ジムニーは、街乗りでも素の良さを味わえる【鈴木ケンイチのダンガン一閃!】

スズキ ジムニー 2019

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世界最小クラスの本格的オフローダーとして、ほぼ唯一無二の存在となるのがジムニーだ。1970年の初代誕生から49年をかけて、世界194の国と地域で285万台以上が販売されている。このサイズではないと困る! というユーザーのニーズに応え世界中から愛されてきた名車だ。

文・鈴木ケンイチ

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
街乗りで味わったスズキ ジムニー ATモデル
スズキ ジムニーを乗ってわかったこと
ジムニーの素直さに感心

街乗りで味わったスズキ ジムニー ATモデル

そのジムニーが昨年7月に20年ぶりのフルモデルチェンジを行った。第4世代となる新型は、本格的なオフローダーという基本部分はきっちりと守りつつも、あっと驚くスクエアなルックスと自動ブレーキを含む最新の運転支援システムを搭載しての登場となった。もちろん、世界的な名車に新型登場! ということもあり、販売の方は順調そのもの。というか、生産が追い付かず、スズキの工場は四苦八苦しているという話も耳にしている。

そんな人気モデルの試乗だ。今回、ハンドルを握れたのはATモデル。そしてシチュエーションは都内のオンロード。残念ながら、本格的なオフロード性能の確認は別の機会ということになった。とはいえ、ジムニーを街乗り中心に利用するというユーザーも多いはず。このレポートは、そういう人に向けたものとさせていただこう。

スズキ ジムニーを乗ってわかったこと

まず、室内空間は、軽自動車とはいえ、上下方向の寸法は十分。左右寸法はそれなりだが、圧迫感はない。

ただし、シートは小ぶりだ。また、後席はあるけれど、大人が長時間使用するものではないと覚えておこう。ドライバーの視点が高く、スクエアなボディということもあり、視界は良好。狭い道にも臆せずに入っていけるのもジムニーの大きな魅力だ。

ターボ・エンジンは低回転域からトルクを稼ぐキャラクターになっており、街中の流れに悠々とついてゆくことができる。高速道路も時速80㎞ほどまでなら、それほどの苦はない。

ただし、遮音性能に優れているわけではないので、深くアクセルを踏み込むと、エンジンの騒々しさが耳につく。4速ATという、今どき珍しいほどギヤ数の少ないトランスミッションなので、高速での走行は当然のように苦手。

延々と高速道路の追い越しレーンを走ろうとすれば、それなりの覚悟が必要だ。ちなみに1.5リッターエンジンを搭載する、ジムニー シエラも同じく4速ATのため、高速巡行は似たようなもの。また、短い試乗ではあったが、メーターに表示されるジムニーの燃費値は、11km/lほど。以前にジムニー シエラを試乗したときと、さほど変わらないのが意外であった。

ただし、高速道路での動力性能がイマイチなのは、ある意味、オフローダーであるジムニーとしては当然のことだろう。

高速での走行性能を優先するのであれば、5速や6速のATを使うはず。それではなく4速ATを採用したのは、高速走行よりも、悪路での耐久性を優先した結果に違いない。そもそも高速走行の良さをジムニーに求めることが間違いだ。「飛ばそうと思わなければ、高速道路もそれほど辛くない。けっこう頑張って作ったな」というのが正しい評価だろう。

ジムニーの素直さに感心

それよりも今回、感心したのが動きの素直さだ。よく考えてみれば、舗装路のジムニーは、後輪だけの2WDになる。

つまり、エンジン縦置きのFR車だ。しかも、強固なフレームに、よく動くサスペンションがある。荷重移動させやすく、トルクフルなエンジンはピックアップも上々。スポーツカーのように俊敏な動きをするわけではないが、ドライバーの意思に忠実に動いてくれるのだ。これが楽しさにつながる。そういう意味で、舗装路のジムニーも悪くはない。

見た目が良くて、悪路にめっぽう強く、舗装路も楽しい。小さなクーペのような気分で使うのも悪くないだろう。ヒットするのも当たり前ではなかろうか。

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