ボルボ トラックの歴史と世界シェア

ボルボ

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ボルボ・トラック(Volvo Trucks)は、スウェーデンに本拠を置くボルボ・グループ傘下の世界的な大型トラックブランドです。中型から大型まで幅広いラインナップを揃え、世界13ヵ国に生産拠点を持ち、130カ国以上に2,300を超えるディーラーおよびサービス拠点からなる広範な販売・サービスネットワークを展開しています。

2020年には全世界で約94,000台のトラックを納車しました。ボルボ・トラックは、トラック・バス・建設機械などを手がけるボルボ・グループの中核をなす一員として、「品質・安全・環境への配慮」を企業のコア・バリュー(中核的価値)とし、それらを反映した製品開発を行っています。

近年では、気候変動への対応としてバッテリー式電動トラックや再生可能燃料で走行するトラックの開発・販売を強力に推進しており、欧州の大型トラック市場では常にトップクラスのシェアを誇っています。特に大型電動トラックの分野では欧州市場をリードするなど、世界的な影響力を高め続けています。

CARPRIME編集部

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Chapter
日本でのボルボ トラック販売網とサービス体制
ボルボ トラック主要モデルと用途別おすすめ
ボルボ FH(長距離フラッグシップ)
ボルボ FM(汎用中・大型モデル)
ボルボ FMX(オフロード・建設現場用)
ボルボ トラックの燃費・安全・快適性と最新技術
燃費・環境性能を高める「I-Save」パッケージ
世界最高レベルを追求する安全機能
ドライバーの快適性を徹底追求したキャブ設計
生産性を支える先進技術
ボルボ トラック購入ガイド:新車・中古車価格とディーラー
新車購入時のポイント
中古車選びのポイント
全国ディーラーのアフターサービス
ボルボ トラック導入事例とユーザー評価
ボルボ トラックよくある疑問と解決策
大型免許・けん引免許の要件
維持費を抑えるコツ
ディーゼルエンジンと電動化への取り組み
まとめ

日本でのボルボ トラック販売網とサービス体制

日本市場では、ボルボ・グループ・ジャパン株式会社がボルボ・トラックの輸入元となり、国内の販売・サービス戦略を統括しています。
そして、いすゞグループ傘下であるUDトラックス株式会社と販売・アフターサービス面で戦略的提携を結んでおり、全国のボルボ・トラック正規ディーラーと、協力関係にあるUDトラックスのサービス拠点を合わせることで、全国約180拠点のサービスネットワークを構築しています。 2025年モデルとして導入される新型のボルボFHトラクターなども、これらの全国の販売網を通じて順次取り扱われています。

また、ボルボ・トラックは、提携ディーラーを通じた質の高い点検・整備サービスや、延長保証プログラムなど各種サポート体制を整備し、顧客である運送事業者の車両稼働率向上に努めています。

近年は、政府の脱炭素化方針にも呼応し、バッテリー式電動トラック(大型EVトラック)の国内導入を本格化させており、UDトラックスとの協力のもと、充電インフラの整備やアフターサービスの体制構築にも積極的に取り組んでいます。

ボルボ トラック主要モデルと用途別おすすめ

ボルボ FH(長距離フラッグシップ)

長距離・幹線輸送向けのフラッグシップモデルです。パワフルかつ効率的なエンジンを搭載し、大量輸送に強みがある一方、運転時の快適性や安全性にも最大限配慮した設計がなされています。

特に、ハイルーフ仕様の「グローブトロッター」キャブを選択すれば、身長180cm程度の人でも車内で立ち上がることができるほどの広い居住空間を確保できます。電子制御オートマチックトランスミッション「I-シフト」や、優れた空力デザインにより、燃費性能も重視されています。

ボルボ FM(汎用中・大型モデル)

多目的型の中・大型トラックで、中・長距離の地域間輸送から、建設業務、都市部の集配送まで、非常に幅広い用途に対応可能です。エンジンは日本仕様でも400〜500馬力帯を中心に多様なラインナップがあり、キャブ内はFHシリーズに準じた快適性と安全性を確保しています。

先進の安全装備や運転支援機能も充実しており、都市部の配送から高速道路での長距離運用まで、柔軟に活用できる汎用性の高さが特徴です。

ボルボ FMX(オフロード・建設現場用)

建設現場や鉱山など、過酷なオフロード環境での使用を前提としたヘビーデューティモデルです。6×4(3軸2輪駆動)および8×4(4軸4輪駆動)などの堅牢なリジッドシャシに、最大で38トンもの荷重に耐えるリヤアクスル(ボギー)を組み合わせることも可能で、キャビンやフロントセクションには頑丈なスチール製バンパーなどの専用部品を装備しています。

