21世紀少年はドライブにいく夢を見るか? vol.5 実用化されている自動運転技術
更新日:2024.09.09
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目的地を設定してボタンを押したら、あとはクルマが状況を判断し、すべての運転操作を行ってくれる。それが自動運転の究極の姿だ。それまでドライバーが主体的に動かしていたクルマが突如として完全自動になる様子をイメージするかもしれないが、そうではない。完全自動運転を実現する技術は少しずつ進化と浸透をつづけ、気づいたら自分のクルマに盛り込まれているのだ。いくつかの技術はすでに入り込んでいる。
text:世良耕太 [aheadアーカイブス vol.163 2016年6月号]
text:世良耕太 [aheadアーカイブス vol.163 2016年6月号]
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vol.5 実用化されている自動運転技術
▶︎ペダル踏み間違い・踏みすぎによる衝突事故被害を軽減する「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」の機能をさらに進化させ、切り返しを伴う駐車や縦列駐車などを半自動で行うのがトヨタの「インテリジェントパーキングアシスト2」である。
例えば、プリクラッシュブレーキがそうだ。スバルが「アイサイト」の名称で普及させている運転支援システムを例に挙げると、この機能は衝突の危険がある場合、ドライバーに注意を喚起する。
それでも回避操作がない場合はクルマがブレーキ制御を行い、自動的に減速または停止する。ドライバーに代わってクルマが状況を認知~判断し、ブレーキを操作するわけだ。立派な自動運転技術である。
プリクラッシュブレーキは、ぶつからずに止まる(あるいは減速する)技術だが、走る方向の自動運転技術も一部が実用化されている。追従機能付きのクルーズコントロールがそうだ。
これもスバルの場合で説明すると、高速道路や自動車専用道路で、100㎞/h以下の車速域で先行車に追従走行する機能だ。
先行車が車速を上げれば、適切な車間距離を保ちながら自車も車速を上げるし、先行車が停止すれば、自車も止まる。頻繁な加減速が求められる渋滞中でも、先行車の動きに追従するのだ。
現在の技術では同一のレーンでしか機能しないが、それでもドライバーの負担が大幅に減る技術に違いない。スバルのアイサイトは、ステレオカメラのみで機能を成立させている(つまり、ミリ波レーダーなどを併用していない)のが特徴だ。
プリクラッシュブレーキは自動運転技術の究極の狙いである「交通事故をゼロにする」ことを実現する技術のひとつであり、追従機能付きクルーズコントロールは交通事故ゼロに向けた「ぶつからない技術」に快適性や利便性をミックスさせたものだ。
もっと利便性を指向した自動運転技術の代表例が、パーキングアシストだ。トヨタのインテリジェントパーキングアシストを例に説明すると、バックで駐車スペースに収める際、必要なステアリング操作をクルマ側がアシストしてくれる機能だ。
まず「ドライバーの目線が駐車線の真横に見える位置で一旦停車」する必要がある。そのとき「駐車スペースから1mくらい離れている」必要があり、これらの条件がクリアできたら「ハンドルを半回転回す」。
それが済んだら「2つ先の駐車スペースあたりまで進んで停車」する。これらのいくつもの条件が整ったら、「シフトレバーをRに入れるだけ」でクルマが駐車位置を自動で認識。画面のOKボタンを押すと、アシストが開始される。
ステアリングは自動で操作してくれるが、ブレーキの踏み加減で車速をコントロールする必要もある。
あとは「シフトレバーをRに入れるだけ」に至る前提条件がたくさんあるので、「あぁ、面倒くさい。自分でやった方が早いよ」と思う人には必要のない機能だし、「それでも助かる」と思う人にはありがたい機能だ。
これは、自動運転技術全般に言えることで、ドライバーに便利だと感じてもらえるかどうかが、普及を促す重要なポイントとなってくる。
例えば、プリクラッシュブレーキがそうだ。スバルが「アイサイト」の名称で普及させている運転支援システムを例に挙げると、この機能は衝突の危険がある場合、ドライバーに注意を喚起する。
それでも回避操作がない場合はクルマがブレーキ制御を行い、自動的に減速または停止する。ドライバーに代わってクルマが状況を認知~判断し、ブレーキを操作するわけだ。立派な自動運転技術である。
プリクラッシュブレーキは、ぶつからずに止まる(あるいは減速する)技術だが、走る方向の自動運転技術も一部が実用化されている。追従機能付きのクルーズコントロールがそうだ。
