ボンネットが透けて見えるようなカメラも装備した、イギリスのスマートでスタイリッシュなSUV、新型 レンジローバー イヴォークをチェックした

新型レンジローバーイヴォークが発売されました。初代イヴォークは2011年(日本では2012年)に発売するや80万台以上を販売する大ヒットモデルとなりました。コンセプトカーがそのまま市販車になったようなスタイリッシュなデザインで、およそオフロード走行を得意としているようには見えませんでしたが、いざ走らせてみると、そこはレンジローバーの血統を色濃く受け継ぎ、優れた走破性を備えていました。

文・斎藤聡/写真・宮越孝政

Chapter
新型プラットフォームPTAとともに進化したイヴォーク
力強い低速トルクを持ったP300HSE
最大トルク430Nm!! D180の優れた悪路走破性
レンジローバー イヴォーク 宮越孝政

新型プラットフォームPTAとともに進化したイヴォーク

レンジローバー イヴォーク 宮越孝政
レンジローバー イヴォーク 宮越孝政

2代目となる新型には、クーペライクシルエットとランドローバーが呼ぶ特徴的なデザインが採用されています。先代は女性的な美しさが強調されたデザインでしたが、新型はランドローバーの血統であることが一目でわかるフロントマスクと、マッチョ・タフネスを連想させる力強い面構成になっています。また、全長に対して横幅が際立って広い独得のタテヨコ比と2580mmという短いホイールベース、21(20)インチの大径ホイールが、独特のたたずまいを作り出しています。

クルマの中身も徹底的に作り込まれていて、プラットフォーム(≒骨格)はジャガーランドローバーグループが進めている、電動化を見据えて開発したPTA(プレミアム・トランスバース・アーキテクチャー)を採用しています。

レンジローバー イヴォーク 宮越孝政

搭載するエンジンは2リッターディーゼルターボのD180と、3種類の2リッターガソリンターボ、P200、P250、P300 MHEVが用意されています。このうちP300 MHEVは48Vのマイルドハイブリッドとなっています。

レンジローバー イヴォーク 宮越孝政

組み合わされるトランスミッションは9速AT。

駆動方式はハルデックスカップリングを用いたオンデマンドタイプの4WDが採用されています。そのなかでP300については、リヤデフ部に左右のトルクベクタリングを行う多板クラッチが採用されていて、オンロードでの俊敏性や操縦性を高めるとともに、クラッチを完全にロックすることで、リヤデフロック状態を作り出こともできます。

ちなみにイヴォーグの最大渡河能力は先代イヴォーグの500mmから100mmアップして600mmです。

レンジローバー イヴォーク 宮越孝政
レンジローバー イヴォーク 宮越孝政

走行状によって駆動制御をおこなうテレインレスポンスはテレインレスポンス2に進化して、AUTOモードではセンサー類が走行状態を判断して最適制御をおこなってくれ、優れたオフロードパフォーマンスを発揮してくれます。

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このほか、新搭載のメカニズムとしては、カメラ映像をバックミラーに映すことができる「リヤビューカメラ」と、カメラ映像処理によってエンジンルーム下の画像を映し出せる「グラウンドビュー」機能を持った「クリアサイト」や、最大8人のプロファイルを設定しポジションなどに反映できるスマートセッティングなどが装備されています。

力強い低速トルクを持ったP300HSE

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試乗したのはマイルドハイブリッドのP300 HSE MHEVをメインに、オフロードセクションでD180にも試乗することができました。

まずP300に出走り出したのですが、発進時に明らかにモーター駆動のアシストが効いていて、軽々と走り出してくれます。アクセルを踏み込んだ瞬間、タメがなくスイーッと走り出して、軽快な印象さえあります。

フットワークも軽くなっていました。先代イヴォークは、モダンでと快適なスタイルを持っていましたが、足回りはSUVというよりもクロカン4×4のタフネスさをイメージさせるもので、乗り心地もしなやかという表現からはちょっと離れた印象があったのですが、新型は乗り心地がとても滑らか。特にリヤサスの動きがとてもスムーズで、それでいながらちゃんと腰があって、街中ではスムーズに、山道ではスイスイ気持ちよく走ってくれました。

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モーターのアシストがとても巧みです。説明によれば1500~2000回転までの間でモーターが加速をアシストしてくれるということだったのですが、感覚的にはもっと広い範囲でカバーしてくれている感覚です。

