約40年間フルモデルチェンジ無し!ローバーミニの歴史を振り返る

オールドミニ クラシックミニ 広報

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約40年間フルモデルチェンジをせずに生産され続けたミニ。

それだけに、年代ごとに世代が分けられていたり、装備やメカニズムなどが異なっていたりします。

今回はベーシックモデルにスポットを当て、ミニの歴史を大まかに振り返ります。

西川 昇吾|にしかわ しょうご

1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。過去にはコミュニティFMのモータースポーツコーナーにてレギュラー出演経験あり。「書くこと、喋ることで自動車やモータースポーツの面白さを伝える」を目標とし、様々なジャンルのライティングや企画に挑戦中。

西川 昇吾
Chapter
ミニ登場の背景にあったのは…石油危機
マークⅠ
マークⅡ
マークⅢ

ミニ登場の背景にあったのは…石油危機

約40年のロングセラーモデルが誕生した背景には石油不足がありました。

1956年に発生したスエズ危機により、イギリス国内での石油供給に対する不信感が募ると同時に、石油価格は高騰します。そのような背景からイギリスの大衆層を中心に、国内ではバブルカーと呼ばれる超小型車が流行するようになりました。

しかし、このバブルカーはドイツやイタリア製のものがほとんどという状況。これに対してブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)会長は打開策としてイギリス製の小型車の開発を命じます。
このような背景からスタートした小型車プロジェクトには、「大人4人と荷物を載せることができる経済的なクルマ」という目標と「既存のエンジンを用いること」という条件が課せられていました。

この難題に応えたのがBMCエンジニアであったアレック・イシゴニスです。彼は当時としては珍しいFFレイアウトを採用。しかもエンジンの下のオイルパンスペースに駆動系を組み込むという独創的なアイデアでコンパクトなメカニズムを実現させます。

こうして全長約3mながら大人4人と荷物を載せることができる小型車、後にミニの愛称で長く親しまれるようになるクルマが1959年に誕生したのです。

マークⅠ

1967年ごろまでの初期のミニはマークⅠと呼ばれることが多いです。

ベーシックモデルは848㏄のエンジンを搭載し、10インチという現代の水準から見てはもちろん、当時としても小径なタイヤを採用しています。マークⅠの外見上の特徴としてはフロントグリルの形状やオーバル形状のテールレンズ、外から見えるドアヒンジなどが挙げられます。

なお、「ミニクーパー」の愛称で知られるようになるスポーツモデルが生まれたのもこの頃です。

当時レーシングカーコンストラクターとして名を馳せていたジョン・クーパーはミニの軽量コンパクトなボディ、そして何よりクイックなハンドリングを気に入ります。クーパーはミニの高性能化を提案しますが、あくまでもミニはベーシックな小型大衆車であるというスタンスのイシゴニスはこれに反対。

しかし、クーパーがチューンしたミニに乗るとその性能に感銘を受けました。こうして高性能モデルであるミニクーパーは1962年に登場しました。

マークⅡ

1967年ごろからマークⅡと呼ばれる世代へと進化。このマークⅡは1970年ごろまでと言われています。

見かけ上の変化で言えば、グリルデザインとテールライトがより角ばったものになり、リアガラスが大型化されました。

またメカニズム面でも進化を遂げており、エンジンもベーシックなグレードで1.0Lクラスへと拡大されました。

マークⅢ

そして1970年以降の世代はマークⅢと呼ばれるのが一般的です。見た目上ではドアヒンジがインナーヒンジになったのが大きな変化と言えます。そのほかサイドウィンドウが一般的なレギュレータータイプになったのもポイントです。

その後基本的には大きな変更を受けずに長らく生産されていくこととなりましたが、この時代のイギリスは自動車メーカーの再編や合併が何度も行われていました。ミニもその例に漏れず、製造するメーカーが目まぐるしく変化するという波乱万丈のモデルだったのです。

紆余曲折があったのちに、1982年にはブリティッシュ・レイランドの再編を受け、ミニの製造元はオースチン・ローバーとなります。厳密に言えば、「ローバーミニ」という現在では定着している名称が始まったのはここからと言えるでしょう。1980年代末には会社名称をローバーカーズに変更しています。

なお、1990年代にはエアコンやパワステが装備されるようになるなど、時代に合わせた変更も受け、近代でも通用するモデルへと中身を変えていっていたのです。
40年近くの長い期間生産されてきたがゆえに、複雑な歴史を持つミニ。しかし、その始まりは石油危機という経済的な理由でした。

現代はEVなどを中心にエコカーやその汎用性の高さなどからSUVの人気が高まっていますが、ミニもまたそのような時代が作ったクルマとも言えるべき存在です。

そのような誕生の時代背景まで掘り下げて考えてみると、自動車は時代を反映してきたという面白さをもつ工業製品であることが分かります。

ミニはそんな面白さを再認識させてくれる存在と言えます。
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