スバル WRX STIの最終モデルをプロが試乗。徹底評価します!

スバル WRX STI EJ20 Final Edition

※この記事には広告が含まれます

三菱 ランサーエボリューションとともに”カルトカー”と呼ばれ、世界的な人気モデルとなったスバル インプレッサWRXは、2014年のマイナーチェンジを機にインプレッサと決別し、WRXとなりました。その完成型と呼べるWRX STIに試乗。

かつてはじゃじゃ馬的な部分もあった世界的カルトカー、どのように進化しているのでしょうか。

文・写真/萩原 文博

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博
Chapter
スバル WRX STIの最終モデルを徹底試乗
このEJ20型エンジンは、文字通り最終形だ
隙きの無い熟成された最終モデル

スバル WRX STIの最終モデルを徹底試乗

スバルWRX STIは2019年12月に生産を終了しており、現在は中古車でしか手に入れることができないモデルとなっています。そんなWRX STIのなかから、今回試乗したのは限定555台EJ20 Final Edition FULL PACKAGE(車両本体価格485万1000円)です。

WRX STI EJ20 Final Edition FULL PACKAGEは、WRX STI タイプSをベースにエンジンは特別なバランスドエンジンが搭載されています。

その内容は、重量公差を50%低減したピストン&コンロッドに、回転バランス公差85%低減したクランクシャフト、さらにクラッチカバー&フライホイールにもバランス取りを施し、水平対向の美点である滑らかな回転を一段と磨き上げています。

くわえて、エクステリアにはSTIのコーポレイトカラーであるチェリーレッドをあしらったフロントグリル、サイドガーニッシュ、、大型リアスポイラー&リアバンパーを装備し、足まわりにはブレンボ製ブレーキ(シルバー塗装、STIロゴ入り)、BBS製19インチ鍛造アルミホイール&245/35R19タイヤをセットします。

いっぽうインテリアは、ウルトラスエード巻ステアリングホイール、艶消しカーボン調インパネ加飾パネル、シルバーのシートベルトを標準装備。

さらに”FULL PACKAGE”には、STIロゴがシートバックにあしらわれたレカロ製フロントシート(ウルトラスエード/本皮+シルバーステッチ+シルバーアクセント)と、スバルの先進安全装備であるアドバンスドセーフティパッケージも標準装備。このレカロシート(運転席&助手席)は、8ウェイパワーシート付きとなるほか、リアシートに、シルバーのステッチとアクセントが配されます。

このEJ20型エンジンは、文字通り最終形だ

早速、走り出してみるとEJ20 Final Editionは標準車とまったく別物であることに気付かされます。これまで多くのEJ20型2.0L水平対向4気筒ターボを積んだスバルモデルに試乗してきましたが、EJ20 Final Editionのエンジンは、STIが手がけたコンプリートカーに匹敵する優れたフィーリングが特徴です。

各部品の重量の誤差を通常以上に厳しい基準で揃えるバランス取りを行ったエンジンとクラッチは、発進からレッドゾーンまでスムーズに廻ります。そのスムーズさは雑味がなく、ドライバーのアクセル操作にも忠実にリンクする印象です。これほど滑らかに廻るEJ20型ターボエンジンを搭載したモデルは記憶にありません。

スムーズですし、とにかく回転フィールが軽い。しかも吹け上がりが軽いうえに、速度も上がって行くので、廻す楽しさを味わうことができます。さすが“EJ20型水平対向エンジン搭載車の集大成”と謳われているだけあります。

フィーリングが良化したエンジンに対して、シルバー塗装されたキャリパーを採用したbrembo製のブレーキシステムやBBS製の19インチ鍛造ホイールは、路面をしっかりと捉えて、高い制動力を発揮してくれます。エンジンのフィーリングアップと同時に制動力もアップさせているというアプローチは、ワークスブランドらしい部分ともいえるでしょう。

時代の流れとはいえ、これだけ運転する楽しさを味わえるクルマが生産終了となったのは本当に残念なところです。近年のEJ20型のなかでもずば抜けたエンジンフィールをいつでも味わえるオーナーは、とてもうらやましいというのが本音です。

隙きの無い熟成された最終モデル

スバル WRX STIの欠点は、メーカーがすでに生産を終了しており新車では手に入れることができないことに尽きるでしょう。

エンジンや乗り味などは熟成しきったところまで達しているので、改善部分は見当たりません。
発売とともに完売したWRX STI EJ20 Final Editionは、生産台数わずか555台の、いわば幻のモデルとなっています。一般的にこの手のモデルは、中古車となってもマニアのあいだでやりとりされることが多く、市場にはなかなか流れることがありません。

もしも中古市場で見つけたら、即買いをおすすめします。
【お得情報あり】CarMe & CARPRIMEのLINEに登録する

商品詳細