なぜバスやトラックにはMT車が多いのか?

バスやトラックにMT車が多い理由

トラック

普段、私たちが使っている乗用車とバス&トラックなどの大型車では、異なる点がいくつかあります。そのひとつがトランスミッション型式です。

その理由に、バス・トラックは「積載の増減による重量差」「総重量」「廃車まで走る距離」などがあり、いまだにMT車が主流なのです。

まず「積載の増減による重量」は、バスであれば乗客、トラックであれば積み荷によって影響を受けます。これは、バス&トラック会社がコントロールできるものではなく、ときには数百キロ〜数トンの重量差が生まれ、走り方も変わってきます。

そんな状態でバスやトラックのATが、乗用車と同じ様にシフトチェンジプログラムを一定のエンジン回転数や速度などで組まれていると、加速が鈍ったり、トルクコンバーターが滑ってしまい、かえって運転しづらくなってしまうのです。

次に「総重量の大きさ」です。これはブレーキに対して大きな負荷となります。バスやトラックには排気ブレーキという、補助的なブレーキ機能が備わっています。これにエンジンブレーキを併用します。その際、ATやセミオートマは、エンジンブレーキの効きが弱く敬遠される理由になっています。

最後は、「総走行距離」ですが、ATは構造が複雑なため、万がいち壊れてしまうと、トランスミッションをまるごと交換することになります。そうなると費用がかさみ、ランニングコストが高く付いてしまいます。

対するMTは、ATほど構造が複雑ではないので、なかの部品交換で済むケースがほとんどです。したがって、ATよりも修理費は安くなり、総ランニングコストが下がります。車両本体価格もMT車のほうが安く済みますし、事業としてコストの面では、安く手に入り、安く直せて、燃費も良いとメリットが多いのです。

ATがないわけではない

MT車が多いバス&トラックの世界ですが、AT車がないわけではありません。最近では物流業界も交通業界も人手不足が深刻で、一人でも多くのドライバーを見つけるため、AT車を導入する事業所も増えてきています。

バスのAT化を昔からやっているのはアメリカです。ハワイなど海外旅行に行くと、空港からホテル最寄りのターミナルまでのバスや、ツアーで目的地へ連れて行ってくれるバスは、軒並みオートマです。

ただし、日本のバスの動きに慣れていると、ハワイのバスは、どうしてこんなに遅くてモッサリと動くのかと感じてしまいます。変速ショックが少なく、乗り心地はいいのですが、どうにも動きが遅いのです。日本のバス運転手がマニュアルを駆使し、いかに効率的に動力を伝えて、機敏に動いているのかということがわかります。


現在はAT化も進んでいますが、やはりバス&トラックはマニュアルミッションのほうが理にかなっているのでしょう。自分自身で大型車を運転しても、オートマは楽ですが不自由に感じることが多くあります。

大きな車体だからこそ、意のままに動かすためには機械の制御ではなく、ドライバー自身での選択が必要になります。MT車は時代遅れではなく、まだまだ機械任せにはできない、人間の技術と感性が生きる場所なのだと思います。

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文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。

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