悪路でも優れたトラクション性能を発揮し、大型重機や土砂、建材などの積載・運搬に適しています。耐久性を極限まで高めつつ、最新の安全機能も搭載しており、工場構内や建設現場といったタフな環境下での輸送に威力を発揮します。

ボルボ トラックの燃費・安全・快適性と最新技術

燃費・環境性能を高める「I-Save」パッケージ

ボルボ・トラックは、エンジン制御、電子制御オートマチックトランスミッション「I-シフト」、そして車体の空力性能などを統合的に最適化し、燃費効率を常に追求しています。

特に、高速道路での長距離輸送向けに用意された「I-Save」パッケージを搭載したFHモデルでは、低回転域での高トルクを実現するターボコンパウンドエンジンなどを採用し、燃料消費量を大幅に抑制。特定の条件下で従来モデル比で燃費を大きく改善することが可能です。これにより、CO2排出量の削減に貢献しつつ、運送事業者の収益性向上もサポートしています。

さらに、グローバル市場においては、ディーゼルの代替燃料として、HVO(水素化植物油)などのバイオ燃料や、LNG(液化天然ガス)/LBG(液化バイオガス)に対応したトラックも展開しています。

世界最高レベルを追求する安全機能

ボルボ・トラックは、創業以来「安全」をコア・バリューの一つに掲げ、世界最高水準の安全性能を誇ります。全車にスウェーデンの衝突安全基準をクリアする高剛性キャブを採用し、万一の事故の際に乗員を保護する優れた衝突エネルギー吸収構造を備えています。

先進運転支援システム(ADAS)としては、衝突被害軽減ブレーキ(歩行者・サイクリスト検知機能付き)や、車線逸脱警報などが標準装備されています。

さらに、「ボルボ・ダイナミック・ステアリング(VDS)」に「レーン・キーピング・アシスト」機能などを組み合わせることで、車線内での車両位置の維持を積極的に支援します。

これらとアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)との連携により、特に高速道路走行時におけるドライバーの運転負荷を大幅に軽減し、事故リスクの低減を図っています。

ドライバーの快適性を徹底追求したキャブ設計

長時間の運転を快適に過ごすための、人間工学に基づいたキャブ内空間の設計が特長です。断熱・防音性能を強化した新型キャブでは、冷暖房効率や遮音性が向上し、静かで快適な車内環境を実現しています。「I-シフト」のシフトセレクターをはじめとする操作系も、ドライバーが直感的かつ容易に操作できるよう最適に配置され、日常的な動作の負担を減少させています。

また、長距離輸送向けの「グローブトロッター」などハイルーフ仕様のキャブでは、室内高を大きく確保し、ドライバーが車内で立ち上がって着替えることができるほどの広さを持たせています。

これらにより、運転者は疲労を軽減しながら、安全かつ効率的に業務を遂行できる環境が整えられています。

生産性を支える先進技術

ボルボ独自の高性能な電子制御オートマチックトランスミッション「I-シフト」や、革新的なステアリング技術「ボルボ・ダイナミック・ステアリング(VDS)」、そして車載テレマティクスによる運行管理システム「ボルボ・コネクト」など、生産性向上に寄与する最先端技術を多数採用しています。

これらの技術は、ドライバーの運転負荷を軽減し、安全性を高めると同時に、燃料効率の改善や車両の稼働状況の可視化を可能にし、運送事業全体の業務効率化にも貢献しています。

ボルボ トラック購入ガイド:新車・中古車価格とディーラー

新車購入時のポイント

ボルボ・トラックは、全国のボルボ・トラック正規ディーラーおよび、協力関係にあるUDトラックスの販売拠点を通じて取り扱われています。購入時には、車両の主な用途(長距離輸送、建設、地域内配送など)に応じて、車型(トラクタヘッド、単車(カーゴ)など)やキャブの仕様、エンジン出力、各種装備を詳細に選択することが可能です。

価格帯は、その先進性や高い装備内容を反映し、国産の同クラスの大型トラックと比較して、車両本体価格は高めに設定される傾向にあります。
例えば、主力モデルのFHトラクターは、仕様にもよりますが2,000万円を超える価格帯となります。

しかし、ボルボ・トラックは優れた燃費性能や安全装備、そして高い耐久性などを含めたライフサイクル全体での総所有コスト(TCO)の観点から、その競争力を訴求しています。

