マツダ CX-5はどんなクルマなのか?徹底解説!

2016年にミニバン市場から撤退したマツダにとって、基幹車種と言えるのが「CX-5」です。2012年に初代が登場して以来、常に高い評価を得てきました。いまやマツダの技術を象徴する「SKYACTIV」をマツダ車で初めて全面的に採用したのも、このCX-5でした。

文・山崎 友貴

Chapter
マツダを救った起死回生の新世代SUVがCX-5だった
マツダ CX-5は2代目へと進化してさらに扱いやすくなった
マツダ CX-5のグレードは基本的にエンジンで分かれる
マツダ CX-5は、他のSUVにはない先進的かつ快適な乗り味を持つ
マツダ CX-5 XD Silk Beige Selectionを徹底紹介!マツダ復活の立役者となったマツダのSUVの実力は?!

マツダを救った起死回生の新世代SUVがCX-5だった

「プロシードマービー」に始まったマツダSUVの歴史は、決して順風満帆なものではありませんでした。ピックアップトラックの荷台にシェルを被せたプロシードマービーのスタイルは、ある意味で純然たるSUVでしたが、トヨタのハイラックスサーフや日産のテラノに比べると垢抜けていない感が否めず、市場でも成功したとは言えませんでした。

マツダはその後、スズキのエスクードのOEM版「プロシードレバンテ」を投入しましたが、やはり“本家”には及ばず、2000年にフォードと共同開発した「トリビュート(フォード名:エスケープ)」を発売。しかし、このモデルも振るわず、結局2006年には販売を中止しました。このバトンを受け取ったのが「CX-7」というクロスオーバーでしたが、高額だったこともあって、やはり国内市場では成功することができませんでした。

マツダ CX-7

CX-7の販売が終了した2012年に、きら星のごとく登場したのがCX-5です。このクルマは様々な面で、世界を驚かせましたが、その代表的なのがデザインです。

1990年代から2000年代にかけてのマツダ車とは、まるで異なるプロトコルでデザインされており、市場からは「まるで欧州車のようだ」と高評価を得ました。

特別限定車CX-5 2013アニバーサリー

また前述のSKYACTIVテクノロジーも、革新的でした。2L ガソリンエンジンはすでにアクセラに採用されていましたが、CX-5に初めて搭載された2.2L ディーゼルは、パワフルで静粛性が高い上に、尿素などの排出ガス処理デバイスを使用せずとも、当時の平成22年度排ガス規制をクリア。欧州メーカーのクリーンディーゼルよりも先をゆく技術でした。

そしてSKYACTIVテクノロジーに基づくシャシーやボディが生み出すドライブフィールは、従来のどこかもったりとしSUVのイメージを覆すものであり、多くのユーザーを唸らせたのです。

CX-5は低迷していたマツダの起爆剤となり、発売からしばらくすると月販3000台を超えるヒット商品になります。

さらに、国産SUVカテゴリーでも1位の売り上げを記録。CX-5以降に登場するモデルを含めても、マツダの主力商品と成長し、2017年に2代目へとスイッチします。

マツダ CX-5は2代目へと進化してさらに扱いやすくなった

2代目のCX-5はキープコンセプトながら、容姿も中身も大幅に進化しました。特にデザインは、現在のマツダ車すべてに通じる上質感を備えるようになり、欧州製SUVと並べても見劣りすることはありません。

フロントグリルからテールエンドに至るまで、非常に繊細な線と面で構成されています。

全長:4,540 mm、全幅:1,840 mm、全高:1,705 mm、ホイールベース:2,700 mm

全長:4,545mm、全幅:1,840mm、全高:1,690mm、ホイールベース:2,700mm

ボディサイズは先代よりも全長で+5mm、全高で−15mm、さらにトレッドは約10mm拡大。台形のようなフォルムとなり、SUVでありながら安定感があるローシルエットを実現しています。

居住性も大幅に進化していますが、特にこだわっているのがシートそのもの。フロントシートはフレームもさることながら、クッションを細かくチューニングして、長時間のドライブでも身体の各部の体圧が適正になるように考慮されています。

