マツダの赤はなぜ特別なのか?その哲学と技術に迫る【2025版】
更新日:2025.10.06

マツダ車と言えば、真っ先に思い浮かぶのが鮮烈な赤ではないでしょうか。アクセラ(Mazda3)やデミオ(Mazda2)、ロードスター(MX-5)など、マツダの多くのモデルで採用されるこの赤いボディカラーは、他メーカーの赤とは一線を画す存在感を放っています。独特の光沢感と深みのある鮮やかさを持つマツダの赤には、開発者の並々ならぬこだわりと高度な技術が詰め込まれているのです。
この記事では、マツダが赤に込めたブランド哲学やデザイン思想、塗装技術 匠塗 (TAKUMINURI) の秘密、そして最新モデルへの採用状況などを2025年時点の最新情報も踏まえて詳しく解説します。マツダファンの方も購入検討中の方も、マツダの赤の特別な理由を読み解き、その魅力と裏側に迫ってみましょう。
この記事では、マツダが赤に込めたブランド哲学やデザイン思想、塗装技術 匠塗 (TAKUMINURI) の秘密、そして最新モデルへの採用状況などを2025年時点の最新情報も踏まえて詳しく解説します。マツダファンの方も購入検討中の方も、マツダの赤の特別な理由を読み解き、その魅力と裏側に迫ってみましょう。
- Chapter
- マツダが赤に込めたブランド哲学
- ソウルレッドは2種類ある:プレミアムとクリスタルの違い
- ソウルレッド・プレミアムメタリック
- ソウルレッド・クリスタルメタリック
- 【豆知識】匠塗の赤 アーティザンレッド の登場
- 魂動デザインと赤の関係性
- 光と影のコントラストで造形美を引き出す
- 「魂を揺さぶる」思想を体現するカラー
- 歴史から受け継がれるスポーツマインドの象徴
- 匠塗 (TAKUMINURI):職人技を量産車で再現する塗装技術
- コンセプトカーの輝きを量産ラインへ
- ゼロから理想の色を創り出す執念
- 赤から広がる「匠塗」カラーの世界
- 2025年最新マツダ車と赤い塗装の採用例
- ブランドの象徴「ソウルレッド」の幅広い展開
- 新たな高級感を宿す「アーティザンレッド」の登場
- キャラクターで使い分ける2つのプレミアムレッド
- 色褪せない価値を持つブランドの遺伝子へ
- 他メーカーの赤との比較:何が違うのか?
- コンセプトカーの輝きを市販車へ:他社が越えられなかった量産の壁
- 赤にまつわる豆知識・裏話
- 名前の由来
- 広島カープとの偶然の縁
- 色褪せ対策
- 受賞歴
- まとめ:マツダの赤が映し出す情熱
マツダが赤に込めたブランド哲学
マツダはデザイン戦略においてボディカラーを重要視しており、カラーも造形の一部という哲学を掲げています。中でも赤は情熱の色として特別な意味を持ち、マツダブランド全体のイメージカラーとして広く認知されるまでになりました。現デザイン統括本部長の前田育男氏(常務執行役員)も、生命感を光で表現するというテーマでマツダ独自のデザインを追求しており、鮮やかな赤色は車に魂を吹き込むカラーとして位置付けられているのです。
実際、魂動(こどう)- Soul of Motion というマツダのデザイン哲学においても、赤はデザインコンセプトと深く結びついています。車を単なる工業製品ではなく生き物のように感じさせる――そんな魂動デザインのダイナミックさや繊細さを体現する色こそが赤であり、光の当たり方によって様々な表情を見せるその塗装は、まるで生きているかのような躍動感を生み出すのです。
実際、魂動(こどう)- Soul of Motion というマツダのデザイン哲学においても、赤はデザインコンセプトと深く結びついています。車を単なる工業製品ではなく生き物のように感じさせる――そんな魂動デザインのダイナミックさや繊細さを体現する色こそが赤であり、光の当たり方によって様々な表情を見せるその塗装は、まるで生きているかのような躍動感を生み出すのです。
