自動運転がトップレーサーを超えることはあるの?

手放し運転(ハンズオフ)を可能にしたスカイラインの「プロパイロット2.0」も自動運転レベル(SAEによる自動運転レベル)では「レベル2」で、同じく低速用ハンズオフを日本に投入しているBMW勢も「レベル2」だ。

アウディA8は「レベル3」で、高速道路ですべての操作の自動運転を可能にするが(緊急時にドライバーがステアリングを握るオーバーライドは必要)、法整備などが追いつかず、その制御は可能とされていない。

現時点ではレベル5のうち、まだレベル2という現状で、今回のお題である「自動運転がトップレーサーを超えることはあるの?」を考えてみた。

文・塚田 勝弘

Chapter
将来のモビリティーを左右する「Autonomous(自律運転)」

将来のモビリティーを左右する「Autonomous(自律運転)」

自動運転 AIトラフィックジャムパイロット

100年に一度の大変革期を迎えているといわれる自動車産業では、「Connected」「Autonomous」「Shared」「Electric」の頭文字を取った「CASE(ケース)」、「Mobility as a Service」の略である「MaaS(マース)」というキーワードが盛んに使われている。

その中の「Autonomous」は、「自立的な」という意味だが、こなれた日本語で「自動運転」という意味で使われている。

自動運転でクルマを競わせるレースは、アメリカの「DARPAグランドチャレンジ」が有名だ。2004年から砂漠を完全自律運転で競うもので、現在の自動運転の開発競争をさらに加速させる契機になったともいわれる。

自動運転

また、GPSが届かない地下駐車場などで、自動駐車(自動バレーパーキング)を実現するには、上記のセンサーや駐車場の地図データ、車両の位置や停める位置を指令するセンターなどが必要になる。

アウディ TTS ロードスター

今回のお題である「自動運転がトップレーサーを超えることはあるの?」に関しては、コンペティション(競争)下でなければ、そこそこといえるレベルにまで近づいている可能性がある。

世界中の大学や開発期間などですでにサーキットでタイムアタックするという試みは行われているようで、スタンフォード大学はアウディ TTを使ってサーキットでのタイムアタックに敢行している。

少なくても同じラインを走り続ける(トレースし続ける)というシチュエーションであれば、自動運転には生のドライバーは敵わないレベルにまで近づいているかもしれない。

現時点では、タイムアタックの前に様々なデータを入力し、それ通りに走らせるのが基本であるはずで、自らコースを学習して最速タイムを叩き出す走行ラインを導き出すことができるかは疑問符が付く。

さらに、決勝レースのように、オーバーテイクや接触、接触事故、刻々と変わる路面状況など、他車との関わりでトップレーサーを打ち破るのはまだ難しいだろう。

MotoGP ツインリンクもてぎ

ヤマハは自律走行ロボットライダーで200km/hオーバーを達成。バレンティーノ・ロッシのタイムには遠く及ばなかったものの、4輪であるクルマやレーシングカーなら二輪よりも自動運転が勝つ可能性があるかもしれない。

F1 ホンダ

現時点では、決勝レースはもちろん、一発勝負のタイムアタックもトップレーサーの方に分があるように思えるが、どれだけ誤差なく同じラインを走り続けられるのか、同じタイムでラップタイムを刻み続けるのか、というシークエンスでは、先述したように近い将来、自律走行や自動運転が勝るかもしれない。

囲碁・将棋・チェスではAIが人間を打ち負かすようになっているが、一瞬先を読むだけでなく、自車を制御して、タイヤのグリップや風などの外乱も読みながら、というクルマの世界では、トップレーサーが結局は勝ち続けると願いたい。

日産 スカイライン 東京モーターショー 1973

なお、余談だが、筆者が昨年の「J.D.POWER Auto Summit 2018」に参加した際、自動車メーカーや部品メーカーのトップと自動車ジャーナリストなどに「完全自動運転はいつ実現するか?」といった主旨の質問があり、「実現しない」という答えがかなり多かった覚えがある。

アメリカで自動運転を開発しているIT系トップも、無条件下(あらゆる条件なしで)での完全自律運転に対しては懐疑的な見方をしているという報道もある。

塚田 勝弘|つかだ かつひろ

自動車雑誌、モノ系雑誌の新車担当編集者を約10年務めた後に独立し、フリーランスライターとしても10年が経過。自動車雑誌、ライフスタイル雑誌、Web媒体などで新車試乗記事やカーナビ、カーエレクトロニクスなどの展開している。

塚田 勝弘|つかだ かつひろ