ランドローバー・ディスカバリースポーツを徹底解説!

ランドローバー ディスカバリースポーツ R-DYNAMIC SE D180

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ランドローバー・ディスカバリースポーツは、新たな顧客を数多く集めたレンジローバー・イヴォークのプラットフォームを使って仕立てられたミドルサイズSUVだ。フリーランダー2の後継的な存在として、「ランドローバー」ブランドのボトムを担っている。狭い住宅街などでも比較的取り回ししやすく、英国生まれのSUVスペシャリストを味わうエントリーモデルとしても打ってつけだ。イヴォークとの違いも含めてその魅力を探り、解説していこう。

文・塚田勝弘/写真・萩原文博

塚田 勝弘|つかだ かつひろ

自動車雑誌、モノ系雑誌の新車担当編集者を約10年務めた後に独立し、フリーランスライターとしても10年が経過。自動車雑誌、ライフスタイル雑誌、Web媒体などで新車試乗記事やカーナビ、カーエレクトロニクスなどの記事を展開している。

塚田 勝弘
Chapter
初代ランドローバー・ディスカバリースポーツは初代イヴォークと同じプラットフォームを採用していた
初代 ランドローバー・ディスカバリースポーツ
ランドローバー ディスカバリースポーツは家族持ちも嬉しい
2018年モデルで自社開発エンジンに刷新
2代目へと進化したランドローバー ディスカバリースポーツ
ランドローバー ディスカバリースポーツは多彩なニーズに応えてくれる

初代ランドローバー・ディスカバリースポーツは初代イヴォークと同じプラットフォームを採用していた

2012年に日本でも発売された初代レンジローバー・イヴォークの登場は衝撃的だった。いまでこそ、クーペ風味を足したクロスオーバーSUVは珍しくない。初代イヴォークは、コンセプトカーがそのまま市販化されたようなエクステリア・デザインに加えて、5ドアだけではなく3ドアも設定することで、それまでレンジローバー(ランドローバー)に目を向けたことがなかった層も獲得したヒット作だ。

当時、筆者は販売現場を取材する機会があり、新しいお客さんが多くつめかけたという話を伺った。一方で、3ドアはもちろん、5ドアでもボディサイズの割に、後席の頭上空間などは狭めで、SUVに期待する居住性や積載性などのユーティリティ性でも「やや我慢が必要」だった。

初代 ランドローバー・ディスカバリースポーツ

その初代イヴォークと同じプラットフォームで仕立てられたのが、「ランドローバー」ブランドのディスカバリースポーツだ。エンジン横置きFFのアーキテクチャを使い、FFベースの利点であるキャビンの広さなどもある程度感じさせる。

また、そのスクエアなフォルムにより、狭い場所でも取り回ししやすかったフリーランダー2ほどではないにしても、イヴォークよりも見切りが若干しやすく、視界も比較的確保されている。

ランドローバー ディスカバリースポーツは家族持ちも嬉しい

また、ディスカバリースポーツには、初代イヴォークにあった3ドアの設定はない。さらに、2列5人乗り仕様だけでなく、3列7人乗り(3列目は「5+2」の補助シートという広さと乗降性)も設定することからも、より実用的なブランドである「ランドローバー」らしさも感じられる。

一方で、イヴォークの兄弟車的存在だけに、プレミアム性の両立も図られていて、決してチープな印象は内外装共に抱かせないのが魅力だ。
「プレミアムコンパクトSUV」を謳う、初代ディスカバリースポーツは、2014年10月に予約受注を開始した。デビュー時は、「SE」、「HSE」、「HSE LUXURY」の3グレード設定で比較的シンプルな構成だった。

搭載されるパワートレーンは、フォード由来で、最高出力240PSの2.0L直列4気筒ガソリンターボとZF製の9速ATの組み合わせ。オンロードでのハンドリングの良さと、ランドローバーの特徴であるオフロードでの高い走破性を兼ね備えていた。

2018年モデルで自社開発エンジンに刷新

ランドローバー ディスカバリースポーツ 2018年モデル
その後、まさに毎年のようにイヤーモデルが登場し、比較的大きめな変更を受けたのが2017年11月に受注が開始された2018年モデルだ。フォード由来のエンジンから、自社開発のモジュラー設計の「INGENIUM(インジニウム)」に変更された。

新たに搭載されたのは、2.0L直列4気筒ガソリンターボ(最高出力240PS、最大トルク340Nm)と同じく「INGENIUM」の 2.0L直列4気筒ディーゼルターボ(最高出力180PS、最大トルク430Nm)の2種類。

装備では、タッチ操作が可能な10.2インチタッチスクリーンを備えるインフォテイメントシステムの「InControl Touch Pro」、アダプティブクルーズコントロールなどが用意された。

