ピックアップトラックが人気の理由|買い時はいつ?
更新日:2024.09.09
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SUV人気に湧く日本で、何気にシェアを確実に伸ばしているカテゴリーがあります。それはピックアップトラックです。日本では取り巻く環境が厳しいのですが、果たして買い時は今なのでしょうか?
文・山崎 友貴
文・山崎 友貴
“目新しさ”が魅力でヒット街道を邁進中
2017年9月にハイラックスが久しぶりの国内販売を開始して以来、販売台数は鰻上りになっています。デビューから2018年12月までの販売台数は約7700台と、メーカーが想定していた数を大幅に上回りました。
ハイラックスは、国内で販売されている乗用車系の中では最大の全長を持ち、しかも1ナンバーという条件がある中で、売れているのはなぜなのでしょうか。相模原市内にあるピックアップトラック&SUV専門店「PUTデポ」の金原崇雄社長に、その辺の事情をお聞きしてみました。
ハイラックスは、国内で販売されている乗用車系の中では最大の全長を持ち、しかも1ナンバーという条件がある中で、売れているのはなぜなのでしょうか。相模原市内にあるピックアップトラック&SUV専門店「PUTデポ」の金原崇雄社長に、その辺の事情をお聞きしてみました。
「2000年代初頭にピックアップトラックが注目された時期がありますが、その頃とはユーザー層が違います。その頃乗っていた人や憧れていた世代よりも、20~30代の新しいユーザーさんが来ていますね。長い間、正規販売でピックアップトラックの販売がなかったものですから、やはり新しいカテゴリーという価値があるんだと思います」。
金原さんによれば、最近のピックアップトラックのユーザーは、ファッションでただ乗るのではなく、オフロードバイクやMTB、カヌー、キャンプ用品を積むと言った明確な目的があって乗っている人が多いんだとか。
「やはり5mを越える全長で取り回しが悪いのに、ファッションだけ乗るのは厳しいです。見た目だけのノリで乗ってしまうと、おそらく持て余して2~3年で手放してしまうのはないでしょうか」と金原社長は言います。
一見すると華やかに見えるピックアップトラックですが、日本で乗るには実は様々な“壁”があると言います。
金原さんによれば、最近のピックアップトラックのユーザーは、ファッションでただ乗るのではなく、オフロードバイクやMTB、カヌー、キャンプ用品を積むと言った明確な目的があって乗っている人が多いんだとか。
「やはり5mを越える全長で取り回しが悪いのに、ファッションだけ乗るのは厳しいです。見た目だけのノリで乗ってしまうと、おそらく持て余して2~3年で手放してしまうのはないでしょうか」と金原社長は言います。
一見すると華やかに見えるピックアップトラックですが、日本で乗るには実は様々な“壁”があると言います。
日本とは違う本場アメリカのピックアップトラック事情
現在の日本以上に、ピックアップトラック市場が活性化されているのが、本場のアメリカです。かの国では売れ筋ベスト5の上位ほとんどをピックアップトラックが占めるほど、人気のカテゴリーなのです。
アメリカではライトトラックというカテゴリーで呼ばれており、昨今はダブルキャブで豪華なエクステリアが採用された「スポーツユーティリティトラック(SUT)」が市場を支えています。
この人気はアメリカの経済回復が基盤となっているのですが、要因はそれだけではありません。ひとつはアメリカ人のライフスタイルがあります。日本の軽トラのように農家の暮らしを支えるだけでなく、週に1度だけ大量の買い物をしにいく地方生活者にとって、あの荷台は必需となっているのです。
アメリカではライトトラックというカテゴリーで呼ばれており、昨今はダブルキャブで豪華なエクステリアが採用された「スポーツユーティリティトラック(SUT)」が市場を支えています。
この人気はアメリカの経済回復が基盤となっているのですが、要因はそれだけではありません。ひとつはアメリカ人のライフスタイルがあります。日本の軽トラのように農家の暮らしを支えるだけでなく、週に1度だけ大量の買い物をしにいく地方生活者にとって、あの荷台は必需となっているのです。
西部や南部などでは、ピックアップトラックはアメリカンスピリットそのものです。開拓という歴史を重ねたアメリカでは、20世紀以降のフロンティアの生活を支えたのは小さなピックアップトラックでした。そのため、彼らはピックアップトラックを自分たちの努力の象徴とし、誇りを持って乗っていることが分かります。裕福な農家のオーナーは、仕事用のピックアップトラックの他に、ピカピカにドレスアップしたトラックを持ち、それで町に出かけていくという人も少なくありません。
さらに都市部でも、ピックアップトラックはユーザーに恩恵を与えています。日本同様に商業車扱いとなりますが、州によっては税金や自動車保険料が大幅に割引になります。特に保険が高いアメリカでは、料率が低いピックアップトラックは魅力です。お金のない若者や低所得者層に人気があるのは、そうした優遇があるからなのです。
さらに都市部でも、ピックアップトラックはユーザーに恩恵を与えています。日本同様に商業車扱いとなりますが、州によっては税金や自動車保険料が大幅に割引になります。特に保険が高いアメリカでは、料率が低いピックアップトラックは魅力です。お金のない若者や低所得者層に人気があるのは、そうした優遇があるからなのです。
波は来ているが明確な購入目的が大切?ピックアップトラックとSUVと諸経費を比較してみた
