三菱 エクリプス クロス PHEVを試乗レビュー!PHEVシステムの走りの性能を試す!
更新日:2024.09.09
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三菱 エクリプス クロス PHEVは、峠道が楽しい。こんなに気持ちよく走れちゃっていいの?デビュー3年目のマイナーチェンジを受けた三菱エクリプス クロス。そのハイライトはPHEV(プラグイン・ハイブリッド・エレクトロニック・ビークル)の追加で、その運転感覚をひとことでいうと「予想の上をいく楽しさ」。びっくりですよ。
文:工藤 貴宏/写真:宮越 孝政
文:工藤 貴宏/写真:宮越 孝政
エクリプス クロスはPHEVを追加/ディーゼルを廃止
そんな走りの魅力は後ほど説明するとして、まずはエクリプス クロスに施された今回のマイナーチェンジの概要からチェックしてみよう。大きなポイントはふたつあり、ひとつがパワートレインの入れ替え。従来のエクリプス クロスは1.5Lターボのガソリンエンジンと2.3Lのディーゼル。
新型のエクリプス クロスはガソリンエンジンを継続するいっぽう、ディーゼルエンジンは廃止(わずか1年半という短命だった……涙)。かわりに2.4Lの自然吸気エンジンにモーターを組み合わせたPHEVが加わったのだ。
新型のエクリプス クロスはガソリンエンジンを継続するいっぽう、ディーゼルエンジンは廃止(わずか1年半という短命だった……涙)。かわりに2.4Lの自然吸気エンジンにモーターを組み合わせたPHEVが加わったのだ。
三菱 エクリプス クロス ディーゼルエンジン仕様
もうひとつ大きなポイントは新型エクリプス クロスとなって、全長が伸びたこと。なんと140mm(うちリヤオーバーハングは105mm)も伸びたのだから、もはや車体設計自体をやり直したってこと。
その最大の理由はPHEVシステムの搭載の都合で、従来のエクリプス クロスのパッケージングだとPHEVシステムの一部ユニットが荷室床下に収まりきらなかったのだとか。
その最大の理由はPHEVシステムの搭載の都合で、従来のエクリプス クロスのパッケージングだとPHEVシステムの一部ユニットが荷室床下に収まりきらなかったのだとか。
三菱 エクリプス クロス PHEVの荷室(インテリア)画像 1
三菱 エクリプス クロス PHEVの荷室(インテリア)画像 2
三菱 エクリプス クロス PHEVの荷室(インテリア)画像 3
いっぽうで実用面にもメリットがあって、それは荷室がより広くなったこと。ガソリン車のエクリプス クロスでは従来モデルに対して荷室床面の奥行きは約10cm伸び、あわせて64Lも容量がアップ。64Lって相当の違いなわけです。
ただ、細かいことを言えばこれまで組み込んでいた後席シートスライドが廃止されたのはなんとも残念。ちなみに新型エクリプス クロスのリヤシート取り付け位置は、従来のエクリプス クロスのスライド最高端より少し前としている。
これは後席足元の余裕と荷室の広さのバランスをとった判断というわけ。ちなみにPHEVモデルバッテリー搭載の関係から後席の床が約5cm高く、いっぽうで着座位置は同じだからガソリンエンジン車とは乗車姿勢が微妙に違う。
これは後席足元の余裕と荷室の広さのバランスをとった判断というわけ。ちなみにPHEVモデルバッテリー搭載の関係から後席の床が約5cm高く、いっぽうで着座位置は同じだからガソリンエンジン車とは乗車姿勢が微妙に違う。
新型のエクリプス クロスとなって”三菱の顔”であるダイナミックシールドもより進化
また、新型のエクリプス クロスとなって前後デザインもリファイン。フロントは顔つきのシャープさが増し、リヤは全面的に変更されて個性が失われた気がしなくもないけれど、これまで2枚としていたリヤガラスを1枚とするなど見た目も後方視界もスッキリしたのはグッドニュースだ。
エクリプス クロスPHEVとは?おさらい&解説
ここからはエクリプス クロスに新たに加わったPHEVの話を中心に進めていこう。
そもそもPHEVとはなにか?それはシンプルに言ってしまえば、バッテリー搭載量を増やして外部からの充電もできるハイブリッドカー。
EV(電気自動車)のようにエンジンを止めたまま走れる範囲が広いのがメリットで、エクリプス クロスPHEVは充電したバッテリーをつかいエンジンを掛けずに走れる距離が57.3km/L(WLTPモードによるカタログスペック)というから日常の範囲ならガソリンを一滴も使わず事足りる人も多いはず。
