マツダからミニバン撤退の噂が。3つのマツダ製ミニバンが遂に生産終了!?

ついに生産終了!マツダが平成29年を目安にミニバンの生産・開発からの撤退を検討

先日、マツダは平成29年を目安にミニバンの生産・開発からの撤退を表明したとのニュースがありました。現在、マツダでは「MPV」「プレマシー」「ビアンテ」の3車種のミニバンを発売していますが、世界的に人気が高まっているSUVの開発に注力するため、これらのミニバンの生産能力を割り振るとのこと。

国内でのミニバン市場は競争激化が続いており、その影響で、マツダの販売台数は27年で約1万1千台とピークの約4分の1程度にまで縮小。加えて、『魂動デザイン』で人気を博したアテンザやSUVのCXシリーズなどが好調であることからも撤退を決めたのではないかと思われます。

ミニバンというのは、日本では非常に人気のジャンルですが、世界的に見るとそうでもなく、SUVなどの方が人気があるようです。

もともとマツダはロードスターの成功により、世界にファンの多いメーカーですので、あえてミニバンという、いわば『ガラパゴス』なジャンルの開発に注力するよりも、SUVなどに注力することで、更なる世界市場への展開を狙っているのではないでしょうか。

モデルチェンジがなく心配していたマツダのミニバン

SUVでは好調のマツダですが、ファミリーカーとして必須になったミニバン分野ではいまいちピンときません。日本市場でのミニバンは圧倒的にトヨタが強く、サイズもカテゴリーもしっかりラインナップし、エスティマやアイシスは10年選手にもかかわらず、モデルチェンジを必要としないほど売れに売れています。

マツダの現行のラインナップはMPV、ビアンテ、プレマシーですがどれもモデル末期を迎えているのにも関わらず、モデルチェンジの噂話はあまり出てきませんでした。そこに、マツダのミニバン事業からの撤退のニュースです。マツダファンや車好きの方で、残念に思われた方も多かったのではないでしょうか。

ここからは、そんなマツダの「ミニバン三銃士」 とを振り返ってみます。

マツダ MPV

初代MPV登場

1990年にマツダ MPVが登場。マツダは日本市場においてミニバンのパイオニアでした。 1990年に日本市場に登場に投入された初代MPVは、当時まだミニバンという言葉が浸透していなかった日本にアメリカンスタイルのミニバンを投入した最初の一台と言えるでしょう。

当時7人乗りミニバンクラスでは乗用車的なドライビングポジションが得られ、走りの質もスポーティに煮詰めていました。そうでなければ、本場アメリカ市場で受け入れられないでしょう。

しかし、初代MPVは、評論家にこそ絶賛されたものの、一般のユーザーにはその魅力が伝わらなかったようです。1990年代初頭はRVブーム真っ盛りでした。シートが回転したり、アクセサリーが豊富であったりとアイディアが勝った時代。成る程 、”本場仕込み”で真っ当に作ったはいいが、日本ではそれがいささか地味に見えてしまったのかもしれません。

初代の課題を克服してみせた2代目MPV

1999年に2代目MPVが登場しました。ミニバンブームの立役者となったのはホンダ オデッセイで、そのスマッシュヒットを見て各メーカーは続々とフォロワーを登場させました。マツダも初代MPVの反省から二代目MPVを投入。マツダのミニバンといえばこれを思い浮かべる人は多いでしょう。

二代目の特徴は、FF化されたことで室内が広くなり、後に出てくるミニバンに影響を与えたシートアレンジは凝りに凝ったもので「KARAKURI」シートと名付けられました。3列目シートへのアクセスや荷室のスペースに寄与したのです。

マイナーチェンジでは2.3リッター直4の新エンジンを搭載。往来のフォード製2.5リッターV6は3リッターにアップ。5段ATも採用、ブレーキも大型化するなど二代目はスポーティ路線はそのままに、アイディアをたくさん詰め込み、改良を重ねていくことで鮮度を保っていたモデルに思います。

スポーティー路線を具現化した3代目MPV

マツダ MPV

2006年、3代目MPVが登場。一回り大きくなったボディは全高が10センチも低められ、低床化を実現。ミニバンとしては異例に低いステーションワゴンのフォルムを持ち、内容もリアサスにマルチリンクを採用しました。

エンジンは2.3リッターに直噴ターボの組み合わせでパワーアップ、ミッションは6段ATとなり、ブレーキも17インチを採用するなど、何かに吹っ切れたようにスポーティ路線を具現化したモデルと言えるでしょう。

お得意の「KARAKURI」シートの2列目は、オットマンや座面角度調整、ヘッドレストをスイングできる「スーパーリラックスシート」などがマツダのこだわったポイント。110mmも延長されたホイールベースは居住性、積載性とミニバンとしての機能もアップしていました。

マツダ プレマシー

初代プレマシー

ウィッシュ、ストリームと5ナンバーサイズ7人乗りミニバンが台頭してきた時期であり、マツダもMPVやボンゴフレンディと併せてミニバンラインナップを形成します。今となっては特徴らしい特徴は見当たりませんが、多彩なシートアレンジ、セダン的な使いやすさを売りにしていました。

