【JB64】新型ジムニーの刷新された安全装備・性能を徹底解説!~本格オフローダーの衝突安全性能~

2019 ジムニー 山崎

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20年ぶりにフルモデルチェンジを果たした新型ジムニーですが、変わったのはデザインやエンジンだけではありません。特に安全性という点では、隔世の感があるのです。旧型と同様に新型ジムニーもまた、堅牢性や耐久性を実現するラダーフレーム構造を踏襲しています。

しかし、構造形式は同じでも、フレーム自体は大きく進化しているのです。

文/写真・山崎 友貴

山崎 友貴|やまざき ともたか

四輪駆動車専門誌、RV誌編集部を経て、フリーエディターに。RVやキャンピングカー、アウトドア誌などで執筆中。趣味は登山、クライミング、山城探訪。小さいクルマが大好物。

山崎 友貴
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見えない部分での安全性能の進化が計り知れない
新型ジムニーにはスズキ・セーフティサポートも採用

見えない部分での安全性能の進化が計り知れない

梯子形(ラダー)フレームには、前と後に新造のクロスメンバー。そして中央にXメンバーを追加。従来比で1.5倍のねじり剛性の向上を実現しています。ねじり剛性を高めることと、車体とフレームを繋ぐボディーマウントゴムを新設計し、防振性能を高めたことで、乗り心地と操縦安定性が向上しています。

他にも中央のXメンバーはねじり剛性を高めると同時に、衝突時の衝撃を伝達しながら分散するという効果も併せ持っています。
もちろん、衝突荷重の分散は、アッパーボディーでも行います。新型ジムニーのボディーは、軽量襲撃吸収ボディー「TECT」を採用。コンピューターによる構造解析によって、安全性と軽量化を両立。衝突事故の衝撃を効率よく吸収・分散し、乗員を保護してくれます。
またアッパーボディーは旧型よりも高張力鋼板の使用部分を拡大。従来の14%から25%に増やされている。こうした高張力鋼板は、主に乗員の命を守る部分に使われており、ボディーがひしゃげるような大きな事故の時に効果を発揮します。
ボディーで言えば、歩行者保護という昨今の車に求められる安全性能も、新型から考慮されました。大型で、両端の面に角度がついた樹脂フロントバンパーは、歩行者の脚部保護性能を持っています。さらにグリル回りに鈑金パネルを採用し、これが事故時の歩行者保護に貢献しています。
さらに、大きな衝撃が加わると変形することでエネルギーを吸収するフロントフェンダーのつなぎ目(ブラケット)や、折れて外れるワイパーの根本(ピポット)も採用。ボンネットフードのヒンジも衝突時に下にズレる空間が設けられており、その部分で衝撃吸収が抑えられないような構造になっています。
安全装備でベーシックと言えるエアバッグですが、ジムニーは20年間もモデルチェンジしなかったため、新型でようやく現代的なレベルに達しました。運転席・助手席エアバッグをはじめ、前席にサイドエアバッグを、全席にサイドカーテンエアバッグが標準装備となっています。
ジムニーに限らず、軽自動車は全般的に室内幅にゆとりがないものですが、これらの装備の採用により、側面衝突の衝撃に対しても十分な安全性を確保しています。

新型ジムニーにはスズキ・セーフティサポートも採用

旧型ジムニーは基本設計が20年以上前のものだったため、安全面という点ではかなりの後れを取っていました。しかし新型は前述の通り、構造面での刷新を図っているだけでなく、電子デバイスによる安全性向上も実現しました。それが「スズキ・セーフティサポート」の採用です。
スズキ・セーフティサポートは様々な安全機能を包括したシステムの総称であり、その中には「デュアルセンサーブレーキサポート(自動ブレーキ)」「誤発進抑制機能」「車線逸脱警報」「先進ライト」といった機能が含まれます。
まずデュアルセンサーブレーキサポートですが、これは単眼カメラとレーザーレーダーで他車や歩行者を感知し、自動ブレーキによって衝突を回避、もしくは衝突被害を軽減するというシステムです。
約5km/hから約100km/hの間で走行中(歩行者が対象の場合は約5km/hから約60km/h)に作動します。衝突の危険を察知すると、第一段階はブザーと液晶表示で警報を行い、第二段階でブレーキの踏力をアシスト、第三段階で自動ブレーキを作動。
ドライバーの運転をサポートしてくれます。ただし、天候や走行状態などによっては利きが変わるため、100%の衝突回避を約束するものではありません。
誤発進抑制装置は、AT車のコンビニの駐車場などでのブレーキ・アクセルのペダルの踏み間違いをサポートしてくれる装置です。セレクトレバーがD・2・Lレンジに入っていて、停車もしくは徐行中(約10km/h以下)に、前方約4m以内の障害物を認識。
この時に誤ってアクセルペダルを強く踏んだ場合、エンジン出力を最長5秒間制御し、誤発進・誤加速を防いでくれます。同時に、液晶の表示とブザーでドライバーに報せてくれる機能も持っています。
この他、車線をはみ出して走ると表示とブザーで報せてくれたり、走行中の道路の制限速度を表示で教えてくれるといった機能も持っています。さらに、カメラやレーダーを使って、ハイビーム・ロービームをコントロールする機能も、スズキ・セーフティサポート装着車には採用されています。
こうした機能はすべて、スイッチで非作動にすることが可能で、オフロード走行などを妨げることがありません。

ただ残念なのは、アダプティブクルーズコントロールが採用されなかったこと。スズキによれば「ジムニーでこの機能を使うユーザーを想定していない」ということですが、今後の仕様変更でぜひ採用してもらいたいものです。
このように、新型ジムニーはこれまでにはなかった高い安全性を有しています。本格オフローダーだから、安全性は諦める…という必要が無くなったことは、ユーザーにはうれしい限りです。
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