スバル 新型レヴォーグの乗り心地はハード?ソフト?

スバル・新型レヴォーグ

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2020年8月から先行予約が開始されたスバル 新型レヴォーグ(VN5型)。近年はコンパクトカーやSUVが主流となっていますが、新型レヴォーグはステーションワゴンでありながら関心と注目を集めており、その理由はスバル独自の安全技術である「アイサイト」や、スバルがモータースポーツ活動などによって熟成させてきた走行性能などにあるとされています。

一方で、高い走行性能を持つクルマには一般的にハードで乗り心地の悪いサスペンションが採用されることも多く、市街地走行で乗り心地に劣るとも言われています。安全性能や走行性能に期待される新型スバルレヴォーグの乗り心地は、果たしてどのようなものなのでしょうか。今回はその内容について紹介していきます。

文・PBKK
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スバル 新型レヴォーグはグレードによって電子制御ダンパーを採用!
スバル 新型レヴォーグはプラットフォームを刷新!
スバル 新型レヴォーグはシートやインテリアもリニューアル!

スバル 新型レヴォーグはグレードによって電子制御ダンパーを採用!

クルマの乗り心地に影響を与える部品のなかで重要な役割を担っているものがサスペンションです。

サスペンションはダンパーやスプリング、アームなど複数の部品によって構成されていますが、スバル 新型レヴォーグのトップグレードである「STI Sport」と「STI Sport EX」ではダンパーの部分にドイツのZF社製電子制御ダンパーが採用されています。

スタンダードグレードの「GT」と「GT EX」やハイグレードの「GT-H」と「GT-H」では、スバル 初代レヴォーグでも採用されていた通常のダンパーが装備され、適切なレートのスプリングを組み合わせたことで市街地における低速走行から高速道路での高速巡行まで違和感なく運転することができます。
一方で「STI Sport」シリーズに採用される電子制御ダンパーは、減衰力と呼ばれる衝撃を和らげる機能を変化させることを可能とし、これによって「ソフトな乗り心地」から「ハードな乗り心地」までのドライブモードチェンジを実現しています。

ドライブモードはステアリングの右スポークに備え付けられたスイッチ、または11.6インチセンターインフォメーションディスプレイからセレクトでき、サスペンションは「コンフォート」「ノーマル」「スポーツ」の3種類から選択することが可能です。

また、ステアリングのレスポンスもモードチェンジ可能となっています。ステアリング操作は乗り心地を左右する重要な要素であることから、「STI Sport」シリーズでは状況やドライバーに合わせて乗り心地を変化させることができる優秀なグレードと言えるでしょう。
乗り心地と走行性能に影響を与える部品としてタイヤのサイズも見逃せません。「GT」シリーズでは215/50R17というタイヤサイズですが、「GT-H」シリーズや「STI Sport」シリーズでは225/45R18となっています。

「GT」シリーズに比べ「GT-H」シリーズや「STI Sport」シリーズのタイヤは太く、薄く、そして1サイズ大きなアルミホイールを装備しているのです。タイヤは太くなればスリップするまでの限界値が向上し、厚みが少なくなればステアリングを切った際のレスポンスに優れるなどのメリットがあるとされています。

一方で厚みが少ない分、路面からの衝撃を吸収しづらいというデメリットもあります。そのため細く厚みのあるタイヤを装着する「GT」シリーズは乗り心地が良く「GT-H」シリーズは走行性能は高いものの乗り心地はやや劣る可能性があります。

しかし、トップグレードの「STI Sport」シリーズでは、電子制御ダンパーによって適切な乗り心地を実現していることが伺えます。

つまり、「GT」シリーズの乗り心地を持ちつつ、「GT-H」シリーズと同等の走行性能を持ち、モードチェンジによってさらに高いパフォーマンスを発揮できる点が、電子制御ダンパーと、それを採用した「STI Sport」シリーズの魅力です。

スバル 新型レヴォーグはプラットフォームを刷新!

