ロシア車は「生きた化石」?! ロシアの自動車産業から見る技術力

ラーダ ニーヴァ

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ロシアにも、日本や他の国と同じくいくつもの自動車メーカーが存在しています。

ですが、その自動車市場は小さく、誰もが知っているような有名なモデルが存在しているわけでもありません。ロシアには自動車に関連する技術力がないのでしょうか?

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道
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ロシア最大の自動車メーカー、アフトワズ

ロシア最大の自動車メーカー、アフトワズ

ロシアの自動車市場は、世界的に見ても大きいとは言えません。2021年の新車販売台数を見てみると、アメリカでは1,493万台、中国で2,627万台、日本でも444万8340台売れている中、ロシアは166万6,780台しか売れていないのです。

現在ロシアには数多くの国外メーカーが参入していますが、純ロシアのメーカーとして筆頭にあるのがアフトワズです。

アフトワズは1966年に創業した自動車メーカーであり、2014年にはルノー・日産の傘下となりました。ロシアの自動車メーカーとしては最大の規模を誇り、2021年には35万714台を販売しています。この数字と2021年のロシア国内での新車販売台数を比較すると、アフトワズの大きさが分かるのではないでしょうか。

そんなアフトワズで、最も売れているのがラーダというブランドです。ラインナップの中で代表的なモデルとされているのがニーヴァです。

ニーヴァは全長3,640mm×全幅1,680mm×全高1,640mmという、コンパクトなサイズのSUVであり、モノコック構造を採用した箱型のボディが特徴です。このニーヴァが代表的なモデルとなっている理由の1つが、1977年にデビューして以来基本的なデザインは変えられずに作り続けられていることでしょう。

前述したルノー・日産の傘下にアフトワズが入ったことにより、室内の快適装備等は僅かに変化しているとされています。しかし、エンジンの基本設計などは変わっていないため、生きた化石と揶揄されることもあるようです。
ですが、ロシアには車を造る技術がないわけではありません。

2021年の3月には海外メーカーの自動車組み立てを受託するアフトトルのワレリー・ゴルブノフ会長が、電気自動車の生産や水素燃料電池車のエンジニアリングセンターを設立すると記者会見で発表しているのです。

また、過去には地場のスタートアップ企業であるゼッタがEVの生産を計画しているという報道がされたこともあります。ロシアだけでなく世界規模でEVの需要増加に後押しされた形と見られますが、車を生み出す技術力は確かにあるのです。

参入してきた海外メーカーに依存していると言われるロシアの自動車産業においては、ラーダのニーヴァのような個性的なモデルが造り続けられています。その品質についてはいささか低いと言わざるを得ないのが現状ですが、いつの日か世界中を驚かせるようなモデルが生み出されるかもしれません。
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