2代目プレマシー

アテンザ以降の新世代商品群の初ミニバンとして、ボディサイズを拡大して登場。基本6人乗りとしながらも、いざという時には2列目助手席側シートに隠れた7人目のシートが現れる「6+oneパッケージ」を採用。さらに右側には収納ボックスも現れる格好とし、乗車人数に合わせて、空間を有効に使おうという手法がとられました。

3代目プレマシー

プレマシー

3代目プレマシーは基本的に先代のキャリーオーバーで、当時のデザインテーマである「Nagare流」デザインを与えられました。スペース効率を追求するミニバンに動きのあるアグレッシブなデザインは、やりすぎ感があったようにも思われます。

この三代目の注目すべき点は、後期にスカイアクティブ化されたことです。CX-5やアテンザで好評の「SKYACTIV-G2.0」エンジンに6ATの組み合わせでアンチエイジングを果たしました。マツダがロードスターのようにドライブフィールにこだわって作られており、走りの質においては相当いいところにあったのです。

マツダ ビアンテ

無題

2008年、プレマシーやMPVが思うように売れず、ノア・ヴォクシー、セレナ、ステップワゴンのような2リッタークラストールワゴンの市場に、ビアンテを投入しました。特にノア・ヴォクシーは月1万台以上は売り上げる強者でした。

ビアンテの車体はプレマシーをベースにしており、敢えて走りの良さを謳わなくてもしっかりしており、お得意のシートアレンジ、ドライビングポジションも乗用車的でそれなりに作られていた極めて無難なミニバンだったと言えるでしょう。外観デザインは当時のデザインテーマを汲む「Nagare流」を採用しておりました。

2013年にはプレマシーと同じ「SKYACTIV-G2.0」エンジンに6ATが搭載され燃費を克服して見せましたが、トールミニバン3強を崩すには至りませんでした。ビアンテは細かなところは3強に比べて経験不足もあり、完成度もイマイチ。ビアンテでなければならない理由は乏しかったと言えるでしょう。

現在絶好調なマツダの新車種たち

SKYACTIV技術を駆使したマツダの新型車が軒並み好調です。もっとも、「SKYACTIV技術」とはいっても、カタログスペックや試乗車のチョイノリだけでいい顔をしない、自動車の本質を重視するという、ある意味当たり前で、どのメーカーもやろうとしてやれない事をしているだけなのですが、だからこそ評価されているというわけです。

低迷期のマツダを支えた米フォードは去り、好調を背景に本当にマツダの作りたい、理想とする車を続々とデビューしている姿は気持ち良く感じます。コンパクトカーのデミオ、小型車のアクセラ、ミドルクラスのアテンザ、スポーツカーのロードスター、SUVのCXシリーズとどれも成功続きで、当面マツダが極端な危地に陥る事は無いであろうとまで言えるでしょう。

その一方で、苦境に立たされ、這い上がるために試行錯誤していた時代を支えたミニバン達「プレマシー」「MPV」「ビアンテ」のモデルライフがそろそろ尽きようとしています。

かつて人気のあったプレマシーとMPV

現在のマツダのミニバンのうち、車高の低いロールーフタイプのミニバンは、アクセラと同じプラットフォームを使う「プレマシー」と、同じくアテンザとプラットフォームを共用する「MPV」の二種類です。

プレマシーは初代モデルが「プレマシーカプセル」をキャッチコピーに、小型車を無理やり7人乗りにしたようなコンパクトミニバンでした。しかし、二代目以降はコンセプトを一新。アクセラベースの普通のミニバンになり、現在では日産にラフェスタとしてOEM供給されています。

「MPV」の初代はルーチェをベースにした当時でも珍しいFRのミニバンで、4WDモデルなどはやや最低地上高が高めな事もあり、車高を上げてデリカ・スペースワゴンのようにオフロードにも強い(強そうな)ミニバンとして使っている人もいたやや特異なミニバンでしたが、これも2代目はカペラ、3代目以降はアテンザベースでごく普通のFFベースなミニバンになりました。

SKYACTIV技術を売り込む前のマツダは2.3リッターターボをいろんな車に積んで動力性能をアピールしていましたが、このプレマシーとMPVも走りのいいミニバンとして定評があったのです。

ロールーフミニバンは旬を過ぎてしまった

ただ、今となってはこのジャンルそのものがピークを既に過ぎた不人気ジャンルとなっています。

かつてはホンダ・オデッセイに始まる乗用車ベースなロールーフミニバンがブームになりました。そして「いざとなれば7人乗れて普段は荷物もそこそこ積める」という特性から、商品性の低いステーションワゴンを駆逐し取って代わって今に至っています。

しかし現在は7人以上乗車するならアルファードやノア、セレナのような車高の高い1BOXタイプミニバンが好評ですし、それを求めない人は普段から荷物をそれほど載せない事に気づいて、ステーションワゴン的な車の需要はあまりありません。