さらに、マツダの赤は単なる企業カラーに留まりません。その開発には10年以上に及ぶ塗装技術の蓄積と、デザイナーの情熱が注がれています。現在のソウルレッドの原点は2007年発表のコンセプトカー流雅(Ryuga)にまで遡ります。このモデルで初めて究極の赤として披露されたカラーは、以前にない高い質感でマツダの情熱を表現したものでした。
その後、2010年のデザインテーマ魂動の確立を経て、2012年発売の3代目アテンザ(Mazda6)でついに量産車への初採用が実現し、以降マツダのブランドシンボルとして進化を続けています。
その後、2010年のデザインテーマ魂動の確立を経て、2012年発売の3代目アテンザ(Mazda6)でついに量産車への初採用が実現し、以降マツダのブランドシンボルとして進化を続けています。
ソウルレッドは2種類ある:プレミアムとクリスタルの違い
ソウルレッド・プレミアムメタリック
マツダの情熱を象徴する初代ソウルレッドです。2012年登場のアテンザで初採用され、鮮やかさと深みを両立したこだわりの赤として誕生しました。塗装は反射層・カラー層・クリア層の3層構造で、特に下地の反射層と中間の赤色カラー層に秘密があります。
反射層には高輝度のアルミフレークを極めて均一に並べ、その上に透明感のある赤のカラー層を重ねています。光が当たるとアルミ層で反射した光が赤層を透過して鮮烈に輝き、陰になる部分では二層の赤が重なって濃厚な深みを出す――このようにして、一色の塗装でありながら光と影で表情を変える立体感を実現しているのです。
ソウルレッド・クリスタルメタリック
プレミアムレッドをさらに進化させた新世代のソウルレッドです。2017年デビューの2代目CX-5から採用が始まりました。最大の特徴は、彩度が約2割アップし、深みが約5割増したことによる、一層みずみずしく艶やかな透明感です。基本構造はプレミアムレッドと同じくクリア層・透過(カラー)層・反射層の3層ですが、塗料開発の改良によりより鮮烈な赤の発色と奥行きを両立しました。
マツダのデザイン路線が魂動コンセプトを経てアグレッシブさから上質志向へシフトしたことに合わせ、ボディカラーも一段上の高級感を表現する狙いで生まれたのがクリスタルレッドと言えます。その名の通りクリスタルのように澄んだ透明感と輝きを持ちつつ、見る角度によっては濃密な陰影をたたえ、より成熟した雰囲気をまとった赤色となっています。
マツダのデザイン路線が魂動コンセプトを経てアグレッシブさから上質志向へシフトしたことに合わせ、ボディカラーも一段上の高級感を表現する狙いで生まれたのがクリスタルレッドと言えます。その名の通りクリスタルのように澄んだ透明感と輝きを持ちつつ、見る角度によっては濃密な陰影をたたえ、より成熟した雰囲気をまとった赤色となっています。
ソウルレッドの代表例であるマツダ・アテンザ(Mazda6)。鮮やかな日差しの下で輝くハイライトと、車体下部に宿る深い影のコントラストが、ソウルレッドの立体感を際立たせている。
【豆知識】匠塗の赤 アーティザンレッド の登場
2023年、マツダはソウルレッド誕生から10年の集大成としてアーティザンレッド・プレミアムメタリックという新たな赤色を発表しました。ARTISAN(職人)の名が示す通り熟練の職人が作り上げた赤を意味し、熟成されたワインのような深みを持つ色に仕上げられています。
ソウルレッド・クリスタルと同じ3層構造で環境負荷にも配慮しつつ、透過層には人間の視覚で最も赤く感じる高彩度顔料を採用、反射層には既存色で培った平滑なアルミフレーク技術と改良ブラック顔料を組み合わせることで、ハイライトではきめ細かな鮮やかさを、シェード(陰)部では圧倒的な深みを両立しています。
クリスタルレッドが透明感を強調した赤だとすれば、アーティザンレッドはまさに濃密な深みが持ち味の赤といえるでしょう。その登場により、マツダの赤の世界観はさらに広がりを見せています(アーティザンレッドは2023年以降のラージ商品群や一部既存モデルの上級色として順次設定)。