クルマの乗り心地は、路面から伝わってくる衝撃をどのように車内へ伝えるかによって変わるとされています。そのため、すべての衝撃を受け止めるボディーは見逃せないポイントです。

スバル 新型レヴォーグのエクステリアはモデルチェンジ前のスバル 初代レヴォーグを引き継いだデザインとなっていますが、車体の骨格であり、衝撃を受け止める土台となるボディーが「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」へと刷新され「フルインナーフレーム構造」を採用しています。
SGPは、2016年に登場したスバル 2代目インプレッサスポーツや、スバル 2代目インプレッサG4などに採用された、高い衝突安全性能と走行性能を両立させたプラットフォームです。

スバル 初代レガシィ以来30年ぶりに新設計されたプラットフォームともされ、開発にあたっては新型エンジンの搭載を前提にされるなど、スバルのクルマの特徴である「安心と楽しさ」の根幹を支える新たな土台でもあります。このSGPの採用は、スバルのクルマの設計図が大きく変わったことを示していると言えるでしょう。

数々の新機軸が盛り込まれたSGPですが、新型レヴォーグに採用されるにあたって「フルインナーフレーム構造」という新しい製造手法が取り入れられています。従来のクルマは、ボディーの床面やサイドなど各部位のパーツがあらかじめ完成された状態で、最後にすべてのパーツを溶接してボディーを形作る手法が採られていました。

一方でフルインナーフレーム構造では、最初にボディーの骨格部分を組み立てておき、最後に外側のパネルを組み合わせていく方式となっています。これによってボディーの強度が大幅に向上し、スバルによれば初代レヴォーグに対してねじり剛性が44%も向上したとされています。
新設計図のSGPと、新製造手法のフルインナーフレーム構造が組み合わされたことで、新型レヴォーグの乗り心地も初代レヴォーグより進化を遂げていることが伺えます。

一般的にボディーの強度が上がればサスペンションなど足回りの部品はよりしなやかに動くとされており、「GT」や「GT-H」などのグレードはもちろん、電子制御ダンパーを採用している「STI Sport」といったスポーツグレードにおいてもその恩恵を感じることが可能と言えるでしょう。

また、新型レヴォーグではボディーをつなぎ合わせる構造用接着剤も多用されています。ボディーの大部分は溶接によって金属同士を結合させていますが、すべてを溶接で結合させると衝撃の逃げ場がなくなったり、騒音の原因となるなどデメリットも少なくありません。

そのため、新型レヴォーグでは適度に接着剤を使用することで、衝撃の吸収や不快な振動の抑制、騒音の防止などの複数のメリットを生み出し、これにより不快な突き上げも軽減されることが伺えます。

スバル 新型レヴォーグはシートやインテリアもリニューアル!

シートやステアリングをはじめとした、インテリアの進化も注目すべきポイントです。新型レヴォーグのフロントシート(前席)には、座面や背もたれに大型のサイドサポートが備わり、スポーツカーのシートのようなホールド性を実現しています。

初代レヴォーグでもホールド性の高いシートが採用されていましたが、新型レヴォーグではシートに触れる「面」を細かく分割することでよりシートに密着し、リラックスした姿勢で運転できるよう配慮された設計となっています。

実際にフロントシートの形状を確認すると、初代レヴォーグの座面はセンターとサイドで3分割されていたのに対して、新型レヴォーグではセンターで5面サイドで2面7面構成となり、沈み込む場所が増えたことでドライバーは安定したドライビングポジションを得ることが可能となっています。

背もたれはより複雑な面構成になり、肩・脇・背中などの体重がかかる部分をしっかり支える形となっています。
ステアリングは真円ではなく、下の部分がゆるい直線計上を描く「D型」と呼ばれる形状に似ており、乗り降りや操作性の向上といったメリットはもちろん、スポーティーな印象を強めるアクセントとしても機能しています。

ステアリングを握る際の最適なポジションと言われる9時15分や10時10分の位置は握りやすい形に設計され、余裕を持った操作が可能となりました。
また、スバル独自の安全装備である「アイサイト」を進化させた「アイサイトX」を搭載する「GT EX」、「GT-H EX」、「STI Sport EX」のグレードでは、運転席のメーターが12.3インチフル液晶メーターへと変わり、タコメーターやスピードメーターの他にもナビ画面やアイサイトX操作画面を表示できます。

こうしたドライバーが直接触れたり目にする部分が洗練されたことも、乗り心地や運転に少なからず影響を与えていると言えるでしょう。

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乗り心地というとシートの座り心地を想像するかもしれませんが、実際には路面の衝撃を受けるタイヤやサスペンション、それを受け止めるボディーなど、さまざまな要素が複雑に絡み合ってきます。

スバル 新型レヴォーグはシートの材質やデザインを変更するといった単純な変更ではなく、ボディーを含めた総合的な乗り心地の改善、向上を目指し、それを実現したクルマであると言えるでしょう。
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