これもスバルの場合で説明すると、高速道路や自動車専用道路で、100㎞/h以下の車速域で先行車に追従走行する機能だ。
先行車が車速を上げれば、適切な車間距離を保ちながら自車も車速を上げるし、先行車が停止すれば、自車も止まる。頻繁な加減速が求められる渋滞中でも、先行車の動きに追従するのだ。
現在の技術では同一のレーンでしか機能しないが、それでもドライバーの負担が大幅に減る技術に違いない。スバルのアイサイトは、ステレオカメラのみで機能を成立させている(つまり、ミリ波レーダーなどを併用していない)のが特徴だ。
プリクラッシュブレーキは自動運転技術の究極の狙いである「交通事故をゼロにする」ことを実現する技術のひとつであり、追従機能付きクルーズコントロールは交通事故ゼロに向けた「ぶつからない技術」に快適性や利便性をミックスさせたものだ。
もっと利便性を指向した自動運転技術の代表例が、パーキングアシストだ。トヨタのインテリジェントパーキングアシストを例に説明すると、バックで駐車スペースに収める際、必要なステアリング操作をクルマ側がアシストしてくれる機能だ。
まず「ドライバーの目線が駐車線の真横に見える位置で一旦停車」する必要がある。そのとき「駐車スペースから1mくらい離れている」必要があり、これらの条件がクリアできたら「ハンドルを半回転回す」。
それが済んだら「2つ先の駐車スペースあたりまで進んで停車」する。これらのいくつもの条件が整ったら、「シフトレバーをRに入れるだけ」でクルマが駐車位置を自動で認識。画面のOKボタンを押すと、アシストが開始される。
ステアリングは自動で操作してくれるが、ブレーキの踏み加減で車速をコントロールする必要もある。
あとは「シフトレバーをRに入れるだけ」に至る前提条件がたくさんあるので、「あぁ、面倒くさい。自分でやった方が早いよ」と思う人には必要のない機能だし、「それでも助かる」と思う人にはありがたい機能だ。
これは、自動運転技術全般に言えることで、ドライバーに便利だと感じてもらえるかどうかが、普及を促す重要なポイントとなってくる。
▶︎BMWのフラッグシップ・モデルである新型BMW 7シリーズにオプション設定された「リモート・パーキング」。車外から遠隔操作で駐車することができる。量産車では初。
BMW7シリーズは、量産車として初めて、ドライバーが乗車していなくても前進または後退で駐車スペースに出し入れできるリモートコントロールパーキングを実用化した。
駐車スペースまでの距離は最大2mに限られるし、まっすぐ前進してまっすぐ後進することしかできないが、車外にいて自分のクルマを動かすことができるのは画期的だ。隣のクルマとの間隔が狭く、乗り降りしづらい状況で役に立ちそうな機能である。
この機能の発展形はオートバレーパーキングだ。というより、オートバレーパーキングの機能を限定したのが、リモートコントロールパーキングである。
ドライバーは車寄せで降車。ボタンを押すとクルマは自動的に走り去り、駐車スペースを見つけて停車。ドライバーが呼び出したら、クルマが自動的に車寄せに戻ってくるのがオートバレーパーキングだ。
この機能は国内外の自動車メーカーやサプライヤーがこぞって開発中。利用する地域によってニーズは異なるだろうが、「あれば便利」と感じるユーザーが増えれば、普及に弾みがつくだろう。
BMW7シリーズは、量産車として初めて、ドライバーが乗車していなくても前進または後退で駐車スペースに出し入れできるリモートコントロールパーキングを実用化した。
駐車スペースまでの距離は最大2mに限られるし、まっすぐ前進してまっすぐ後進することしかできないが、車外にいて自分のクルマを動かすことができるのは画期的だ。隣のクルマとの間隔が狭く、乗り降りしづらい状況で役に立ちそうな機能である。
この機能の発展形はオートバレーパーキングだ。というより、オートバレーパーキングの機能を限定したのが、リモートコントロールパーキングである。
ドライバーは車寄せで降車。ボタンを押すとクルマは自動的に走り去り、駐車スペースを見つけて停車。ドライバーが呼び出したら、クルマが自動的に車寄せに戻ってくるのがオートバレーパーキングだ。
この機能は国内外の自動車メーカーやサプライヤーがこぞって開発中。利用する地域によってニーズは異なるだろうが、「あれば便利」と感じるユーザーが増えれば、普及に弾みがつくだろう。
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text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/
text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/