走行中の車のタイヤが逆回転しているように見えるのはなぜ?
更新日:2024.09.09
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テレビや映画などで、走っている車のタイヤが逆回転しているように見えたり、止まっているように見えたこと、ありませんか? なぜそのように見えるのでしょうか?
文・吉川賢一
文・吉川賢一
なぜタイヤの動きがおかしく見えるのか
映画やテレビ、パソコンやビデオの動画は、連続した静止画がつながることで、物体が動いているように見せています。分かりやすく言うと、パラパラ漫画の仕組みと同じです。
一般的に、映画は1秒間に24コマ、テレビ・ビデオ・パソコンの動画は、1秒間に30コマの静止画を表示しています。
車のホイールにスポーク(中心から放射状に伸びる線状の部分)が12本あったとして、その車輪の回転が1秒間に3回転するものとしましょう。カメラは1/30秒=0.0333秒に一回撮影しており、タイヤが1回転する時間は1/3秒=0.3333秒、つまりタイヤ一回転の間に、ちょうど10回の撮影がなされます(360度/10=36度ずつ撮影される)。
この条件に当てはまると、タイヤはずっと止まってみえます。また、スポーク数は10スポーク、20スポーク、30スポークなどの場合でも、止まって見えます。
実際はそれぞれのスポークはコマ毎に違う位置にあるのですが、私たちには12本のスポークのなかのどれがどれなのか見分けがつかないため、スポークは固定されているように映り、あたかもタイヤが止まっているような映像となるのです。
また、車輪の回転が毎秒3回転よりちょっとだけ遅い場合は、スポークの位置はコマ毎に回転方向とは逆にずれるので、車輪が逆回転しているかのように見えてしまう映像となるのです。 これが「ストロボ効果」「ワゴンホイール効果」と呼ばれるもので、視覚現象の一種です。
一般的に、映画は1秒間に24コマ、テレビ・ビデオ・パソコンの動画は、1秒間に30コマの静止画を表示しています。
車のホイールにスポーク(中心から放射状に伸びる線状の部分)が12本あったとして、その車輪の回転が1秒間に3回転するものとしましょう。カメラは1/30秒=0.0333秒に一回撮影しており、タイヤが1回転する時間は1/3秒=0.3333秒、つまりタイヤ一回転の間に、ちょうど10回の撮影がなされます(360度/10=36度ずつ撮影される)。
この条件に当てはまると、タイヤはずっと止まってみえます。また、スポーク数は10スポーク、20スポーク、30スポークなどの場合でも、止まって見えます。
実際はそれぞれのスポークはコマ毎に違う位置にあるのですが、私たちには12本のスポークのなかのどれがどれなのか見分けがつかないため、スポークは固定されているように映り、あたかもタイヤが止まっているような映像となるのです。
また、車輪の回転が毎秒3回転よりちょっとだけ遅い場合は、スポークの位置はコマ毎に回転方向とは逆にずれるので、車輪が逆回転しているかのように見えてしまう映像となるのです。 これが「ストロボ効果」「ワゴンホイール効果」と呼ばれるもので、視覚現象の一種です。
ストロボ効果を利用したスグレモノ!
高速で動いているものがあたかも止まっているように見えたり、ゆっくりと動いているように見える『ストロボ効果』を生み出すための「ストロボスコープ」という装置があります。
ストロボスコープは、閃光時間がおよそ1/20,000~1/100,000秒間というとても短い光を、1秒間に1,000回程度まで繰り返し発光させることができる装置です。発光させる周期は自由に設定できます。
このストロボスコープの発光周期と動いている物体の運動周期が一致したときは、物体が静止した状態に見え、それぞれの周期をずらすと動いているように見えます。
この性質を利用すると、モーターやファンなどの回転数を計測することができたり、自動車関係だと、ファンベルトの滑り具合をチェックするときやエンジンの回転速度を測定することができます。
また高速搬送機のような、一定の周期で高速往復運動を行うものを停止やスローモーションのように見せて観察し、不都合や修理箇所がないかどうかをチェックすることも可能です。
このストロボ効果を利用すると、水が下から上に流れるという私たちの認識から反した神秘的な動きを見せる噴水を作るなど、アミューズメント施設などのエンターテイメントとして活用することもできます。
不思議な感覚を与えてくれる「ストロボ効果」。あらためて実感したい方は、車のテレビCMなどで、ホイールの回転に注目してみましょう。
ストロボスコープは、閃光時間がおよそ1/20,000~1/100,000秒間というとても短い光を、1秒間に1,000回程度まで繰り返し発光させることができる装置です。発光させる周期は自由に設定できます。
このストロボスコープの発光周期と動いている物体の運動周期が一致したときは、物体が静止した状態に見え、それぞれの周期をずらすと動いているように見えます。
この性質を利用すると、モーターやファンなどの回転数を計測することができたり、自動車関係だと、ファンベルトの滑り具合をチェックするときやエンジンの回転速度を測定することができます。
また高速搬送機のような、一定の周期で高速往復運動を行うものを停止やスローモーションのように見せて観察し、不都合や修理箇所がないかどうかをチェックすることも可能です。
このストロボ効果を利用すると、水が下から上に流れるという私たちの認識から反した神秘的な動きを見せる噴水を作るなど、アミューズメント施設などのエンターテイメントとして活用することもできます。
不思議な感覚を与えてくれる「ストロボ効果」。あらためて実感したい方は、車のテレビCMなどで、ホイールの回転に注目してみましょう。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。