トヨタ ハイラックスの歴史を各モデルの違いとともに徹底解説
更新日:2024.09.09
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今年で誕生から50周年を迎えるピックアップトラック「ハイラックス」。昨年には久しぶりに日本市場にも導入されて、各方面で話題を呼んでいます。今回は、世界で活躍する名車ハイラックスの足跡を辿ってみましょう。
文・山崎友貴
文・山崎友貴
ハイラックスは純粋なワークホースとして生まれた
初代ハイラックス
ハイラックスが登場したのは、高度成長期真っ最中の1968年。当時販売されていた「ブリスカ」「ライトスタウト」というボンネットトラックの後継モデルとして新たなモデル名を冠して登場しました。ハイラックスとは、「高級な」「より優れた」という意味のハイと、「贅沢な」「豪華な」という意味のラグジュアリーを合わせた造語なんだとか。
いま見てもスタイリッシュでスマートなデザインの初代ハイラックスは、前期モデルは1.5ℓ、後期モデルは1.6ℓの直4エンジンを搭載していました。
1972年の2代目では、1.6ℓエンジンに加えて2ℓも追加。これは「ハイウェイ」というグレードに搭載され、きたる高速化に対応したものとなりました。ただし、この2ℓエンジンは当時問題化していた環境汚染の波におされて、1975年に規制をクリアできず廃止になっています。
いま見てもスタイリッシュでスマートなデザインの初代ハイラックスは、前期モデルは1.5ℓ、後期モデルは1.6ℓの直4エンジンを搭載していました。
1972年の2代目では、1.6ℓエンジンに加えて2ℓも追加。これは「ハイウェイ」というグレードに搭載され、きたる高速化に対応したものとなりました。ただし、この2ℓエンジンは当時問題化していた環境汚染の波におされて、1975年に規制をクリアできず廃止になっています。
3代目ハイラックス
ピックアップトラックと呼ばれるようになったのは、1978年に登場した3代目から。元々ピックアップトラックの定義は曖昧ですが、キャビンと荷台が一体化されたクルマ、というのが一般的。そういう意味ではハイラックスはボンネットトラックなのですが、アメリカからの影響もあって、ハイラックスはピックアップトラックと呼ばれるようになったのです。
この3代目はトヨタが「アメリカのようにトラックをRVとして使おう」という提案が盛んに打ち出され、色もイエローなど商用車らしからぬものが設定されました。
このモデルのトピックは、フロントサスペンションがダブルウイッシュボーン式コイルスプリングからダブルウイッシュボーン式トーションバースプリングに変更されたこと。フロントのトラベル量がさらに確保されています。
またデビューから1年後の1979年には、ハイラックス初の4WD車が追加。さらに同じタイミングで2.2ℓのディーゼルエンジンが、2WDのみに設定されました。現在も続くラインナップがここで確立されたのです。
この3代目はトヨタが「アメリカのようにトラックをRVとして使おう」という提案が盛んに打ち出され、色もイエローなど商用車らしからぬものが設定されました。
このモデルのトピックは、フロントサスペンションがダブルウイッシュボーン式コイルスプリングからダブルウイッシュボーン式トーションバースプリングに変更されたこと。フロントのトラベル量がさらに確保されています。
またデビューから1年後の1979年には、ハイラックス初の4WD車が追加。さらに同じタイミングで2.2ℓのディーゼルエンジンが、2WDのみに設定されました。現在も続くラインナップがここで確立されたのです。
ハイラックスのRV化が進んだ80年代
4代目ハイラックス
1980年代は、日本が4WDブームに沸いた時期でした。好景気からスキーなどのアウトドアレジャーが盛んになり、これに合わせて様々な4WD車の需要が右肩上がりとなっていきました。1983年に登場した4代目ハイラックスは、3代目からの正常進化というよりは、人気の高かった「ダットサントラック」を追従したようなデザインとなりました。
またライバルにはないアピールポイントとして、1.6ℓと1.8ℓのガソリンエンジン、2.2ℓと2.4ℓディーゼルエンジンという計4タイプのパワーユニットを設定していました。ボディはシングルキャブに加えて、初のダブルキャブを発売。
さらに1984年には、シングルキャブにFRPトップを被せたステーションワゴン「ハイラックス・サーブ」をバリエーションとしてデビューさせています。このサーフこそが、日本のSUVの源流となったのです。
またライバルにはないアピールポイントとして、1.6ℓと1.8ℓのガソリンエンジン、2.2ℓと2.4ℓディーゼルエンジンという計4タイプのパワーユニットを設定していました。ボディはシングルキャブに加えて、初のダブルキャブを発売。