ソウルレッド・クリスタルと同じ3層構造で環境負荷にも配慮しつつ、透過層には人間の視覚で最も赤く感じる高彩度顔料を採用、反射層には既存色で培った平滑なアルミフレーク技術と改良ブラック顔料を組み合わせることで、ハイライトではきめ細かな鮮やかさを、シェード(陰)部では圧倒的な深みを両立しています。
クリスタルレッドが透明感を強調した赤だとすれば、アーティザンレッドはまさに濃密な深みが持ち味の赤といえるでしょう。その登場により、マツダの赤の世界観はさらに広がりを見せています(アーティザンレッドは2023年以降のラージ商品群や一部既存モデルの上級色として順次設定)。
魂動デザインと赤の関係性
マツダの現行デザインテーマ「魂動(KODO)- Soul of Motion」は、動きの中に宿る魂を車の造形で表現する大胆な哲学です。ボディは流れるような面と陰影で構成され、静止していてもまるで生き物が躍動しているかのような生命感を感じさせます。この魂動デザインを最大限に引き立てる要素が、他でもない赤いボディカラーなのです。
光と影のコントラストで造形美を引き出す
魂動デザインでは、光と影が作り出すコントラストが造形美を際立たせます。そこで重要になるのが塗装の色味と輝き方です。マツダの赤は、見る角度や光の当たり方によって色味が劇的に変化するよう設計されています。明るい場所では鮮烈な赤が強い存在感を放ち、陰影部分では深い紅がしっとりとボディの曲面を浮かび上がらせます。この見る方向や環境によって表情を変える赤が、魂動デザインのもつ動的な美を忠実に再現するのに一役買っているのです。まさにマツダ車の造形とカラーは一体となって生命感を創出していると言えるでしょう。
「魂を揺さぶる」思想を体現するカラー
魂動デザインは単なる金属の塊ではなく、生き物のように感じられるクルマを目指す思想であり、そこには見る者の心を動かす(=魂を揺さぶる)という想いが込められています。情熱やエネルギーを象徴する色である赤は、このメッセージを視覚的に伝える最適なカラーです。
歴史から受け継がれるスポーツマインドの象徴
実際に、初代ロードスター(1989年)に採用されたクラシックレッドのように、マツダの歴史的な名車にも赤いボディカラーが与えられ、人々を魅了してきました。魂動デザインと先進塗装によって甦った現代のマツダの赤は、過去から受け継いだスポーツマインドと美意識を最新技術で昇華させたものなのです。
匠塗 (TAKUMINURI):職人技を量産車で再現する塗装技術
マツダの赤を特別たらしめているもう一つの要因が、匠塗(たくみぬり)と呼ばれる独自の塗装技術です。これはショーカーのような匠の塗装技術を大量生産のラインで再現することを目指して開発されました。
コンセプトカーの輝きを量産ラインへ
元々、デザインモデルやコンセプトカーでは、その美しさを優先して職人が何層にも塗り重ねる特別な塗装が施されることがあります。マツダの赤 ソウルレッド も初出はコンセプトカー用のカラーで、その際はなんと13層もの塗膜を重ねていたと言います。しかし13層塗りなど量産車では到底真似できないため、マツダの開発陣は匠の技を量産化するという前例のない挑戦に乗り出しました。
匠塗による塗装プロセスでは、通常のメタリック塗装よりも薄い反射層と特殊な研磨技術が鍵となります。先述のようにソウルレッドではアルミフレークを水平に揃えた極薄の反射層を用いますが、この薄膜は下地の影響を受けやすく繊細です。そこで塗装後に表面を平滑に仕上げる研磨(研ぎ)工程にも革新が加えられました。従来の一方向の研磨方法では磨き跡が残ってしまうため、研磨紙の選定から手順まで抜本的に見直し、新たな研磨法を確立。さらに、生産ラインのサイクルタイムに合わせて1台あたり約50秒で仕上げられる効率も両立させています。
この結果、手作業でしか成し得なかった艶やかな深みを持つ塗装を、大量生産車でも実現できるようになったのです。匠の技を量産化するというマツダの想いが形になった工程と言えるでしょう。