これはたぶんモーターの特性によるもので、レスポンスがいいためエンジン回転が作動範囲に入っていればアクセルを踏んだ瞬間からモーター駆動によるアシストが得られるからなのだろうと思います。

レンジローバー イヴォーク 宮越孝政

ボディがしっかりしていて、堅牢な感覚があります。サスペンションはしなやかに動くのですが、土台となるボディがガッチリしている感じで、ハンドル操作にボディが素直に応答してクルマの向きを変えてくれます。

気持ちよく走っていると、路面の段差や大きめの目地などでタイヤがちょっと暴れる動きが出ることがあります。タイヤ+ホイールがちょっと重い印象です。デザイン的には21インチはかなりカッコいいのですが、20インチとか19インチもありなのではと思います。

レンジローバー イヴォーク 宮越孝政

それにしても、約2tのボディを軽々と走らせるマイルドハイブリッドのパフォーマンスはなかなかのものです。なにしろエンジンの排気量は2ℓなのですから、いくら300馬力出ているといっても、極低回転から発揮しているわけではありません。トルクの足りないところを上手にアシストしてくれているわけですが、これがとてもうまくセットアップされています。

最大トルク430Nm!! D180の優れた悪路走破性

レンジローバー イヴォーク 宮越孝政
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オフロードを想定した広場でD180にも試乗することができました。ここでは主にテレインレスポンス2の能力とグラウンドビューの性能チェックを見ることができました。テレインレスポンス2は難しいことを考えずにAutoに入れておけばモーグル(これはアプローチアングルやランプブレークアングル、ディパーチャーアングルもかなりぎりぎりまで攻めたセッティングです)を特別な操作をする必要もなく、あっさり走り切れてしまいます。実際には、こまめにブレーキを使った空転制御を行い、接地するタイヤに駆動力が無駄なくかかるようにコントロールしています。電子制御の高性能ぶりに感心させられます。

レンジローバー イヴォーク 宮越孝政
レンジローバー イヴォーク 宮越孝政

またグランドビューは、じつはちょっと時間的なずれがあるのですが、それでもまるでエンジンの下の路面が見えているかのように、路面をチェックすることができます。オフロードコースだけでなく、街中でも(例えば路肩など)役に立つ場面がありそうです。

またディーゼルエンジンはP180という180馬力の2リッターディーゼルターボですが、430Nmの最大トルクが1750回転から発揮します。4×4のような副変速機は持っていませんが、モーグルのような極低速を使う場面でも、9速ATの低速カバーレンジの広さも手伝って、苦労することなく、力強くゆっくりと走り切ることができました。

また短い直線で加速チェックしてみると、やはり低回転のトルクがぶ厚いため、発進の力強さは十分に迫力のあるものでした。

レンジローバー イヴォーク 宮越孝政
レンジローバー イヴォーク 宮越孝政
レンジローバー イヴォーク 宮越孝政

エンジンの振動も良く抑えられているし、ディーゼル特有のガラガラ音も室内では気にならないレベルです。吹き上がりがスムーズで、高回転…といっても4500回転とか5000回転ですが、まで回しても気持ちよく回りきってくれます。

レンジローバー イヴォーク 宮越孝政

 スマートな印象だった先代と比べちょっとマッチョでタフな印象のある2台目イヴォークですが、その見た目どおり、短いホイールベースと高い車高、オーバーハングの少ないエクステリアデザインを裏切習い優れた走破性能を備えています。その一方で、乗り後心地とか操縦感覚は、グッと乗用車寄りに味付けされ、さらに乗りやすくなっていると感じました。いま巷では4×4性能に優れたSUVに注目が集まり始めています。そんな空気感に狙いすましたようにランドローバーが投げ込んだ直球ど真ん中のストライク、それがイヴォークです。

斎藤 聡 | SATOSHI SAITO

モータージャーナリスト。車両のインプレッションはもちろん、タイヤやサスペンションについて造詣が深く、業界内でも頼りにされている存在。多数の自動車雑誌やWEBマガジンで活躍中。某メーカーのドライビングインストラクターを務めるなど、わかりやすい解説も人気のヒミツ。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カーオブザイヤー選考委員。

斎藤 聡 | SATOSHI SAITO