また、リアシートも先代よりもシートバックの角度を2度寝かせて、快適性を向上させるリクライニング機構も採用されました。

荷室も先代よりも5L 拡大されて505L の容量を確保(サブトランクの容量も含む。メーカー計測)。

後部座席を倒し、助手席を最前部まで移動させた場合、最大1830㎜の室内長を確保することができます。サーフボードなどの長尺物を積みたいユーザーには、うってつけと言えます。

マツダ CX-5のエンジンラインアップ

デビュー当時のエンジンラインナップは、2L ガソリン、2.5L NAガソリン、2.2L ディーゼルエンジンの3種類でしたが、2018年に2.5L ガソリンターボが追加されて、現在は4種類になっています。

ちなみに当初は、最高出力140kW(190PS)、最大トルク450Nm(45.9kgf・m)というスペックを発揮するディーゼルエンジンが人気でした。しかし、後に登場したガソリンターボは、最高出力169kW(230PS)、最大トルク420N・m(42.8kgf・m)というスペックを実現しています。

欧州車のように年次改良を行うのが、今のマツダ車の特徴ですが、2018年12月に4回目の商品改良を実施しています。

最新のマイナーチェンジでは、4WD車の悪路走破性を向上させる「オフロード・トラクション・アシスト」が新たに採用された他、天井材を変更することで静粛性を向上。

CX-5 TOUGH-SPORT STYLE

さらにセンターディスプレイが8インチ化されています。また、CX-5をよりへビューディーティな雰囲気に変える「タフスポーツスタイル」が、純正オプションで設定されました。

マツダ CX-5のグレードは基本的にエンジンで分かれる

撮影車両は、2代目 マツダ CX-5 XD Silk Beige Selection。 排気量:2.2L、最高出力:140kW(190PS)/4500rpm、最大トルク:450Nm/2000rpm

CX-5のグレードは、まずエンジンごとに分かれており、ガソリン6タイプ、ディーゼル3タイプの全9タイプ。これに特別仕様車が加わると、14タイプになります。駆動方式はFFと4WDがありますが、2L ガソリンにはFFしか設定されていません。

またトランスミッションは6速ATと6速MTがありますが、6速MTの設定があるのはディーゼル車のみです。

まず2L ガソリンのグレードを価格の低い順に並べると、20S、20Sプロアクティブとなります。

2.5L NAガソリンは、25S、25Sプロアクティブ、25S Lパッケージ。ちなみにLパッケージはシートトリムがレザーになる他、リアシートヒーター、ステアリングヒーターなどが標準装備となります。

2.5L ガソリンターボは「25T Lパッケージ」のみというシンプルなグレード構成です。ディーゼルはXD、XDプロアクティブ、XD Lパッケージがあり、それぞれにFFと4WD、さらにATとMTに分かれています。このことからも、ディーゼルがCX-5の中でも売れ筋だということが分かります。

CX-5 XD Silk Beige Selection

なお2019年12月の改良では、全エンジン搭載車に「シルクベージュセレクションモード」という特別仕様車が設定されました。

これはスエード調の「グランリュクス」という生地をシート中央部に使ったハーフレザレットシートを採用しています。さらにLED室内照明、前席用LEDフットランプ&イルミネーション、LEDフォグランプ、IRカットガラスを標準化したラグジュアリーなモデルです。

マツダ CX-5は、他のSUVにはない先進的かつ快適な乗り味を持つ

マツダ3 ファストバック 写真:宮越孝政

実車を見てみると、CX-5は決してコンパクトなクルマではありません。

ですが、ドライブしてみると大きさを感じさせない取り回しの良さがあります。基本的にFFレイアウトですので舵角い余裕があり、最小回転半径5.5mというスペックは、マツダ3ファストバックとほぼ同等です。

2代目CX-5は、パワステに電動式を採用していますが、回すトルク加減やリニアなフィーリングなど、非常に軽快に動かせる感じがあります。特筆すべきは、マツダのお家芸である「G-ベクタリングコンロトール」というシステムの存在。