匠塗による塗装プロセスでは、通常のメタリック塗装よりも薄い反射層と特殊な研磨技術が鍵となります。先述のようにソウルレッドではアルミフレークを水平に揃えた極薄の反射層を用いますが、この薄膜は下地の影響を受けやすく繊細です。そこで塗装後に表面を平滑に仕上げる研磨(研ぎ)工程にも革新が加えられました。従来の一方向の研磨方法では磨き跡が残ってしまうため、研磨紙の選定から手順まで抜本的に見直し、新たな研磨法を確立。さらに、生産ラインのサイクルタイムに合わせて1台あたり約50秒で仕上げられる効率も両立させています。
この結果、手作業でしか成し得なかった艶やかな深みを持つ塗装を、大量生産車でも実現できるようになったのです。匠の技を量産化するというマツダの想いが形になった工程と言えるでしょう。
ゼロから理想の色を創り出す執念
もちろん、この技術革新は一朝一夕に成し遂げられたものではありません。塗料メーカーや技術研究所、ボディ設計陣まで巻き込んだ社内横断チームが結成され、発色を左右する塗料の粒子レベルで改良を重ねました。アルミ粒子の向きを揃えてメタリックの光沢を際立たせる、温度や湿度に左右されにくい塗料を新開発する、といった地道な工夫を積み上げ、さらに13層分の立体感を出すため下地に金属に近いシルバーを塗ってから赤を重ねるという発想にたどり着きます。
加えて、赤と一口に言っても配合次第で無数の色調があり、青みを加えれば上品で大人びた赤、オレンジを加えればスポーティな赤と印象が変わります。開発陣は気の遠くなるような試行錯誤の末、陰影感と透明感を兼ね備えた理想のソウルレッドを完成させました。このプロセスにはゼロからイチを生み出す創造の苦労があり、部門の垣根を超えた強い絆で挑んだからこそ実現できたといいます。
加えて、赤と一口に言っても配合次第で無数の色調があり、青みを加えれば上品で大人びた赤、オレンジを加えればスポーティな赤と印象が変わります。開発陣は気の遠くなるような試行錯誤の末、陰影感と透明感を兼ね備えた理想のソウルレッドを完成させました。このプロセスにはゼロからイチを生み出す創造の苦労があり、部門の垣根を超えた強い絆で挑んだからこそ実現できたといいます。
赤から広がる「匠塗」カラーの世界
こうした匠塗技術は赤だけでなく他のカラーにも展開されています。第二弾のマシーングレープレミアムメタリック(金属の精緻な質感を表現)や、第三弾のロジウムホワイトプレミアムメタリック(日本の雪のような純白の深みを表現)などがその代表です。
中でもマシーングレーでは反射層下に漆黒の顔料を組み合わせ、光の当たり方で金属的な艶と深い陰影を両立させる技術が盛り込まれており、これもソウルレッド開発で培われた光を操る塗装技術の応用と言えます。匠塗によって生み出された色彩の数々は、自動車塗装の常識を打ち破り、量産車で安定した品質と造形美を提供することに成功しました。わずかな追加料金でこの特別な塗装を手にできるようにしたマツダの功績は、自動車業界でも特筆すべきものと言えるでしょう。
中でもマシーングレーでは反射層下に漆黒の顔料を組み合わせ、光の当たり方で金属的な艶と深い陰影を両立させる技術が盛り込まれており、これもソウルレッド開発で培われた光を操る塗装技術の応用と言えます。匠塗によって生み出された色彩の数々は、自動車塗装の常識を打ち破り、量産車で安定した品質と造形美を提供することに成功しました。わずかな追加料金でこの特別な塗装を手にできるようにしたマツダの功績は、自動車業界でも特筆すべきものと言えるでしょう。
2025年最新マツダ車と赤い塗装の採用例
スタジオ撮影されたアクセラ(Mazda3)、アテンザ(Mazda6)、CX-5の3台。いずれもソウルレッドの深い艶がボディの曲線美を強調し、魂動デザインの立体感を際立たせている。
ブランドの象徴「ソウルレッド」の幅広い展開
