ローバーミニを試乗レビュー!全てがフロントに集約したFFの独特な乗り味とは?

ミニ 西川撮影

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特殊なサスペンション形状と10インチという小径タイヤから、独特なハンドリング感覚を持つと呼ばれるローバーミニ。

ゴーカート感覚とも言われることが多い乗り味を、実際に試乗してチェックしてみました。

西川 昇吾|にしかわ しょうご

1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。過去にはコミュニティFMのモータースポーツコーナーにてレギュラー出演経験あり。「書くこと、喋ることで自動車やモータースポーツの面白さを伝える」を目標とし、様々なジャンルのライティングや企画に挑戦中。

西川 昇吾
Chapter
ローバーミニを試乗レビュー①|今回試乗したミニは、エアコンレス・パワステレスの1台
ローバーミニを試乗レビュー②|意外にも、始動から発進まで気難しいポイントは無し
ローバーミニを試乗レビュー③|全てがフロントに集約したド直球のFFマシン
ローバーミニを試乗レビュー④|実用車らしいトルクフルなエンジン特性
ローバーミニを試乗レビュー⑤|ミッションを傷めないよう操作には細心の注意が必要

ローバーミニを試乗レビュー①|今回試乗したミニは、エアコンレス・パワステレスの1台

今回試乗したのは1996年式の個体。約40年のミニの歴史から考えるとかなり後半の方に登場した個体ではありますが、基本的な構造は変わりません。

90年代になるとミニにもエアコンやパワーステアリングなどが装備されるようになりますが、この個体には装備されていません。

また、オーナーの好みによってインジェクションからSUシングルキャブに変更されています。 

搭載されているエンジンは直列4気筒の1,271㏄で、ミニの歴代ラインアップから考えると排気量の大きなエンジンとなっています。

ローバーミニを試乗レビュー②|意外にも、始動から発進まで気難しいポイントは無し

キャブレター仕様ということで最初は身構えたものの、キーをひねれば特別な儀式など必要なくエンジンは始動します。

クラッチの癖もなく、発進がとても難しいということもありません。

アイドリングスタートもさして苦ではなく、トルク感を感じます。

これはエンジンのトルクが大きいというよりは、軽量な車体や小径のタイヤが影響しているのでしょう。軽量であることが与える数々のメリットをこの時点で感じました。

ローバーミニを試乗レビュー③|全てがフロントに集約したド直球のFFマシン

走り始めてしばらくすると、ミニがFFであることを改めて実感しました。

何よりもそれを感じさせるのはステアリングフィーリングです。僅かなステアリング操作にもダイレクトに反応するのはもちろんですが、ステアリングを操作すると全ての重量物がフロントに集約しているという印象を受けます。

車検証を見てみると前軸重が450kg、後軸重が270kgとなっていて、前後重量配分は62.5:37.5となっていてかなりフロントヘビーなことが分かります。また、そのフロントヘビーさから、10インチで165幅とタイヤサイズが小さいながらもパワステの付いていないステアリングはかなり重たく感じます。

メカニズムを考えれば当然のことなのですが、ここまで「THE FF」という印象を受けるクルマは他になかなかありません。フロントタイヤにすべての仕事が集約されているかのような独特でダイレクトな運転フィーリングを感じました。

ローバーミニを試乗レビュー④|実用車らしいトルクフルなエンジン特性

タコメーター上のレッドゾーンは6,000rpmに設定されていて、決して高回転型ユニットという訳ではありませんが、3,500rpm以上の回転域だとエンジンサウンドに変化が見られます。

一段階高い音という印象を受け、回転が上がるにつれてパワーもついてきます。

発進時に低回転域のトルク感にも驚かされましたが、高回転まで回してみても、NAエンジンらしい気持ちよさを味わうことができます。

しかし、街乗りであれば2,500rpmも回せば十分に走ります。低回転域での実用トルクがあることは、ミニが元々入り組んだ町も快適に移動できるように考えられた実用車であることを思わせます。

ローバーミニを試乗レビュー⑤|ミッションを傷めないよう操作には細心の注意が必要

実用車として設計されたため、基本的にはドライバーに難しいことを要求してくることはありません。

しかし、エンジンとミッションが2階建てされた特殊なパワートレインであるため、ミッション操作はいたわって行うべきでしょう。

力んで素早いシフトチェンジをしたり、入らないからといって力任せにシフトチェンジをしたりしてはいけません。可能ならばダブルクラッチを使用して、ミッションをいたわりながら走行することを普段から心掛けるのが、ミニの乗り方としてはベターと言えるでしょう。
実際にミニを運転し、各所の数値や駆動方式などクルマを構成する基本的な要素が、クルマのキャラクターを大きく決めるということを再認識しました。

ミニの運転フィーリングを一言で言えば、「他に類をみないダイレクトなFF」という感じですが、コンパクトなボディサイズや、フロントにメカニズムを集約した結果成立したフロントヘビーな前後重量配分などを考えれば当然の結果とも言えます。

日本にもファンが多いミニですが、他にはないこの独特な運転フィーリングに惚れこんでいるファンも多いのではないかと改めて感じた試乗でした。

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