3点式と4点式シートベルトの違いとは?メリット・デメリット徹底解説【2025年最新】

シートベルト

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普段なにげなく使っているシートベルトですが、「3点式」「4点式」の違いをご存知でしょうか? 本稿では シートベルトの3点式と4点式の違いをテーマに、一般ユーザーや車好きに向けて用途・法規・安全性・快適性の観点から丁寧に解説します。構造上の違いはもちろん、公道で使えるかどうかのポイント、サーキット走行時の注意点、エアバッグや先進安全装備との関係まで、2025年の最新事情を踏まえてまとめました。読み終えたときには「自分の使い方に最適なのはどちらか」「どう使い分ければ安全か」がはっきりイメージできるはずです。

CARPRIME編集部

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Chapter
3点式と4点式シートベルトとは?違いと基本構造
公道車は基本3点式、競技車両はフルハーネスが基本
3点式のメリット:扱いやすさと総合安全性
3点式の注意点:誤装着と姿勢
4点式のメリット:ホールド性能と操作安定
4点式のデメリット:公道では原則不可、日常は不便
3点式 vs 4点式シートベルト比較まとめ【表】
豆知識・トリビア:シートベルトに関するあれこれ
世界初の3点式シートベルトと特許無償公開の話
日本でのシートベルト着用義務化の流れ
「シートベルト装着義務違反」とはどんな違反?
まとめ

3点式と4点式シートベルトとは?違いと基本構造

3点式シートベルトは、片側の肩と左右の腰、合計3か所で身体を固定する最も一般的なタイプです。多くの乗用車に標準装備され、肩から斜めにベルトを回して腰のバックルで留める仕組みになっています。

通常は自動巻き取り式で、ゆっくり引けば伸び、急に引くとロックするELR(緊急時固定装置)を搭載。これにより日常の操作性と衝突時の拘束力を両立しています。

対して4点式は、両肩と左右の腰、計4か所で体を強固に固定するハーネスタイプです。レースやラリーなど高負荷環境を想定しており、上半身の保持力が段違いに高いのが特徴。

さらに競技の世界では股下を通す5点式・6点式も一般的で、サブマリン現象(衝撃で体が前下方に滑ること)を抑え、腰ベルトのずり上がりや腹部圧迫を防ぐ狙いがあります。
3点式=日常の安全を幅広くカバーする汎用型
4点式=極限域での体のブレを許さない競技用の専用装備
という位置づけです。

公道車は基本3点式、競技車両はフルハーネスが基本

一般乗用車は法規・車両設計を前提に3点式が採用されています。前席はもちろん、現在の新型車では後席中央も含めて3点式が標準。

一方で競技車両は、急減速・横G・連続加減速が当たり前の環境。上半身がわずかでも動くと操作精度や視線の安定に直結するため、4点式以上のフルハーネスが事実上の必須装備です。横転や多方向衝撃時に身体をシートへ確実に留めるという目的でも、ハーネスの点数が効いてきます。

3点式のメリット:扱いやすさと総合安全性

3点式の最大の強みは、誰でも素早く正しく装着できること。バックルに差し込むだけで適切に締まり、緊急時はワンプッシュで解除できます。

肩ベルトはリール式で前傾や体ひねりに追従するため、ミラー確認や車庫入れ、スイッチ操作など日常の動きが阻害されません。さらに重要なのは、エアバッグやプリテンショナー、ロードリミッター等と車両側で最適化されている点です。

衝突時はベルトが先に体を保持→エアバッグが減衝→必要に応じてベルトがわずかに伸びて負荷を分散、といった“連携プレー”で実効安全性を高めます。総合すると、3点式は日常運転での利便性・快適性・安全性のバランスが最良です。

3点式の注意点:誤装着と姿勢

3点式は万能ですが、誤装着は大敵。肩ベルトを腋の下に通したり、ベルトがねじれたまま締めると、衝撃を正しく受け止められません。

背もたれを倒し過ぎたり、腰骨(腸骨稜)ではなく腹部にベルトがかかっている状態もNG。「肩・胸・骨盤にしっかり沿わせ、たるみを取る」、この基本を守るだけで効果は段違いです。

4点式のメリット:ホールド性能と操作安定

4点式はコーナリング・ブレーキング・縁石通過など高G下でも上半身を微動だにさせないため、ステアリングやペダル操作に無駄な筋力を割かずに済み、情報入力と車両コントロールが研ぎ澄まされます。