2025年現在、マツダの主要車種ほぼすべてにソウルレッド・クリスタルメタリックがオプションカラーとして設定されています。コンパクトカーのMazda2(デミオ)から、ハッチバック/セダンのMazda3(アクセラ)、SUVのCX-3/CX-30/CX-5/CX-60/CX-8、さらにロードスターやMX-30に至るまで、鮮やかな赤のボディカラーを選ぶことができます。ソウルレッドは発売当初こそ生産効率や歩留まりの問題で供給数に限りがありましたが、技術の確立と需要の高さから現在では安定供給が可能となり、多くのユーザーがマツダの赤を楽しめるようになりました。特にCX-5やMazda3などではカタログや広告ビジュアルにも積極的に赤が用いられ、販売の主力グレードを彩る看板色となっています。
新たな高級感を宿す「アーティザンレッド」の登場
一方で、近年のマツダは新たな高級路線の一環として、さらに深みのある赤色 アーティザンレッド・プレミアムメタリック を採用し始めました。2023年に日本国内で限定発売されたMazda6 20周年記念車や、海外市場向け新型SUVのCX-90など、いわゆるラージ商品群と呼ばれる上位モデルでアーティザンレッドの展開が確認されています。例えば北米向け3列SUVのCX-90では、ソウルレッド・クリスタルに代わる新たなシグネチャーカラーとしてアーティザンレッドが設定され、成熟した大人の雰囲気を醸し出しています。
キャラクターで使い分ける2つのプレミアムレッド
これにより、スポーティかつ若々しい印象のソウルレッド・クリスタルと、重厚でエレガントなアーティザンレッドという、二つの赤のプレミアムカラーを使い分ける戦略が進んでいるようです。今後発売される新型車でも、車格やキャラクターに応じてこれらの赤が選択されていくことが予想されます。
色褪せない価値を持つブランドの遺伝子へ
もちろん現在もソウルレッド・クリスタルメタリックの人気は根強く、ロードスターやCX-5などマツダらしさを前面に出したいモデルでは不動の定番カラーです。2025年時点でマツダのディーラーに足を運べば、ショールームには赤く輝く車たちが並び、来場者の目を引き付けていることでしょう。新車だけでなく中古車市場でもソウルレッド塗装の個体は高い人気を保ち、色褪せない価値を提供しています。マツダの赤は今や一過性のトレンドではなく、ブランドの遺伝子として定着したと言えます。
他メーカーの赤との比較:何が違うのか?
自動車業界では各メーカーが特色あるボディカラー開発にしのぎを削っていますが、マツダほど赤という色にこだわりを持ち、ブランドイメージにまで高めた例は他にありません。例えばトヨタはエモーショナルレッドという多層塗装の鮮やかな赤色を開発し、プリウスやクラウンなどに採用しています。エモーショナルレッドはアルミを主成分とした反射層を用い、まるでボディが浮き出るような立体感を与える先進塗装技術から生まれた色です。
しかしトヨタの場合、カタログカラーとして豊富な色を揃える中の一つに過ぎず、マツダのようにブランドの象徴として赤一色を押し出しているわけではありません。
また日産やホンダもスポーツモデルで赤系統の色を伝統的に設定してきましたが(例:ホンダType Rのミラノレッドや、日産フェアレディZのバーニングレッド等)、これらは特定グレードやスポーツイメージ向けの位置付けです。マツダのように全車種横断で赤を基軸カラーに据え、デザイン哲学と結び付けて訴求しているケースは極めてユニークと言えるでしょう。
しかしトヨタの場合、カタログカラーとして豊富な色を揃える中の一つに過ぎず、マツダのようにブランドの象徴として赤一色を押し出しているわけではありません。
また日産やホンダもスポーツモデルで赤系統の色を伝統的に設定してきましたが(例:ホンダType Rのミラノレッドや、日産フェアレディZのバーニングレッド等)、これらは特定グレードやスポーツイメージ向けの位置付けです。マツダのように全車種横断で赤を基軸カラーに据え、デザイン哲学と結び付けて訴求しているケースは極めてユニークと言えるでしょう。
コンセプトカーの輝きを市販車へ:他社が越えられなかった量産の壁
