新型ジムニーの内装・インパネを徹底解説!ライトクロカン4WDの最先端メカニカルデザインとは!?【JB64型】
更新日:2024.09.09
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3代目JB23型が乗用車ライクでSUV的なデザインアプローチをしていたのに対して、新型ジムニーのJB64型は2代目ジムニーに先祖返りしたようなインパネ(内装)の意匠を採用しています。
文/写真・山崎 友貴
文/写真・山崎 友貴
2代目ジムニーの内装をレトロフューチャーしたデザイン
3代目JB23型が乗用車ライクでSUV的なデザインアプローチをしていたのに対して、現行のJB64型は2代目ジムニーに先祖返りしたようなインパネの意匠を採用しています。
そのデザインはJA11などを彷彿とさせるもので、イマドキの車両としては珍しいスクエアなメーターなフード、直線基調のダッシュボード、オフロードで役立つ助手席のアシストグリップなど、80〜90年代のクロスカントリー4WDを思い出させてくれます。
かつてのクロカン4WDを見たことがないという若年層には、とても新鮮なデザインに映るのではないでしょうか。
かつてのクロカン4WDを見たことがないという若年層には、とても新鮮なデザインに映るのではないでしょうか。
メーターフードは現代的な雰囲気とレトロ感を融合させるため、表面をヘアライン処理。スピードメーターとタコメーターは完全にアナログ針のものを採用し、数字や目盛りのグラフィックを赤で統一しているのも、2代目ジムニーを思い出させます。
車内インターフェイスのコアとなるメーター部は、単なる懐古主義に終わらせてはいません。メーターセンターに「マルチインフォメーションディスプレイ」という液晶モニターを設置し、平均燃費や走行時間といった情報を表示します。
車内のレトロ感を演出しているのは、センターコンソール部の送風吹き出し口やステアリングホイール、エアコンの操作部の意匠も同様です。
こうしたパーツはイグニスやスイフトといったスズキの他モデルからの流用で、コストを抑えながらも上手にコーディネートしたデザイナーの手腕の高さを感じさせます。
こうしたパーツはイグニスやスイフトといったスズキの他モデルからの流用で、コストを抑えながらも上手にコーディネートしたデザイナーの手腕の高さを感じさせます。
面白いのはダッシュボードの樹脂パネル。こうした樹脂部分は、ともすると安っぽくなりがちですが、2タイプの表面処理、つまり別々のシボを使ったパーツを組み合わせることで、より立体感のある質感に繋がっています。
こうした表面処理の違うパネルは、太陽光の反射防止にも繋がっており、ステアリングから手が離せないような悪路を走行する前提のジムニーならではの配慮と言えます。また、こうした質感のコントロールが、おしゃれさや高級感を醸し出しているとも言えます。
こうした表面処理の違うパネルは、太陽光の反射防止にも繋がっており、ステアリングから手が離せないような悪路を走行する前提のジムニーならではの配慮と言えます。また、こうした質感のコントロールが、おしゃれさや高級感を醸し出しているとも言えます。
ちなみにアシストグリップの中央部にある突起は、持ちやすさのため…ではなく、ここに物を差し込まないための設計です。タブレットや地図などを入れてしまうと、助手席エアバッグが展開した時に危険かつ、効果的な展開ができないからという理由があるのです。
先代よりも“ジムニーらしさ”が増えた内装
前述の通り、先代のJB23ジムニーが登場した1998年というのは、ライトクロカンやSUVの黎明期であり、本格クロカン4WDは時代遅れという感覚がユーザーに芽生え始めた頃でした。
そのためJA12/22の頃になるとジムニーもオフロード色の払拭を徐々に始め、JB23になる時には、外観もさることながらメーター類の意匠も乗用車のようなものになりました。3代目ジムニーは、モデルサイクルの中で1型から10型まであります。
その内、5型と10型でインパネのデザイン変更を行っているため、全部で3種類のデザインのインパネが存在しています。
その内、5型と10型でインパネのデザイン変更を行っているため、全部で3種類のデザインのインパネが存在しています。
