新型ジムニー JB64型の前席・後部座席を徹底解説!JB23型ジムニーからシートバリエーションが大きく進化

2019 JB64ジムニー 山崎

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クロスカントリー4WDにおいて重要なパーツ、それはシートです。激しく身体を揺さぶられる悪路において、シートは身体をホールドするだけでなく、衝撃を和らげてくれるからです。ジムニーは限られた室内空間の中で、前席・後部座席ともにこだわりの形状を実現し、様々なシートバリエーションも可能にしています。

文/写真・山崎 友貴

山崎 友貴|やまざき ともたか

四輪駆動車専門誌、RV誌編集部を経て、フリーエディターに。RVやキャンピングカー、アウトドア誌などで執筆中。趣味は登山、クライミング、山城探訪。小さいクルマが大好物。

山崎 友貴
Chapter
ジムニーの楽しさを最大限に!安全性と快適性を両立したこだわりのフロントシート(前席)
大人が乗るにはジムニーの座席はちょっと狭い!?グレードによって異なるリヤシート(後部座席)の形状・機能
前席・後部座席のコンビネーション!トールワゴンにも負けない広さを実現したシートアレンジ

ジムニーの楽しさを最大限に!安全性と快適性を両立したこだわりのフロントシート(前席)

新型ジムニーは旧型と比べると大きく様変わりしていますが、見えない部分も進化しています。そのひとつがシートです。

シートはクルマに当たり前に付いているものですので、その重要性に気づかない人も多いかもしれません。

ですが、長時間のドライブでも快適性を保持し、悪路走行で身体をホールドし、事故時には衝撃を和らげる。そういった大切な役割を持っています。

JB64型のフロントシートは、特にこだわって開発されました。まずシートの中にある骨格、いわゆるシートフレームですが、高剛性・高強度なものを採用しています。

後突時の衝撃に対して、上半身を安定させて、頸部への衝撃を和らげるようにできているのです。

シートフレーム幅が70㎜も拡大したことで、大柄の人でも快適に座れるようになりました。クッションコイルも非常にこだわり、バネの面積を広げて反発力にこだわっています。

長時間ドライブでの疲労を軽減し、しっかりとしたホールド性を実現しています。クッションの感覚は旧型よりも適度に硬くなっており、尻が落ちて腰が痛くなるということが少なくなりました。

形状も旧型と異なっており、座り比べてみるとその違いが分かります。旧型のシートは大柄な人が座ると窮屈な感じがしましたが、新型ジムニーではそれが解消されています。

だからといってスリムな人が座るとホールド感がないというわけではなく、セミバケット形状のサイドサポートが、適度なホールド感を与えてくれます。

特にサイドサポートについては、昨今のトールワゴンなどの軽自動車に比べると、若干タイト目と言えます。これはオンロードのコーナリングなどで、多少大きめのロールが出てしまうという、オフロード4WD車ならではの挙動があるからです。

また、オフロードを走ると身体が左右に激しく揺さぶられるため、それをホールドするためでもあります。

ちなみに、シートトリムは2カラー。XC・XLはブラックとグレーの2トーン、XGはブラックとグレーストライプの2トーンとなっています。

大人が乗るにはジムニーの座席はちょっと狭い!?グレードによって異なるリヤシート(後部座席)の形状・機能

リアシートを見てみると、XC・XLは5:5分割可倒式、XGは一体型が装着されています。また、XGのリアシートにはヘッドレストとリクライニング機能が付いていません。新型ジムニーにバン・ワゴンの区別はありませんが、XGはバンタイプのシートと言えます。

実際に大人がリアシートに座ってみると、レッグスペースが狭いというのが正直なところです。乗降も助手席を倒して行うため、決して楽とは言えません。

リアシートの左右空間は、旧型にあったタイヤハウスがなくなったため、多少広くなっています。しかし、肘をかけるモノが無くなってしまったため、かえって辛くなったという人もいます。

長時間のドライブでは、リクライニング機能が付いているXC、XLはまだ快適な方ではないでしょうか。XGはヘッドレストも付いていないため、一時間も乗っていると身体が辛くなってきます。

基本的にジムニーのリアシートは、エマジェンシーか子供用として考えるのが妥当ですが、後部座席も大人が乗る予定の方は、XCもしくはXLグレードをおすすめします。
ちなみに、新型ジムニーのリアシートには、アンカー取り外し可能の3点式シートベルトが採用されています。これはリアシートを倒した時に、シートバックとシートベルトを分離して、ベルトが積載性を妨げないようにするためです。

しかし、一度ベルトをアンカーに差し込んでしまうと、取り外すにはマイナスドライバーなどがないとできません。リアシートを使う頻度が高いユーザーは、助手席にマイナスドライバーなどを積んでいくといいかもしれません。

前席・後部座席のコンビネーション!トールワゴンにも負けない広さを実現したシートアレンジ

新型ジムニーは旧型と比較すると、シートアレンジという点で大幅に進化しています。まずリアシートのフラット化です。旧型では座面を外さなければ、完全に水平なフラットにすることができませんでした。

当然ながら、外した座面は邪魔になり、自宅に置いていくしかなかったのです。しかし、新型は座面を外さなくても、リアシートバックを倒すだけで完全なフラットになります。
前項で説明した通り、XCとXLはリアシートを半分ずつ、つまり50:50でシートバックを分割した状態で倒すことができます。

さらに、助手席のヘッドレストを外して後ろに倒せば、スキーなどの長尺物を積載することもできます。
また運転席と助手席をフラット化し、リアシートのシートバックを後ろに倒せば、休憩モードにすることができます。

車内でくつろぐ時にカウチのような使い方が可能です。新型ジムニーは車中泊でも快適なシートアレンジが実現されています。
ただし、それには「ラゲッジボックス」がマストとなります。XCとXLには荷室のラゲッジボックスが標準装備となりますが、実はこの装備は荷室のユーティリティを向上させるだけのものではありません。

シートをフルフラットにした時、シートの面と荷室の面が水平になるように装着されています。

その結果、リアゲートからダッシュボードまでが就寝スペースとして使うことができ、身長180cm程度の人であれば脚を伸ばして寝ることができます。

旧型ではアフターパーツで同様の商品が発売されていましたが、新型にはこうした機能が予め考慮されているのです。

ちなみにXGにはラゲッジボックスは付いていませんが、ディーラーで部品として取り寄せることが可能です。車中泊が多いという方には、オススメです。

ちなみに後席部分を倒すと、シート背面は樹脂パネルが張られています。車中泊時はキャンプマットなどを使用すると快適に寝ることができます。
新型ジムニーのシートは、デザインと座り心地、そして使い勝手の三拍子が改善されており、オンでもオフでも快適にドライブができる優れ物なのです。
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