エンジンルームからのキュルキュル音…その原因と対処法は?

無題

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快調だったはずの車のエンジンをかけると、「キュルキュルキュル」と異音がするようになる…故障かと慌てる人もいるかと思いますが、大抵はボンネットを開けて、音が鳴っているのを確認するだけで、どうにもなりません。ここでは音の原因と、対処法を紹介します。
Chapter
まずなにが鳴っているかを判別しましょう
ファンベルトとは
鳴く理由その1「ゴムの劣化」
鳴く理由その2「張力の不足」
鳴く理由その3「機械の不具合や故障」
点検して、鳴くようなベルトを見分けよう
考えられる対策

まずなにが鳴っているかを判別しましょう

まず最初に考えのは、「いつ鳴っているか?」です。エンジンがかかっていてクルマが停止している状態であれば、タイヤなど走行中にしか動かない部分はまず関係ありません。そのうえで「キュルキュル」とこすれているような音であれば、どこかのゴムベルトです。

車のエンジン内部にあり、クランクの回転によってカムシャフトを駆動させるタイミングベルトというゴムベルトがありますが(※金属製のタイミングチェーンを使ったエンジンも多いです)、タイミングベルトはその構造上、滑ってしまうような設計は嫌います。

もしタイミングベルトからの場合には、別な異常音がして場合によってはエンジンが正常に動きません。エンジンが正常に動いているようであれば、キュルキュル音の正体は「ファンベルト」かもしれません。

ファンベルトとは

エンジンフード(大抵はフロントのボンネットですが、車によりけり)を開けた時に、目に見えるところで高速回転しているのベルトがあります。その中で、基本的にはエンジンを冷やすラジエターのファンを回すため、エンジンからの力を伝えるベルトを「ファンベルト」と言います。

他にはオルタネーター(発電機)やパワステ、エアコンなどを駆動するためのベルトもありますが、エンジンによって1本ですべてを賄ったり、あるいは複数のベルトで別々に駆動することもあり、それぞれ「パワーステアリングベルト」「オルタネータベルト」「エアコンベルト」などとも呼ばれます。

それらすべての駆動を1本で共用するものは「ファンベルト」と総称することがあります。

共通しているのは、プーリーと呼ばれる輪っかにテンション(張り)をかけてひっかけているだけなので、どれも滑る時は滑るということです。キュルキュルと鳴く理由としては、おもに3つあります。

鳴く理由その1「ゴムの劣化」

ひとつはゴムの経年劣化です。使い続けたベルトはプーリーとの摩擦で摩耗する他、摩擦熱やエンジンからの熱を受けてゴムが硬化していきます。

また、それほど酷使していないエンジンでも、時間とともにゴムが劣化することは避けられません。新品の時は十分に弾力性があるのでプーリーとの摩擦も保たれて滑らないのですが、硬くなれば摩擦力が低下して滑りやすくなります。それによって「キュルキュル」という連続した滑り音が起きるのです。

これが進行すると最後にはベルトが切れることもありえるので、ベルトそのものが寿命ですから、新品に交換するのが一番になります。

鳴く理由その2「張力の不足」

もうひとつはプーリーにかけられたベルトが緩み、張力が落ちるので滑りやすくなっている状態で、その原因としてはゴムが伸びたり摩耗したことでの劣化、あるいは十分にベルトの張りを持たせていないかのどちらかです。

前者はベルトの寿命が近くなっているということですが、新品のベルトでも十分に張りを持たせなければ、滑ります。どちらでもテンショナーという張りを調整する装置で張力を戻せますが、新品では無い場合は早く交換した方がいいでしょう

鳴く理由その3「機械の不具合や故障」

最後の理由は、ベルトでは無く、繋がった補機類の不具合です。プーリーやテンショナーが錆びてしまうと、それと接触したベルトとの間で鳴きが発生します。

また、ベルトで駆動されるはずのポンプやコンプレッサーが壊れてロックしてしまうと、そこに繋がれたプーリーも正常に回転できません。そうなるとベルトとの摩擦が極端に増えて、場合によっては悲鳴のような鳴きが発生します。

この状態ではゴムが焼けるような臭いがしてくることもあり、故障した補機類はもちろん、そのような過酷な状態に置かれたベルトも交換しておいたほうが無難です。

点検して、鳴くようなベルトを見分けよう

鳴くようなベルトで、最初に疑うべきは「張り」です。エンジンを止めた状態でベルトを押せば、正常なベルトは弾力がありますが、硬化したベルトでは弾力が感じられなかったり、伸びたベルトでは押すと張りが足りなかったりします。

ただ、これについては正常な時の感触を覚えておかないといけないので、ときどきエンジンルームを点検する際に、ベルトを押してどのような感触か覚えておくと良いでしょう。

また、見た目もすぐにわかります。極端な場合は、裂けが始まっていたり、ヒビが入ってるのがわかります。見えにくい時は、懐中電灯などで照らしてあげてください。チューニングカーなどでは、追加装備したパーツ等が干渉することでベルトが損傷することもあります。

この点検の際は、絶対にエンジンが止まっていること。間違ってもリモコンなどでエンジンが始動しないよう注意しましょう。

考えられる対策

ベルトの状態を見分けたうえで異常が無く、補機類も正常に作動しているようであれば、鳴き止め剤を使ってみましょう。粉末やシリコングリスなどで、自動車用品店や自動車関連の大きなコーナーがあるホームセンターでも販売しています。

ベルトの硬化や破損がひどくない状態にも使用できますが、鳴きが止まると安心して放置してしまう可能性がありますので、大事な用件がある場合の応急措置と考えて、できればすぐにベルトを交換してください。

ベルトの張りが足りない場合、技術的知識があれば自分で調整することもできますが、それができる人はこの記事を読む必要も無い人です。皆さんは、ディーラー等に相談して整備を受けてください。

なお、ベルトの交換時期は使用状況や、保管環境にも左右されますが、短くて3万km、長くて7万km程度です

車検整備で点検を受ける場所なので、寿命が近そうなら早めに交換されるものですが、車検の間に数万km走るような用途ですとか、あるいは中古車などで前回の点検・走行状況が定かで無いものに関しては、とにかく鳴いたらすぐ点検しましょう。


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