「GT-R」は何の略?そのイニシャルに込められた日産の情熱と歴史

GT-R

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現在では車名となっている「GT-R」とは、そもそも何の略なのでしょうか。

歴史を紐解いてみると、GT-Rという言葉が生まれた背景には、当時の技術者たちがレースにかける情熱があったようです。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
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グランドツーリングのイニシャルに、あの車から「R」を取ったもの

グランドツーリングのイニシャルに、あの車から「R」を取ったもの

まず、GTとは英語でグランドツーリング“Grand Touring”、イタリア語なら“Gran Turismo”の頭文字を取ったもので、本来は車のジャンルやカテゴリを示すためのものだとされています。

その定義は、長距離の移動を快適にこなすことができる、快適性と操縦性を備えた車となります。

日本国内での「GT-R」という単語の出自を探ってみると、時は1964年にまでさかのぼります。
この年、第2回日本グランプリに出場するため、当時のプリンス自動車がプリンススカイラインの2代目モデルであるS50系を、より高性能にしたモデルを開発しました。

開発された新型はホイールベースを200mm引き延ばし、グロリアスーパー6に搭載されていた直列6気筒エンジンをスワップ、レースへの参加資格を獲得するために僅か100台が製造され、S54型スカイラインGTを名乗ります。

これが、日本で初めてGTと付けられたモデルが誕生した瞬間であり、強敵であったポルシェを1度抜いてトップに立つという偉業を成し遂げた伝説的な車といわれています。
▲北海道スピードウェイ オープニングレース(1970/07/05)でのR380 

その後、市販車をベースにしたモデルではなく純粋なレースモデルが望まれ、プリンス自動車は1965年にプロトタイプレーシングカー、R380を完成させます。


R380は第3回日本グランプリにて優勝を果たし、搭載されていた4バルブ6気筒のGR8型エンジンのノウハウを用いてS20型エンジンを開発しました。

このエンジンを搭載していたのが、1969年にデビューした3代目スカイラインGT-Rでした。
これは、いわゆるハコスカと呼ばれるモデルであり、明確にレースに力をいれた車であることを表現するため、S54型スカイラインGTのGTと、R380のR“Racing”を取ってGT-Rと名付けたと言われています。
そして、2007年にハイパフォーマンスカーとして日産GT-Rがデビューし、現在に至るまでGT-Rは高性能の証という伝統を受け継ぎ続けています。
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