そもそもPHEVとはなにか?それはシンプルに言ってしまえば、バッテリー搭載量を増やして外部からの充電もできるハイブリッドカー。
EV(電気自動車)のようにエンジンを止めたまま走れる範囲が広いのがメリットで、エクリプス クロスPHEVは充電したバッテリーをつかいエンジンを掛けずに走れる距離が57.3km/L(WLTPモードによるカタログスペック)というから日常の範囲ならガソリンを一滴も使わず事足りる人も多いはず。
三菱 エクリプス クロス PHEVのインパネ(内装)
三菱 エクリプス クロス PHEVの運転席側 シート(内装)
三菱 エクリプス クロス PHEVには、ヘッドアップディスプレイが備わる
三菱 エクリプス クロスには、電動パノラマサンルーフがオプション設定が用意されている。PHEVでは、GとPのみ。
速度域も、日本の高速道路の制限速度(120km/h)を超えるところまでモーターで走れるといえば、意外に感じる人も多いのではないだろうか。
充電は家庭での充電に加え、急速充電器にも対応しているからシーンに合わせて選べる。また、ピュアEVとの最大の違いはエンジンを搭載していること。
充電は家庭での充電に加え、急速充電器にも対応しているからシーンに合わせて選べる。また、ピュアEVとの最大の違いはエンジンを搭載していること。
三菱 エクリプス クロス PHEVは、専用の充電ケーブルで車両とEV充電用コンセントをつなぐことで充電が可能となる。
つまりガソリンを入れれば外部充電をしなくても走り続けられるから、EVと違って充電や航続距離の不安(そして先日の関越道のような雪で立ち往生したときの充電切れの不安)がないのも心強い。
三菱 エクリプス クロス PHEVのラゲッジルームに1ヶ所設置。アース付コンセント(ラゲッジルーム)1500W
PHEV搭載の三菱 エクリプス クロスならこんなキャンプなども楽しめる。*イメージ
そんなPHEVのメリットは、ガソリンを節約できること。原発を止めて火力発電をバンバンおこなっている日本において、電気を使って走ることが本当に二酸化炭素削減につながるのかは断言できない(そして太陽光充電や電力会社と深夜電力契約している人以外はエネルギーコストとして有利になるかも断言しづらい)
ところだけど、ユーザーとしてはガソリンスタンドに行く回数が減り、手間が省けるのはメリットとして実感できる。
ところだけど、ユーザーとしてはガソリンスタンドに行く回数が減り、手間が省けるのはメリットとして実感できる。
もうひとつは、走りの良さ。これが予想以上に魅力的だ。
エクリプスクロスPHEVはバッテリー残量さえあれば基本的にエンジンを止めてモーターだけで走行。その加速感はEV同様で、とにかくスムーズかつシャープで爽快。
ディーゼルエンジンや3気筒など振動の多いガソリンエンジンから乗り換えると、まるで戦車からUFOに乗り換えたのか?っていうくらいスムーズさが違う。音だって静かだし。
三菱 エクリプス クロス PHEVのエンジン最高出力:94kW[128PS]/4,500rpm、最大トルク:(199N・m[20.3kgf・m]/4,500rpm)
モーター最高出力:前 (60kW[82PS])/ 後(70kW[95PS])、最大トルク:前 (137N・m[14.0kgf・m])/ 後(195N・m[19.9kgf・m])
エクリプスクロスPHEVはバッテリー残量さえあれば基本的にエンジンを止めてモーターだけで走行。その加速感はEV同様で、とにかくスムーズかつシャープで爽快。
ディーゼルエンジンや3気筒など振動の多いガソリンエンジンから乗り換えると、まるで戦車からUFOに乗り換えたのか?っていうくらいスムーズさが違う。音だって静かだし。
三菱 エクリプス クロス PHEVのエンジン最高出力:94kW[128PS]/4,500rpm、最大トルク:(199N・m[20.3kgf・m]/4,500rpm)
モーター最高出力:前 (60kW[82PS])/ 後(70kW[95PS])、最大トルク:前 (137N・m[14.0kgf・m])/ 後(195N・m[19.9kgf・m])
ランエボで培った技術がエクリプス クロスPHEVをハンドリングSUVに仕立てる!
