小さくても世界一?驚異の潜在能力を持つジムニーの秘密

スズキ ジムニーXC

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世界でもっともコンパクトなヘビーデューティ4WD 「ジムニー」。1970年に初代が発売されて以来、世界中のユーザーに愛されてきました。その秘密は一体何なのかを探ってみました。
Chapter
軽自動車サイズのスーパー4WD
パートタイム4WDのメリットとは?
世界一の走破性と言われるジムニー

軽自動車サイズのスーパー4WD

2014年に関東甲信越地方に、未曾有の大雪が降りました。各地で道路が寸断され、路上で多くのクルマが立ち往生する映像がニュースで流されたことは、まだ記憶に新しいところです。

その大雪の映像の中で、ひとつのショッキングな映像がネットなどで話題になったのです。それは小さな軽自動車が、大きなトラックを牽引しているというものでした。その小さな軽自動車というのが、スズキ ジムニーです。

なぜ、ジムニーは自分の何倍もあるような大型トラックを牽引できたのでしょうか。それは、その構造とメカニズムにあります。

現代の乗用車の多くは、モノコックボディという構造を採用しています。これは簡単に言えば、鋼板をティッシュボックスのように折り畳んで強度を保持するという作りです。昨今はSUVでも、このモノコックボディを採用しているモデルがほとんどです。

一方、ジムニーはJeepに代表する昔ながらのラダーフレーム構造を採用しています。頑丈な鉄のハシゴ型フレームに、サスペンションやアッパーボディが付いているという作りです。これは路面からの激しい衝撃を吸収する上に、上からの荷重、つまり多くの貨客を載せてもボディが耐えられるように考えられたものです。

つまりジムニーは小さくても、非常に頑丈な「健康優良児」なのです。この頑丈さゆえに、大きなトラックを牽くことができたわけです。ですが、牽けた理由は頑丈さだけではありません。昨今では珍しくなったメカニズムも、要因となっていました。

パートタイム4WDのメリットとは?

最近のSUVの4WDシステムは、そのほとんどが「フルタイム4WD」というタイプです。常に4WD、もしくは普段は2WDでタイヤが空転した時などだけ、四輪に駆動トルクが配分されるというものです。この方が、舗装路などの摩擦係数が高い道路を走りやすいからです。

ジムニーといえば、Jeepやランドクルーザーなどと同様の「パートタイム4WD」というタイプのシステムを使っています。これはトランスミッションの他に、トランスファーという副変速機を備えています。泥濘地や岩場、深雪などでは強力な駆動力を必要とします。ところが積んでいるエンジンの出力は変わりません。そこで、トランスファーの出番。

トランスファーは2WD↔4WDの切り替えをする役割に加えて、通常のギア比をさらに低くする「4WDロー」というギアを持っているのです。これによりエンジンのパワーを増幅して使うことができ、まるで出力が大幅にアップしたように走ることができるのです。

例えば、急な登りの多い道では、パワーもトルクも限りある軽自動車では、力が足りず失速してしまうことがあります。その時に4WDローにすると、見違えるように力強く走るようになります。この力を使って、大きなものを牽引することも可能です。これがジムニーが大型トラックを牽いていたもう一つの理由なのです。

世界一の走破性と言われるジムニー

日本だけでなく、アメリカ、東南アジア、ヨーロッパなど世界の国で愛されているジムニー。現行型のジムニー(JB23型)とジムニー・シエラ(JB43型)は、ハードトップのショートボディのみですが、海外向けにはオープンボディやロングボディも用意されています。

ジムニーは世界でも「最強」の呼び声が高いクルマですが、その理由はボディサイズ。日本独自の軽自動車規格から生まれた設計思想は、他のメーカーが真似しようがありません。似たようなクロスオーバー車は造れても、これだけ堅牢で力強いクルマはコストの点からも製造が難しいというのが実情です。

では、ボディサイズがコンパクトだと何が最強なのでしょうか? 日本でもちょっと山の中の中に入ると、信じられないような狭くて荒れた林道があります。このような狭いオフロードでは、大きな4WD車では取り回しがしづらく、場合によっては転回さえできないことがほとんどです。

ところが、軽自動車のジムニーは狭い道をラクラク走り、少しのスペースがあれば転回することが可能なのです。こうした状況は世界中にあり、とくに東南アジアのジャングルなどではジムニーでさえ行けない場所もあるのです。

ボディが小さいということは、車両重量が軽いということです。この軽さも、オフロードでは重要な性能です。そもそもオフロードではタイヤと路面の摩擦、いわゆるトラクションがないと進むことができません。特にタイヤがズブズブと沈んでしまうような泥濘地や深雪などでは、なおさら摩擦係数が低く、なかなかトラクションを得ることが難しいのです。

こういう状況の場合、重いクルマではタイヤの接地圧の高さからタイヤのグリップ力がエンジンパワーに負けてしまい、空転してスタックという状況に陥ることが少なくなくありません。ところが軽いジムニーは接地圧が低く、無駄なくエンジンパワーを使って前進することが可能です。これがジムニーの優れた悪路走破性につながっている一つの秘密なのです。

中が狭い、うるさい、などとも言われているジムニーですが、実は世界中を股にかけて走り回れる唯一無比なクルマなのです。2018年夏には新型の登場も予定されているジムニー。次期モデルは、安全装備なども充実し、より魅力的になって登場すること必至です。

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