ドライバーがシートに“固定される”ことで視線と姿勢が安定し、長いスティントでも集中が途切れにくいのも利点。横転や多方向衝撃時にも乗員がシェルの中で暴れにくく、競技用途では安全・速さ・疲労低減の三拍子が揃うのがハーネスの魅力です。

4点式のデメリット:公道では原則不可、日常は不便

ここが誤解されがちなポイント。4点式のみでの公道走行は原則不可です。通常運行で上半身をある程度自由に動かせること、容易な着脱ができること――といった保安基準の要件に、固定力最優先の4点式は適合しません。

したがって、公道車にハーネスを導入する場合は純正3点式を残し、街乗りは3点式/走行会は4点式と使い分けるのが基本です。

さらに、4点式は装着に手間がかかり、乗降のたびに肩・腰ベルトを個別に扱う必要があるため、日常用途では煩雑かつ視界確認の自由度も下がる点を理解しておきましょう。エアバッグとの協調設計も想定外となりやすく、競技では代わりにHANS等で頸部を守る前提設計が一般的です。

3点式 vs 4点式シートベルト比較まとめ【表】

3点式と4点式シートベルトの特徴を一覧表にまとめます。メリット・デメリットを視覚的に整理しておきましょう。
比較3点式 4点式
使える場面公道◎(日常の標準) サーキット◎(競技用)
固定力十分(安全装備と連携)非常に強い(上半身を強固に固定)
着脱・使い勝手かんたん・素早い 手間がかかる・日常は不便
エアバッグとの協調前提設計想定外(HANS等と併用前提)
法的取扱い着用義務あり(全席)公道単体NG(3点式併用が条件)
最後に、4点式が常に3点式より安全というわけではないことにも触れておきます。確かに正しく装着された4点式はホールド性が高いですが、その恩恵を得るためにはしっかりとした取付けと適切な使用が前提です。

例えば座席のフロアやロールバーに固定するアイボルトの取り付け強度・位置が悪かったり、古いハーネスを使い続けて劣化していたりすると、肝心な時にベルトや金具が破損する事故も起こり得ます。

もし自己流で4点ハーネスを取り付けてレースに出場した場合、クラッシュ時に固定ボルトが抜け、身体が投げ出されて室内の硬質部分に顔面強打、という事故に発展することもあり得ます。

競技用ハーネスベルトには使用期限があり(FIA公認品は数年ごと交換が義務)、適切なメンテナンスが必要です。このように点数が多いからといって無条件に安全ではなく、使い方次第で凶器にもなり得る点は覚えておきましょう。

豆知識・トリビア:シートベルトに関するあれこれ

世界初の3点式シートベルトと特許無償公開の話

世界初の3点式シートベルトは1959年スウェーデンのボルボ社が開発・実用化しました。発明者ニルス・ボーリン氏が「誰でも簡単に使えて高い安全性を確保できる」画期的な構造を生み出し、ボルボは特許をあえて無償公開することで世界中にこの安全技術を普及させました。そのおかげで今日まで数百万もの命が救われたとも言われています。

日本でのシートベルト着用義務化の流れ

日本でのシートベルト着用義務化は段階的に進みました。

運転席・助手席への着用義務は1985年(高速道路・自動車専用道)、1986年(一般道)に施行されました。

後部座席については2008年から、一般道を含む全ての道路で着用が義務化されました。さらに2012年以降の新型車には後席中央も含めて3点式ベルト装備が義務付けられました。現在では全ての座席でシートベルト着用が法律で求められています。

「シートベルト装着義務違反」とはどんな違反?

道路交通法で定められた着用義務に違反した場合、ドライバーに違反点数が科されます。(運転席・助手席は一般道・高速道ともに1点。後部座席は高速道でのみ1点、一般道では口頭注意)。

同乗者がしていなくても運転者の責任となります。4点式のみ装着で3点式を使わない場合も、法律上は「ベルト未装着」と見なされ減点対象です。サーキットへ行く途中の公道では忘れずに3点式を締めましょう。

まとめ

3点式と4点式シートベルトの違い・用途・メリット・デメリットをまとめて紹介しました。3点式は日常のあらゆるシーンで使いやすく、安全性能も非常に高い万能選手です。一方、4点式はモータースポーツという限られた状況で真価を発揮するスペシャリストと言えます。それぞれの長所短所を理解し、適切な場で使うことで最大の効果が得られます。
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