さらに、エクリプス クロスに搭載されるPHEVは前後それぞれにモーターを組み合わせた「ツインモーター4WD」で、その制御が凄い。
瞬時かつ自由自在に前後の駆動力配分をできるツインモーターの特性に、パジェロやランエボで培った三菱の4WD制御技術をドッキング。そして出来上がったのが、抜群のハンドリング性能というわけだ。
瞬時かつ自由自在に前後の駆動力配分をできるツインモーターの特性に、パジェロやランエボで培った三菱の4WD制御技術をドッキング。そして出来上がったのが、抜群のハンドリング性能というわけだ。
三菱 エクリプス クロス PHEVのドライブモード イメージ
何が見事かって、旋回中の動き。ハンドル操作に対してクルマは正確に反応してくれるから、とにかく気持ちよく曲がる。いま、もっとも峠道が楽しい国産SUVといっていい。嘘偽りなく本当にだ。
深く曲がり込むようなタイトコーナーは信じられないくらいニュートラルステアで、ガンガン曲がっていく感覚。開発者によると「アウトランダーPHEVよりもシステム構成部品が車両中央に集まっているので運動特性が高まっている。当初の試作車は“曲がりすぎ”て、旋回時のフロントのトルク配分を増やすなど挙動を安定させる方法に調整さほど」なのだとか。
深く曲がり込むようなタイトコーナーは信じられないくらいニュートラルステアで、ガンガン曲がっていく感覚。開発者によると「アウトランダーPHEVよりもシステム構成部品が車両中央に集まっているので運動特性が高まっている。当初の試作車は“曲がりすぎ”て、旋回時のフロントのトルク配分を増やすなど挙動を安定させる方法に調整さほど」なのだとか。
その楽しいハンドリングは交差点を普通に曲がるくらいでも伝わってくるけれど、右へ左へと大きくハンドルを切り込む深く曲がり込んだコーナーが続く峠道ではより強く実感できるもの。2トン近くあるSUVが、ここまで水を得た魚のように生き生きと走るのは驚き以外の何物でもなかった。
走行モードはノーマルでも自然なハンドリングを味わえるけれど、よりスポーティな走りに制御する「ターマック」だとよりキビキビと動く印象。それにしてもこの走りはなんと素晴らしいことか。
走行モードはノーマルでも自然なハンドリングを味わえるけれど、よりスポーティな走りに制御する「ターマック」だとよりキビキビと動く印象。それにしてもこの走りはなんと素晴らしいことか。
エクリプス クロスPHEVのライバルはやっぱり、アウトランダーPHEV?
そんなエクリプス クロス PHEVに死角はないのか?
「アウトランダーPHEVよりも値段を割安に設定した。補助金(令和2年度で22万円)を含めて考えればライバルのハイブリッドに近いくらい」と三菱が説明する価格だけど、ベーシックグレードの「M」で384万8900円、最上級の「P」だと447万7000円にもなる価格はちょっと構えてしまいそう(あくまで個人の感想)。
あと、単純な加速性能でいえばモーター出力で勝るトヨタのRAV4 PHVの勝ちだ。
「アウトランダーPHEVよりも値段を割安に設定した。補助金(令和2年度で22万円)を含めて考えればライバルのハイブリッドに近いくらい」と三菱が説明する価格だけど、ベーシックグレードの「M」で384万8900円、最上級の「P」だと447万7000円にもなる価格はちょっと構えてしまいそう(あくまで個人の感想)。
あと、単純な加速性能でいえばモーター出力で勝るトヨタのRAV4 PHVの勝ちだ。
そんなエクリプス クロス PHEVが、どんな人におススメかといえば、電動車の爽快な走りと、峠道の心躍るハンドリングを楽しみたい人。つまり運転好き。
ガソリンを節約したい人や給油の手間を省きたい人ならトヨタ「プリウスPHV」でもいいし、驚くべき加速力を味わいたいなら「RAV4 PHV」が有力候補。だけど走りの楽しさは断然エクリプスクロスPHEVが魅力的である。
充電しなくても走れるので外部充電は必須ではない。けれど、もし住まいが一戸建てで充電できる環境だと日常は電気だけで走れるので、さらにプラグインハイブリッドの良さを引き出せる生活が送れそうだ。
ガソリンを節約したい人や給油の手間を省きたい人ならトヨタ「プリウスPHV」でもいいし、驚くべき加速力を味わいたいなら「RAV4 PHV」が有力候補。だけど走りの楽しさは断然エクリプスクロスPHEVが魅力的である。
充電しなくても走れるので外部充電は必須ではない。けれど、もし住まいが一戸建てで充電できる環境だと日常は電気だけで走れるので、さらにプラグインハイブリッドの良さを引き出せる生活が送れそうだ。