さらに塗装技術の比較でも、マツダの匠塗が他社に先駆けた存在であることは明らかです。高彩度な染料や多層塗りを用いたコンセプトカーレベルの塗装を、市販車で量産化した例は業界でも稀であり、匠塗ソウルレッドが登場した当時は塗装技術で世界をリードする日本車メーカーとしてマツダが脚光を浴びました。他社も高輝度塗装や特別塗装色の設定は行っていますが、品質安定性やコスト面から量産に限りがあるのが実情です。マツダはそのハードルを乗り越え、誰もが手の届く市販車で職人芸とも言える美しい赤を提供した点で群を抜いています。言い換えれば、マツダの赤は他メーカーでは体験できない特別な所有感を与えてくれるカラーなのです。
赤にまつわる豆知識・裏話
名前の由来
英語名の Soul Red(魂の赤)からも分かるように、魂動(Soul of Motion)デザインの魂に通じるネーミングがされています。開発陣はこの色にマツダの魂=情熱を込めたと語っており、単なる色名以上の意味を持たせています。またアーティザンレッドは職人技に敬意を表した命名で、匠塗への矜持を感じさせます。
広島カープとの偶然の縁
マツダのお膝元である広島では、プロ野球チーム広島東洋カープのチームカラーも情熱的な赤で知られます。マツダは同球団の本拠地球場(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)の命名権を持つなど地元密着企業です。偶然ではありますが、街を走る赤いマツダ車と真っ赤なカープの応援グッズが共演する風景は、広島ならではの光景と言えるかもしれません。
色褪せ対策
一般的に赤い塗装は紫外線による色褪せが起きやすいと言われますが、ソウルレッドでは耐候性にも配慮されています。とはいえ美しい発色を長持ちさせるには日頃のケアも大切です。マツダ車オーナーの間では高品質なコーティング剤でボディを保護したり、屋根付き駐車で直射日光を避けるなどの工夫が推奨されています。また洗車の際にも柔らかいクロスを使い丁寧に扱うことで、あの艶やかな赤をいつまでも楽しめるでしょう。
受賞歴
マツダの赤い塗装はデザイン界からも高く評価されています。2016年にはマツダ ロードスターRFが、日本流行色協会(JAFCA)主催のオートカラーアウォード2016においてグランプリを受賞しました。選考理由は思わず足を止めて見とれるような存在感のある色であり、その車を象徴するカラーデザインであること。ソウルレッドがまさにロードスターRFのデザインと一体不可分の魅力を放っていた点が評価されたものです。このようにマツダの赤はユーザーのみならず専門家からも賞賛されるカラーとなっています。
まとめ:マツダの赤が映し出す情熱
マツダの赤が特別である理由を、ブランド哲学から技術まで紐解いてきました。単に目立つ派手な色というだけでなく、デザイン哲学 魂動 の魂を宿し、職人技の塗装 匠塗 で磨き抜かれた赤は、マツダというメーカーの情熱そのものと言えます。開発陣の熱意と苦労が結晶化したソウルレッドは、見る者の心を揺さぶり、オーナーには深い所有満足感を与えてくれるでしょう。他のメーカーにも魅力的なカラーは多々あれど、車そのものの価値や物語とここまで結び付いた色はマツダの赤をおいて他にありません。
2025年現在も進化を続けるマツダの赤。ソウルレッド・クリスタルメタリックはもちろん、新たなアーティザンレッドの展開によって、その世界はさらに豊かになっています。マツダ車を選ぶ際には、ぜひこの特別な赤いボディカラーにも注目してみてください。車好きの胸をときめかせる情熱の赤、一度味わえばその特別さに心を奪われることでしょう。
2025年現在も進化を続けるマツダの赤。ソウルレッド・クリスタルメタリックはもちろん、新たなアーティザンレッドの展開によって、その世界はさらに豊かになっています。マツダ車を選ぶ際には、ぜひこの特別な赤いボディカラーにも注目してみてください。車好きの胸をときめかせる情熱の赤、一度味わえばその特別さに心を奪われることでしょう。