能とスタイリングのベストバランスを追求して開発した専用エアロパーツを装備。さらに大型エンジンアンダーカバーやフロアアンダーカバー、サスペンションビームカバーなどを採用し、フロア下全体の整流による空力効果を向上しています。

インテリアは、専用の「Honda R specシート」(フロント)は、ドライバーを面全体で包むように開発したバケットシートを採用。スポーツ走行を楽しめるホールド性と長距離走行での快適性を両立。さらに専用メーターパネル「i-VTEC/REVインジケーター」は、マルチプレックスメーター(自発光/レッド照明/イルミネーションコントロール)の配置を活かし、高速走行時でも視線移動を少なく、運転に集中できるように、エンジン回転数に応じて段階的にランプの点灯で表示します。

搭載する2L直列4気筒 DOHC i-VTECエンジンは圧縮比の設定やNSX製法へッドポート処理(ポート表面を滑らかに仕上げる)による吸排気抵抗の低減、吸排気系やバルブタイミングの最適化などにより、最高出力201ps、最大トルク193Nmを発生。さらにDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)の採用により、出力とレスポンスの両立を実現しています。

ショートストロークのアルミ製・球形シフトノブを採用した6速MTによりスポーティなシフトフィーリングを実現しています。また、左右独立温度コントロール式フルオート・エアコンをはじめ、AM/FMチューナー付CDプレーヤーなど快適装備が充実しているのも特徴です。

5代目モデル FK2

5代目となるシビックタイプRは2015年10月に日本国内750台限定で販売されました。このモデルはFF量産車最速を達成するために、サスペンション、ブレーキ、タイヤ、ステアリングシステムなどを専用設計のシャシーを採用しています。ドライバーの操作や車両状態を検知し、リアルタイムかつ連続的に4輪のダンパー減衰力を独立制御するアダプティブ・ダンパー・システムによりフラットな車両姿勢を保ち、4輪に適切な荷重配分を行うことで、高速度域でも安定感のある車両挙動を実現させます。さらに「電子制御システム(アジャイルハンドリングアシスト)」を採用。回頭性やライントレース性を高め、ウエット時など低ミュー路面でも正確な操舵フィーリングに貢献します。

外観デザインは、強力なダウンフォースを発生するリアウイング、フロントオーバーフェンダーの採用により、直進時の安定感・操縦フィーリングを向上しています。さらにフロア下面のほとんどをアンダーカバーで覆うとともに、フロントスポイラー、サイドシルガーニッシュ、リアディフューザーなどによって徹底した空力処理を施し、高速走行時の安定感を高めるマイナスリフトを追求しました。

インテリアは、低ヒップポイント化を図った専用設計の「Honda TYPE Rシート」の採用をはじめ、走りを堪能するためのさまざまなコンテンツを表示する「マルチインフォメーションディスプレイ」を搭載。燃費などの基本表示に加え、サーキット走行では、水温計・油温/油圧計・ブースト圧計をはじめ、Gメーター・アクセル開度・ブレーキ圧の表示やラップタイム計測ができる機能も装備しているのが特徴です。

搭載するエンジンはVTECと直噴技術そしてターボを組み合わせた2L直列4気筒VTECターボ。ピストン、コンロッド、クランクシャフトなどエンジン内部の運動部品は徹底的な軽量化をはじめ、排気側にVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)を、吸排気双方に「VTC(連続可変バルブタイミング・コントロール機構)」を採用することで、当時FF量産車トップの最高出力310ps、最大トルク400Nmを発生。組み合わされる6速MTはエンジン特性にマッチしたクロスレシオに設定されクイックで爽快なシフトフィールが特徴です。

フロントにはブレンボ社製モノブロック4ポッド・アルミキャリパーと大径ドリルドディスクブレーキを採用。そしてタイヤには235/35ZR19というサイズのハイパフォーマンスタイヤを装着しています。新装備として、+Rモードを採用。このスイッチを押すことで、エンジン、アダプティブ・ダンパー・システム、VSA(車両挙動安定化制御システム)、EPSの制御がスポーティーに変化。圧倒的な加速性能や高い路面追従感を体感でき、サーキット走行時などでの走る楽しさをさらに増幅させることが可能です。

6代目モデル FK8

6代目となる現行型シビックタイプRは2017年7月に登場しました。これまでは標準車のシビックをベースにタイプRへとチューニングされてきましたが、このモデルは開発当初よりTYPE Rを見据えてプラットフォームを新開発しました。その結果、先代モデルに対し、ねじり剛性の向上(+約38%)やボディーの軽量化(−約16kg)、低重心化、ホイールベースとトレッドの拡大などにより、さらに優れた走行安定性を追求しているのが特徴です。

足回りは圧倒的なスタビリティーを実現するマルチリンク式リアサスペンションを新たに採用したほか、先代モデルからさらに進化したデュアルアクシス・ストラット式フロントサスペンションや、アダプティブ・ダンパー・システムなど制御技術の進化により、運動性能を大幅に向上させています。

搭載するエンジンは最高出力320ps、最大トルク400N・mを発生する専用の2L直列4気筒DOHC VTECターボ。ローレシオ化された6速MTや軽量シングルマス・フライホイールの採用により、加速性能をさらに向上させています。さらに減速操作に合わせてエンジンの回転数が自動で調整されるレブマッチシステムをホンダ車として初めて採用。これにより減速時のアクセル操作が不要となり、よりステアリングやブレーキに集中した運転が可能になりました。またドライバーの好みで、システム自体をオフにすることも可能です。

加えて、サーキットでの走行性能だけでなく、一般公道でのグランドツアラー性能も大幅に進化しました。ドライビングモードには、ベストバランスの「SPORT」、ダイナミック性能を追求した「+R」、さらに、日常の快適性にも配慮した「COMFORT」を追加し、タイプRの新たな世界観を表現しました。モードスイッチを操作することでダンパー・ステアリング・スロットルなど制御デバイスのセッティングを瞬時に変更し、サーキットから市街地まで、さまざまなシーンに応じた高いパフォーマンスを発揮します。

そして、2020年10月にマイナーチェンジを行い、内外装の変更と同時に先進の運転支援システム「ホンダセンシング」を装備しました。また、国内200台限定で、シビックタイプRリミテッドエディションを設定。専用のBBS製20インチ鍛造アルミホイールを採用し、バネ下重量を軽量化やサーキット走行に適したハイグリップ20インチ専用タイヤを装着し、究極の“操る喜び”を目指したモデルとなっています。

シビックタイプRは4代目までは自然吸気エンジン。そして5代目以降はターボエンジンを搭載し、FFの駆動方式で最速のクルマを目指して開発されています。3代目まではエンジン特性がピーキーでアスリートのようなクルマでしたが、ターボエンジンを搭載した5代目以降はラグジュアリーさも加わっています。現在販売されているホンダ車の中で最もレーシングスピリッツを感じられるモデルとなっています。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