さらに1984年には、シングルキャブにFRPトップを被せたステーションワゴン「ハイラックス・サーブ」をバリエーションとしてデビューさせています。このサーフこそが、日本のSUVの源流となったのです。
5代目ハイラックス
4WDブームの上昇気流に乗ったハイラックスは、1988年の5代目モデルで一気に開花します。
4WD車と2WD車の外観を差別化し、2WD車は商用車的に、4WDはRV車としてのグレード感を演出。またエンジンも4WD車には2ℓガソリンと2.4ℓディーゼルを、2WDには1.8ℓガソリンと2.4ℓディーゼルエンジンを搭載して差別化しています。
外観が洗練されたことに加えて、インパネのデザインも乗用車ライクなものを採用して、RVとしての価値観を高めていました。
ちなみにハイラックスは北米をはじめとする海外に「4ランナー」の名前で輸出していましたが、この代でハイラックスのシャシーを使った大型ピックアップトラック「T100」を北米で発売。このT100は、現在アメリカで大人気の「タンドラ」の源流となったモデルです。
4WD車と2WD車の外観を差別化し、2WD車は商用車的に、4WDはRV車としてのグレード感を演出。またエンジンも4WD車には2ℓガソリンと2.4ℓディーゼルを、2WDには1.8ℓガソリンと2.4ℓディーゼルエンジンを搭載して差別化しています。
外観が洗練されたことに加えて、インパネのデザインも乗用車ライクなものを採用して、RVとしての価値観を高めていました。
ちなみにハイラックスは北米をはじめとする海外に「4ランナー」の名前で輸出していましたが、この代でハイラックスのシャシーを使った大型ピックアップトラック「T100」を北米で発売。このT100は、現在アメリカで大人気の「タンドラ」の源流となったモデルです。
7代目ハイラックス
しかし90年代も後半になると4WD車の需要が徐々に落ち始めました。1997年に登場した7代目は、4WDをさらにRV化したスタイリングで登場。
オーバーフェンダーを装着したモデルの登場や、メーカー純正とも言えるTRDのカスタマイズ車を発表したりと話題性は十分でしたが、国内需要がどんどん減っていき、2004年には日本での販売が一時終了となってしまいます。
オーバーフェンダーを装着したモデルの登場や、メーカー純正とも言えるTRDのカスタマイズ車を発表したりと話題性は十分でしたが、国内需要がどんどん減っていき、2004年には日本での販売が一時終了となってしまいます。
ハイラックスは海外から再び日本へ
ハイラックスはそもそも活躍の場は海外であり、アメリカ以外ではアジアの後進国が主要な市場でした。特に貨客両用の車が人気の後進国では、ハイラックスはダットサントラック(現フロンティア)同様に信頼性と人気が高かったのです。そのため、日本での販売が終了した後も、ハイラックスは8代目、9代目と進化を遂げていきます。
ちなみに、ハイラックスは180以上の国で販売されており、これはランドクルーザーを上回る数。デビューから2017年まで、累計生産台数はなんと1,772万台にものぼります。そして2017年1年間の販売台数は、52.1万台。まさにトヨタの屋台骨を背負う車種のひとつなのです。
ちなみに、ハイラックスは180以上の国で販売されており、これはランドクルーザーを上回る数。デビューから2017年まで、累計生産台数はなんと1,772万台にものぼります。そして2017年1年間の販売台数は、52.1万台。まさにトヨタの屋台骨を背負う車種のひとつなのです。
現行ハイラックス
現在のハイラックスはタイやアルゼンチンなど、6カ国で生産されるグローバル車ですが、2017年9月に日本に導入されたハイラックスはタイ生産のものです。13年ぶりに里帰りしたハイラックスは、すっかり様変わりしています。とくにフロント周りのデザインはトラック然とした部分は微塵もなく、どちらかというとSUVを彷彿とさせるものです。
ピックアップトラックは荷台に屋根がないことから様々な点で不便なのは事実です。ですが、逆に汚れモノでも何でもラフに積めるということが、使い方の可能性を広げることは確かです。バイクや自転車、レジャーアイテムなどをたくさん積み、時には荷台にテントを建てて寝る…。ハイラックスの荷台には、そんな夢をいっぱい載せることができるのです。
ピックアップトラックは荷台に屋根がないことから様々な点で不便なのは事実です。ですが、逆に汚れモノでも何でもラフに積めるということが、使い方の可能性を広げることは確かです。バイクや自転車、レジャーアイテムなどをたくさん積み、時には荷台にテントを建てて寝る…。ハイラックスの荷台には、そんな夢をいっぱい載せることができるのです。
山崎友貴|Tomotaka Yamazaki
四輪駆動車専門誌、RV誌編集部を経て、フリーエディターに。RVやキャンピングカー、アウトドア誌などで執筆中。趣味は登山、クライミング、山城探訪。小さいクルマが大好物。