助手席を倒して走行すると違反?法律と安全性を解説【2025年最新版】

シート 運転 ポジション

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助手席倒して走行すると違反になるのか、安全面で問題はないのか? 長距離ドライブで助手席の人が疲れたとき、シートをリクライニングして休ませてあげたいと考えるドライバーは多いでしょう。しかし、助手席の背もたれを倒したまま走行する行為については、法律上の扱いや安全性に関して意外と知られていません。2025年時点での最新情報をもとに、助手席を倒して走行することの道路交通法上の位置づけや事故リスク、警察の見解などを詳しく解説します。安心・安全なドライブのために正しい知識を身につけましょう。

CARPRIME編集部

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Chapter
走行中、座席を倒すのは違反なのか?
シートベルト着用義務と罰則:法律ではどう定められている?
シートを倒して乗る危険性:事故時のリスクは?
運転者の誤解と注意ポイント
「シートベルトをしていれば寝ていても安全」は誤解
「同乗者がシートベルトしないのは自己責任」は誤解
走行中、運転席・助手席の座席背もたれはどこまで倒すと違反になるのか?
助手席
運転席
実務上の“目安”と推奨
こうなったら即NG(停車して姿勢を直す)
豆知識:車中泊や仮眠は「停車中・正しい姿勢」で
まとめ

走行中、座席を倒すのは違反なのか?

走行中に助手席をフルリクライニングに近い状態まで倒すことは、一見快適そうですが、法的に問題はないのでしょうか。

結論から言うと、「背もたれの角度◯度以上は違法」という数値規定は法律にありません。

道路交通法の安全運転義務(第70条)でも助手席乗員の姿勢については触れられていません。しかし、違反かどうかは角度そのものではなく、
①シートベルトが“正しく機能する姿勢”で着用できているか
②運転者が安全運転義務(確実な操作・視界確保)を満たしているか
という状態で判断されます。

また、シートベルトの着用義務には注意が必要です。助手席の人がシートを大きく倒した状態では、シートベルトが正しく機能せず事実上「シートベルト未装着」と同じ状態になってしまいます。道路交通法第71条の3第2項により、運転者は同乗者にもシートベルトを着用させる義務があります。

もし助手席でシートベルトがちゃんと締められておらず身体から浮いていれば、着用していないのと同じと見なされ違反を指摘される可能性があります。つまり法律的にはグレーに見えても、実質は座席ベルト装着義務違反になり得る行為だと認識すべきでしょう。

なお、助手席に人が乗っておらず荷物を積む目的でシートを倒す場合は、シートベルト義務の問題が生じないため基本的に違反にはなりません(視界を極端に遮らない限り問題ないでしょう)。

シートベルト着用義務と罰則:法律ではどう定められている?

道路交通法の規定に違反した場合、違反すれば運転者に違反点数1点(反則金なし)が科されます。助手席(前席)の同乗者がベルト未装着で走行しているときは、一般道路・高速道路を問わず運転者に責任が及ぶ点に注意が必要です。

実際の取り締まり例として、SNS上には「後部座席をフルフラットにして子どもを寝かせていたらシートベルト違反で検挙された」という報告もあります。

助手席であっても同様に、警察官の判断次第では「正しく装着していない=未装着」とみなされ違反切符を切られる可能性があります。たとえ取り締まりを受けなくても、「処罰されていないだけで法律上は違反行為である」ことを念頭に置いておきましょう。

シートを倒して乗る危険性:事故時のリスクは?