通常、クルマを運転している時は、ステアリングの遊びや路面の凹凸・傾斜の関係で、常に細かな回転操作を行っているものです。この細かい操作が疲労に繋がり、不安定感を感じさせていました。マツダはこれまで別々に制御していた前後左右方向のGを統合的にコントロール。四輪への接地荷重を最適化して、スムーズな挙動になるようにしています。

G-ベクタリング コントロール作動イメージ 

このシステムのおかげで、制御無しの状態には戻れないほど快適な乗り心地になっており、上半身の疲労感が大幅に低減されました。

もちろんシャープなハンドリングはサスペンションやボディ剛性といった他のファクターによる部分も大きいのですが、CX-5に乗るとSUVのイメージが大きく変わることは確かです。

マツダCX-5「SCBS」搭載車

さらに安全装備「サポカーS・ワイド」の存在も、快適ドライブに繋がっています。アクシデントを最小限に抑えてくれる機能もさることながら、使用頻度の高い「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール」は高速道路での移動を本当にラクにしてくれます。

速度や前車との車間を設定すれば、あとは半自動運転。複雑な動線の首都高速でもしっかりと機能し、しかも加減速のレスポンスが早いのでストレスを感じることがありません。

CX-5 XD Silk Beige Selection。2.2L ディーゼル搭載車

さて前述の通り、CX-5には4つのパワーユニットが用意されていますが、どれがベストかとよく聞かれます。これはそれぞれの感性がありますので非常に難しいのですが、もし自分が車両価格という検討材料を抜きにして考えるなら、やはり2.2L ディーゼルを選ぶことでしょう。

どこから踏んでも盛り上がるトルク感は、街や高速道路、ワインディングロードを問わず、扱いやすさを感じることができます。もちろんガソリンターボも素晴らしいのですが、燃費を考えるとアクセルを踏む力がどうしても緩んでしまいます。

マツダ CX-5 SKYACTIV-G 2.5T

想像以上にいいのが、2.5L NAガソリンです。ジェントリーという言葉がぴったりで、フィーリングにラグジュアリー感が存在しています。静かで扱いやすく、まったく不足が見当たりません。ただし、2.5L なのでターボと同じ自動車税が発生するという点に、どのように折り合いを付けるかだけです。

2L ガソリンも過不足がありませんが、一度でも2.5L ガソリンやディーゼルに乗ってしまうと身体にその印象が残るせいか、やはり上位グレードに眼が行ってしまうかもしれません。ただし、最廉価グレードで261.8万円というプラスは魅力的です。

CX-5は、あらゆる面からSUVの使い勝手の良さが考えられているクルマです。乗って良し、載せて良し、走らせて良し。かつてマツダを購入すると“マツダ地獄”にハマるなどと揶揄された時代がありましたが、その頃のマツダ車の負のイメージは微塵もありません。

昨今はライバルSUVが台頭しているため、CX-5の売れ行きも前ほどではないと聞きますが、非常にいいクルマであるというのは、売れ行きいかんに関係なく言えます。

マツダ CX-5 XD Silk Beige Selectionを徹底紹介!マツダ復活の立役者となったマツダのSUVの実力は?!

2012年に初代マツダ CX-5が誕生し、2017年には2代目となる現行型へと進化を果たしたマツダ CX-5。以来、幾度かの年次改良を果たしたCX-5は、2019年12月、特別仕様車として「Silk Beige Selection」が追加されました。今回は、CX-5 XD Silk Beige Selectionをベースに、現行型CX-5の外装、内装、安全装備、座席や荷室(ラゲージスペース)、などあらゆる視点から現行型CX-5をCARPRIMEナビゲーターの河西啓介がひも解いていきます。

山崎 友貴|やまざき ともたか

四輪駆動車専門誌、RV誌編集部を経て、フリーエディターに。RVやキャンピングカー、アウトドア誌などで執筆中。趣味は登山、クライミング、山城探訪。小さいクルマが大好物。

山崎 友貴|やまざき ともたか