中古車選びのポイント

ボルボ・トラックは中古車市場にも流通しており、トラック専門店やオンラインの中古車情報サイトなどで探すことができます。年式、走行距離、エンジンやキャブの仕様、メンテナンス状態によって価格は大きく変動するため、購入時には車両の状態を十分に確認することが重要です。

正規ディーラー系の販売店や実績のある中古車販売店では、メンテナンス履歴が明確で、一定の品質が保証された車両も扱われている場合があります。中古車は新車よりも割安に購入できますが、将来的な部品交換やメンテナンスにかかる費用も考慮して、総合的に判断する必要があります。

全国ディーラーのアフターサービス

全国の正規ディーラーおよび提携サービス拠点では、延長保証プログラムや、定期点検と予防整備をパッケージ化したメンテナンス契約(ゴールド契約など)が提供されています。

また、ボルボ・トラック専用の高度な診断ツールと、専門知識を持つ整備スタッフによる質の高い点検・修理体制が整っており、車両の故障リスクを低減し、高い稼働率を維持することができます。輸入車であるため部品調達に時間がかかるという懸念を持つ方もいますが、近年は国内に大規模なパーツセンターが設置されるなど、部品供給体制も強化されています。

また、24時間365日対応の緊急ロードサポートサービス(ボルボ・アクション・サービス)も用意されており、万が一の際のサポート体制も充実しています。

ボルボ トラック導入事例とユーザー評価

ボルボ・トラックを採用した企業の声では、基本性能への高い評価が多く聞かれます。北海道の物流企業では、ボルボ社の「品質・安全性・環境への配慮」という理念に共感して導入を決定し、ドライバーからは「運転時の快適さ」が特に好評との報告があります。

この事例でも示されるように、北欧の厳しい環境で鍛えられた車両の堅牢性と、ドライバーを第一に考えた設計思想が、国内の運送事業者からも高く信頼されていることが伺えます。

また、優れた燃費性能によるCO2排出量の削減効果や、トータルでの運行コストの最適化に貢献する点も評価され、導入企業では経済性と環境性能の両立を実現したケースが増えています。

ボルボ トラックよくある疑問と解決策

大型免許・けん引免許の要件

ボルボ FH、FM、FMXといった大型車両の運転には、車両総重量に応じた大型自動車免許が必要です。

また、トラクタヘッドでトレーラー(被牽引車)を連結して運転する場合には、さらに牽引免許(けん引第一種免許)が別途求められます。一般的な中型免許や準中型免許、普通免許では運転できませんのでご注意ください。

維持費を抑えるコツ

 基本的な維持費の項目は、燃料費(主に軽油)、車検・法定点検費用、自動車税(種別割)や自動車重量税、自賠責保険および任意保険の保険料などです。

大型トラックはエンジン排気量が大きく、車両重量も重いため燃料消費量は多くなりますが、ボルボ独自の電子制御オートマチックトランスミッション「I-シフト」による効率的なギアシフトや、定期的なメンテナンスを適切に行うことで、燃料費や突発的な修理費を抑えることが可能です。

部品は輸入品のため国産車と比較して高価になる場合がありますが、正規ディーラーでの計画的なメンテナンスを行うことで、車両の寿命を延ばし、故障のリスクを低減させることができます。

ディーゼルエンジンと電動化への取り組み

現在、日本で販売されているボルボ・トラックの主な燃料はディーゼル(軽油)ですが、ボルボはグローバルでカーボンニュートラルに向けた多様な技術開発に積極的に取り組んでいます。

特に日本市場においては、大型のバッテリー式電動トラック(FH エレクトリック、FM エレクトリックなど)の導入を本格化させており、持続可能な輸送ソリューションの提供に力を入れています。これにより、走行中のCO₂排出量をゼロにすることが可能です。

また、グローバルではHVO(水素化植物油)などのバイオ再生可能燃料への対応や、将来的には水素燃料電池トラックの開発も進めており、環境負荷の低減に向けた燃料選択肢の拡大を目指しています。

まとめ

ボルボ・トラックは、その卓越した品質、安全性、そしてドライバーの快適性を追求した高性能なトラックとして、特に長距離輸送や建設現場といったタフな環境で高い評価を得ています。

導入企業は、優れた環境性能や安全性を評価してボルボ車を選ぶ傾向にあり、運転の快適さや疲労の少なさはプロのドライバーから強く支持されています。 日本国内では、いすゞグループ傘下であるUDトラックスと販売・サービス面で連携し、全国的なネットワークでユーザーをサポートしています。

新車・中古車ともに、その特性を理解し、適切な検討と計画的なメンテナンスを行うことで、運送事業の効率向上と持続可能性に大きく貢献する、価値ある選択肢となるでしょう。

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