日本ではピックアップトラックは所有しやすいのでしょうか?ちなみにアメリカと同じく商用車扱いになるピックアップトラックは、基本的には1ナンバー枠になります。
同じトヨタの3ナンバーSUV・ランドクルーザープラド(2.7G)と、諸経費を比較してみました。(※ハイラックスは初回のみクリーンディーゼルの減税がありますが、初回車検以降で計算)
自動車税:
ハイラックス:¥16000
プラド:¥51000
重量税:
ハイラックス:¥7500 (1年)
プラド:¥41000 (2年)
自賠責保険:
ハイラックス:¥23970(12ヶ月)
プラド:¥25830(24ヶ月)
1年あたりで考えてみると、ハイラックスは¥47470、プラドは¥84415となり、ハイラックスのランニングが安いことが分かります。これに車検費用をハイラックスは2年(2回)、プラドは1回として見積もっても、僅かながらハイラックスの方が諸経費は安い計算になるのです。
同じトヨタの3ナンバーSUV・ランドクルーザープラド(2.7G)と、諸経費を比較してみました。(※ハイラックスは初回のみクリーンディーゼルの減税がありますが、初回車検以降で計算)
自動車税:
ハイラックス:¥16000
プラド:¥51000
重量税:
ハイラックス:¥7500 (1年)
プラド:¥41000 (2年)
自賠責保険:
ハイラックス:¥23970(12ヶ月)
プラド:¥25830(24ヶ月)
1年あたりで考えてみると、ハイラックスは¥47470、プラドは¥84415となり、ハイラックスのランニングが安いことが分かります。これに車検費用をハイラックスは2年(2回)、プラドは1回として見積もっても、僅かながらハイラックスの方が諸経費は安い計算になるのです。
ただし高速代では、1ナンバー車は不利です。さほど3ナンバー車とサイズは変わらないにも関わらず、車種区分が中型車となってしまうのです。その上、中型車には休日割引が適用されないため、レジャーで使うにはかなりの痛手。自動車保険の料率が上がってしまうことも、1ナンバー車を購入する前に知っておきたいポイントのひとつです。
日常の使い方においても、知っておきたいポイントがあります。まず国内販売車としては最長のボディサイズです。リアのオーバーハングが長いため、PAなどの駐車場で車止めまで後退すると、後方に駐まっている車にぶつけることがあるので、注意です。
日常の使い方においても、知っておきたいポイントがあります。まず国内販売車としては最長のボディサイズです。リアのオーバーハングが長いため、PAなどの駐車場で車止めまで後退すると、後方に駐まっている車にぶつけることがあるので、注意です。
何でも積める荷台は魅力ですが、防犯の注意が必要です。知り合いのカメラマンは、荷台に機材を積んでトノカバーをかけただけで車を離れたところ、わずか数分の間に盗難に遭っています。大切な物は車内に積むか、ロック付きのトノカバーの装着がマストとなります。
荷台の防錆という点でも、配慮が必要です。汚れた物でも無造作に積めるのがピックアップトラックの魅力ですが、日常的にトノカバーやベッドライナーを使用しないと、物を積んだ時にできる傷から錆が発生し、荷台の床が徐々に腐食していく恐れがあります。日本はアメリカほど乾燥しておらず、高温多湿。ボディの外装を洗車しておけばいい普通の車とは異なり、トラックの荷台は時として頭痛の種です。
荷台の防錆という点でも、配慮が必要です。汚れた物でも無造作に積めるのがピックアップトラックの魅力ですが、日常的にトノカバーやベッドライナーを使用しないと、物を積んだ時にできる傷から錆が発生し、荷台の床が徐々に腐食していく恐れがあります。日本はアメリカほど乾燥しておらず、高温多湿。ボディの外装を洗車しておけばいい普通の車とは異なり、トラックの荷台は時として頭痛の種です。
こういった経済的なデメリットや維持の手間をクリアできるのであれば、ピックアップトラックは個性を主張できる魅力的な車だと言えます。ただ、日本に導入されているハイラックは1グレードのみで、やはりキングキャブやシングルキャブ、ガソリン車などの選択肢が欲しいのも事実です。ただし昨今では、トヨタの海外仕様車・タコマやフォード・レンジャーといった人気モデルが並行輸入されており、こうした車に目を向けるのも手と言えます。
今後、ピックアップトラックが税制などでさらなる優遇をされる見通しはないのですが、シェアが拡大されていくのは間違いないでしょう。ドレスアップやチューニングパーツの市場も拡大しており、アフターという点でも充実し始めています。13年間もの長きに渡って日本市場から姿を消していたハイラックスの復活は、いま間違いなくムーヴメントを起こしつつあります。SUVにとって代わる…とまではいかないまでも、かつての四駆ブーム時以上の台数が日本を走ることは間違いないでしょう。ただ、ブームにのって乗るには、あまりに敷居が高いピックアップトラック。購入する前に、自分のライフスタイルをよく検討する必要がありそうです。
今後、ピックアップトラックが税制などでさらなる優遇をされる見通しはないのですが、シェアが拡大されていくのは間違いないでしょう。ドレスアップやチューニングパーツの市場も拡大しており、アフターという点でも充実し始めています。13年間もの長きに渡って日本市場から姿を消していたハイラックスの復活は、いま間違いなくムーヴメントを起こしつつあります。SUVにとって代わる…とまではいかないまでも、かつての四駆ブーム時以上の台数が日本を走ることは間違いないでしょう。ただ、ブームにのって乗るには、あまりに敷居が高いピックアップトラック。購入する前に、自分のライフスタイルをよく検討する必要がありそうです。