基本的なダッシュボードの形状などは変わっていませんが、メーターやスイッチ類などを細かく変えていきました。しかし、現代的なSUVに近づけようとしすぎたのか、10型ではもはやジムニー色が皆無となり、その迷走ぶりが浮き彫りとなりました。
しかし、現行モデルは原点回帰というコンセプトに則ったデザインがなされたため、往年のクロカン4WDファンが見れば、どこを取っても“それらしさ”を感じ取れるものに生まれ変わっています。
昨今ではジープ ラングラーやメルセデスベンツ Gクラスがモデルチェンジやマイナーチェンジを果たしています。
そうしたクロカン4WDが液晶パネルメーターを採用しているのに対して、ジムニーはメカニカル感の溢れるアナログメーターにしたことは、多くのユーザーの好感度を上げたと言えるのではないでしょうか。
そうしたクロカン4WDが液晶パネルメーターを採用しているのに対して、ジムニーはメカニカル感の溢れるアナログメーターにしたことは、多くのユーザーの好感度を上げたと言えるのではないでしょうか。
新型ジムニーは操作・情報の視認性の良さとも抜群な内装
さて、インターフェイスとして重要なインパネですが、その点で言えばジムニーのそれは秀逸です。まずメーターは、アナログ指針のため、前方から目を移してもすっと情報が目に入ります。様々な情報が同時に表示される昨今の液晶タイプに比べると、余計なものが目に入りません。
マルチインフォメーションディスプレイも、同時に多数の情報を同時に表示するのではなく、階層を増やしてスイッチで選択できるようにしています。そのため、知りたい情報だけが見られるという感じがします。
ちなみに、マルチインフォメーションディスプレイはXCに採用されるドットディスプレイと、XL・XGに採用されるセグメントディスプレイの2種類があり、情報の表示内容や位置が異なります。
ちなみに、マルチインフォメーションディスプレイはXCに採用されるドットディスプレイと、XL・XGに採用されるセグメントディスプレイの2種類があり、情報の表示内容や位置が異なります。
エアコンは昔ながらのロータリースイッチのマニュアルタイプ(XG)と、デジタル表示を採用したフルオートタイプ(XC・XL)が設定されます。撮影車両はXCですので、フルオートタイプが装着されていました。マニュアルエアコンの方が、レトロ感が漂っています。
しかし、使い勝手はフルオートエアコンの方が上と言えるでしょう。ただ操作と機能が直感的に分かるのは、マニュアルタイプです。
しかし、使い勝手はフルオートエアコンの方が上と言えるでしょう。ただ操作と機能が直感的に分かるのは、マニュアルタイプです。
ちなみに先代では、ドアパネルにウィンドウスイッチがありました。それだとオフロードの走行中に脚がスイッチに当たる事例があったため、中央に移されました。結果、ドライバーの足回りがグッと広くなっています。
スイッチ類はグローブをした状態でも操作しやすいように、大きめに作られているのもジムニーならではです。
スイッチ類はグローブをした状態でも操作しやすいように、大きめに作られているのもジムニーならではです。
ただし、料金所などで窓を開閉する時に、どうしてもスイッチの操作のために身体を前傾させるというアクションが発生するため、必ずしも好評ではないようです。
ステアリングホイールには、XCのみにオーディオやクルーズコントロールのためのスイッチが付きます。純正オーディオを装着した場合、このスイッチで選局や音量調整が可能になります。
エアコンの吹き出し口は、センター部が方形、サイドが円形となっています。サイドが円形なのは、ウィンドウが曇った時に、吹き出し口を瞬時に向けることができるからです、また一度に多くの風が噴出します。
アシストグリップは、あまり使うシーンがないのですが、凹凸の多い悪路を走行する時、助手席のパッセンジャーの身体を支えるのに有効です。身体の前後の揺れを抑えられるので、疲労感も軽減できます。前述の通り、ここに物を入れたり、物をかけたりするのは危険なので避けましょう。
ちなみに、現状ではオーディオスペースの周囲を飾る「オーディオガーニッシュバンパー」「本革ステアリングホイールカバー」以外のインパネ用オプションは設定されていません。ですが、今後はカーボン調やウッド調の装飾パネルが設定されるかもしれないという情報もあるようです。