トヨタはウイッシュの後継が出るか微妙ですし、アイシス後継はコンパクトミニバンのシエンタになりました。ホンダもジェイドの売れ行きがやや不調ですし、あえて不人気ジャンルに新型車を投入するメリットが薄い状況なのです。

プレマシーに限って言えば日産にOEM供給している関係もあり、両社の動き次第ではクロスオーバーSUV的な、あるいは通常タイプとクロスオーバーの2つのグレード展開で後継車を出す可能性はゼロではありません。

しかし、そのジャンルでも「クロスオーバー7」(旧エクシーガ)が現在のスバル車としては例外的なほど大不人気車そのものな状況から、日本での市場が無いと言ってよい状況です。

MPV後継が噂される新型CX-9も、大き過ぎるだけでなく、市場が無いという理由で日本導入の可能性は薄いでしょう。

実際の販売の現場では、顧客の買い替えに応えるための新型が投入されないのは困ったものです。そこでキャロルやフレア・クロスーバーのように他メーカーからOEM供給を受けて補填車群の中に入るのでは、という展開が噂されました。

その候補車としては日産セレナ。これまでプレマシーを日産へラフェスタとして供給していたのに対して「ラフェスタのお返し」になったのかもしれません。今のところ7人乗り乗用車を補完するのは、北米のCX-9をベースにしたなんらかの車種が投入されるのでは、と噂されます。

直球勝負ゆえに出た顛末

マツダのミニバン三台に共通するのはずっとスポーティ路線を貫いてきたところです。偉いなと思うのはマツダらしいクルマをするところが身上。単にスペックやエアロパーツなどの見せかけだけで武装せず、運転して楽しいとか、気持ちが良いなど、走りの質を追求した車体セッティングをしているところです。

これは平均速度が低く、移動距離も短い日本のミニバン層に訴求するには伝わりにくかったと言えます。では装備やパッケージング、デザインはどうだったかといえば、特別に他社に遅れていたわけでもなかったわけです。

商品性は過不足なかったのにシェアを取れなかった要因として、販路がトヨタ・日産・ホンダに比べても圧倒的に少なかった部分にあると思われます。

マツダの勇気ある撤退

マツダにとってはシェアを取ろうと躍起になり、何とか値引きに値引きをして台数を稼げば収益も少なく、結果的に値崩れになってしまい、市場価値が下がります。顧客も下取り価格が下がれば、また値引きしてくれるマツダ車を買うか、そのまま乗り続けるといった「マツダ地獄」なる言葉が横行したものです。

マツダ自身、これを公に認めており、キャッシュフローを見直し、新世代商品群からマツダディーラーへ訪れる客層が変化したことから、マツダ製ミニバンの役割は終えたと判断したようです。それでもマツダのディーラーでミニバンがほしい、というニーズに現実問題、セレナでも補えたことでしょうが、マツダはそれをしなかったのです。これは英断ではないでしょうか。

それはSUVを柱にして、ロードスターやロータリーエンジンを金字塔にしていくというマツダの決意の固さが伝わります。自動車メーカーの生き残りをかけ、独自の強みをストレッチさせ、大手メーカーの追随はもうしない、という意思表示が見えました。そんなマツダには期待したいです。

マツダデザインと1BOXミニバンの融合に再挑戦なるか

マツダ ビアンテ

一方、ノアやセレナ相当の車高が高い1BOXタイプミニバンとしてある「ビアンテ」。マツダ独特の流れるようなデザインテイストを1BOXミニバンに融合しようと試みましたが、うまくいかず、「歌舞伎役者」とまで言われた独特のマスクが市場に受け入れられませんでした。

実は2012年に決行したフェイスリフトで印象が大きく異なっているのですが、今でもビアンテと言えば「歌舞伎顔」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

そのフェイスリフト以降はインドネシアなど海外への輸出も始まっていますので、案外、SKYACTIV技術を活かした1BOXタイプミニバンをリリースすれば、日本市場でも受け入れられる余地はまだあります。

トヨタや日産とは一味違う「背が高くても走りのいい、マツダらしいミニバン」がデビューしてほしいところですが、その場合は、今のイメージ一新のため、名前はビアンテではなくなるでしょう。

忘れちゃいけない「ボンゴ」は健在

マツダ・ボンゴバン(マイナーチェンジ後)

最後に、商用車のボンゴバンが未だに健在な事をお知らせします。

この商用1BOXというジャンルは、インドネシア生産の拡大版ダイハツ・ハイゼットを日本ではトヨタが販売している「ライトエース/タウンエース」が小さすぎると言われており、日産もNV200を作ったものの商用車として割り切りきれず、ボンゴをバネットとしてOEM供給されている状態。

昔ながらの小型商用1BOXとしては現在ボンゴバンの独壇場という面白い光景が出現しているので、今後これが何かの形で発展し、ハイエース的な「割り切りのいい車」として人気が出てくると、マツダミニバン番外編としてちょっと面白いのではと思っています。

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