2代目へと進化したランドローバー ディスカバリースポーツ

2019年5月には、2代目にスイッチしたレンジローバー・イヴォークと同様に、ランドローバー最新のアーキテクチャである「PTA(Premium Transverse Architecture)」を使った2代目にスイッチ。

2020年モデルという位置づけであり、外観もあまり変わっていないように思えるが、プラットフォームの変更により、高剛性化が図られ、動的質感を含めた性能アップが図られている。パワートレーンがより静かにスムーズになり、一段とオンロードでの快適性が引き上げられたのも朗報だろう。

エクステリア・デザインは確かにキープコンセプトではあるものの、フロントグリルや前後バンパーの意匠が変わり、前後にシグネチャーLEDヘッドライトが加わったことで先進性もアピールしている。
さらに、インテリアの質感向上やスマホのワイヤレスチャージ機能、ヘッドアップディスプレイ、160mmの2列目スライド&リクライニングなど、装備の充実化も図られている。

ユニークなのは、新型レンジローバー・イヴォークにも採用された「ClearSightグラウンドビュー」で、ボンネットが透けて見えるような映像により、本来死角となるフロント下180度の視角を確保できる機能だ。
ランドローバー ディスカバリースポーツ R-DYNAMIC SE D180ランドローバー ディスカバリースポーツ R-DYNAMIC SE D180
搭載されるエンジンは2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボ(最高出力180PS・最大トルク430Nm)と、2種類の出力を用意する2.0L直列4気筒のガソリンターボの計3種類。

ガソリンターボは「P200」版が最高出力200PS、最大トルク320Nm。「P250」が最高出力249PS、最大トルク365Nmで、いずれのエンジンも自社開発の「INGENIUM」になっている。
ランドローバー ディスカバリースポーツ R-DYNAMIC SE D180
グレード展開は、従来設定されていなかった「R-DYNAMIC」が新たに追加され、全10グレードと選択肢が拡大している。グレード数は多いが、標準系と上級グレードの「R-DYNAMIC」に大別可能。

「R- DYNAMIC」は、ボディ下部まで同色化され、専用デザインの前後バンパー、フロントグリル、アルミホイールなどによるスポーティなエクステリアをまとっている。さらに、パドルシフトやレザーステアリングホイールなどのインテリアも上質感がある。

ディスカバリースポーツの実用性に加えて、よりプレミアムなムードも重視するのであれば「R-DYNAMIC」をチョイスしたい。
ランドローバー ディスカバリースポーツ R-DYNAMIC SE D180
さらに、オプションで「ブラックエクステリアパック」も用意されている。こちらは、ボンネットとテールゲートスクリプト、フロントグリル、前後ロワーバンパー、ミラーキャップがグロスブラック仕上げになるのが特徴で、存在感を高めるオプションだ。

さらに、「R-DYNAMICブラックエクステリアパック」もオプション設定されていて、先述の「ブラックエクステリアパック」に、グロスブラックフィニッシュのエキゾーストフィニッシャーが追加されるなど、ランドローバーらしく仕様の選択肢は幅広い。
ランドローバー ディスカバリースポーツ R-DYNAMIC SE D180
初代レンジローバー・イヴォークはオープンモデルもあった。
レンジローバー・イヴォークは、3ドアモデルこそ廃止され、5ドアのみとなったが、初代同様にクーペクロスオーバーのスタイリッシュな内・外装が身上だ。

「ベルト・インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター」付となる48Vマイルドハイブリッドも初設定するなど、ディスカバリースポーツよりもさらに高い付加価値を備えているのが特徴だ。

ランドローバー ディスカバリースポーツは多彩なニーズに応えてくれる

一方のディスカバリースポーツは、居住性と積載性のバランスがいい2列5人乗りに加えて、サードシートは非常用の域を出ないが、3列7人乗りも設定することで、多人数乗車というニーズにも応えるディスカバリースポーツ。
高級ブランドである「レンジローバー」ブランドのイヴォーク、新たに正規導入が開始された新型ディスカバリーよりも比較的手が届きやすい価格帯(4,500,000円〜7,010,000円)になっている。
ランドローバー ディスカバリースポーツ R-DYNAMIC SE D180
2020年モデルになり、プラットフォームも変わったことで、洗練された内・外装、進化した装備類、上質な走りも得られたことで、高い満足感が得られるSUVに仕上がっているのが美点といえるだろう。

ライバルは、メルセデス・ベンツGLC、BMW X3、アウディQ5、ボルボXC60など数多いが、定評ある悪路走破性だけでなく、先述したように、オンロードでのハンドリングやマナーの良さも決して引けを取っていない。
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