助手席を倒して走行する行為には、法律面だけでなく重大な安全上のリスクがあります。

シートを大きく倒した状態ではシートベルトが本来の効果を発揮できず、衝突や急ブレーキ時に「サブマリン現象」と呼ばれる非常に危険な状態を引き起こす可能性があります。

サブマリン現象とは、事故時の衝撃などで身体がシート下に滑り込み、腰のシートベルトが腹部にずれて内臓を圧迫したり、肩ベルトが首にかかったりする現象です。

実際にJAFの実験でも、助手席のダミー人形でサブマリン現象が発生し、首にシートベルトが食い込む様子が確認されています。また、エアバッグなど他の安全装置も本来は正しい着座姿勢でシートベルトをしていることを前提に設計されています。体が通常の位置からずれているとそれらの効果も十分に発揮されず、重大なケガにつながる危険性があります。

このように不適切な姿勢でシートベルトを装着することは非常に危険で、事故の被害を大きくしてしまいかねません。警察庁の公式サイトでも「シートの背は倒さずに深く腰掛ける」「肩ベルトがたるまないようにする」といった正しいシートベルト着用方法を呼びかけています。安全のため、シートベルトは正しい姿勢で着用することを徹底しましょう。

運転者の誤解と注意ポイント

「シートベルトをしていれば寝ていても安全」は誤解

これは大きな誤解です。シートを倒した状態では、シートベルトをしていても正しく機能しません。シートベルトは正しい姿勢で締めてこそ意味があることを覚えておきましょう。

「同乗者がシートベルトしないのは自己責任」は誤解

道路交通法では、同乗者のベルト非着用に対する責任は運転手にあります。助手席の人がシートを倒して寝ていても、違反で処罰されるのは運転者です。同乗者の安全を守るため、運転者は適切に注意を促しましょう。

走行中、運転席・助手席の座席背もたれはどこまで倒すと違反になるのか?

結論から言えば、法令に「角度○度」という数値基準はありません。

違反の有無は角度そのものではなく、
(1)シートベルトが正しく機能する姿勢か
(2)運転者は安全に操作・視界確保ができているか
という状態で判断されます。

したがって、以下を満たせないリクライニングは実質的に違反とみなされ得ます。

助手席

骨盤に腰ベルト、肩に肩ベルトが密着し、たるみや首掛かりがないこと。シートを深く倒してベルトが浮く・首にかかる・腹部を圧迫する状態はNG。

運転席

安全運転義務(確実な操作と視界確保)が守られること。背もたれを倒しすぎて背中が浮く・肘が伸び切る・前方視界が不足するなら、安全運転義務違反に問われるリスクがあります。

実務上の“目安”と推奨

公的な数値は示されていませんが、運転姿勢の解説では背もたれ角度おおむね100〜110度が疲労や操作性の観点で推奨されることが多いです(あくまで安全・快適の目安であり、法的基準ではありません)。運転席は背中が背もたれに密着し、ハンドル上端を握っても肘が伸び切らない状態、前方視界が十分確保できる位置を基準に調整しましょう。

こうなったら即NG(停車して姿勢を直す)

  • 肩ベルトが首にかかる/たるんでいる、腰ベルトが腹部に乗っている
  • ブレーキ時に身体が前に滑る感覚がある(サブマリンの兆候)
  • 運転者の前方視界が不足、背中が浮く、操作が不安定
これらはいずれも違反・事故リスクが高い状態です。すぐに安全な場所へ停車し、姿勢と背もたれ角度を正してください。

豆知識:車中泊や仮眠は「停車中・正しい姿勢」で

ミニバンやSUVのフルフラット機能は、停車中に使うことを前提とした装備です。走行中の仮眠目的のリクライニングは安全装備が機能しないため厳禁。仮眠が必要なときはPA/SAや安全な場所に停車し、再発進時に姿勢とベルトを必ずリセットしましょう。

まとめ

以上を踏まえ、助手席を倒して走行する行為は安全の観点から厳禁であり、法律上も実質的に違反となり得ることが分かりました。ドライバーは同乗者に正しくシートベルトを着用させ、同乗者がシートを倒して寝てしまわないよう声を掛け合うことが大切です。疲労を感じた際は無理をせず安全な場所に停車して十分に休憩し、再出発時には全員がシートを起こしてシートベルトを締め直すよう徹底しましょう。
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