タイヤ溝のデザインはどうやって決めている?トレッドパターンの役割や種類を解説

タイヤ トレッド

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黒くて丸くて、一見どれも同じように見えるタイヤ。ですが、溝のデザインはそれぞれ異なり、その種類は無数に存在します。今回は、タイヤ溝のデザインがどのように決められているのか紹介します。

文・吉川賢一
Chapter
トレッドパターンの役割
トレッドパターンは、どうやって決まるの?
トレッドパターンの基本は4種類

トレッドパターンの役割

タイヤの溝のデザインを、トレッドパターンといいます。このトレッドパターンは、操縦安定性や制動加速性能、静粛性、排水性、燃費など、様々な性能に影響を及ぼします。

そのためタイヤメーカーには、膨大なノウハウが蓄積されているとともに、日夜研究が行われ、常に進化しています。

タイヤは、クルマの性能を支える重要な部品の一つですから、性能をしっかりと発揮することが求められます。また、それをブランドとして伝える外観、すなわち見た目も大事なポイントであり、各タイヤメーカーは、かなりこだわってトレッドパターンを決めています。

トレッドパターンは、どうやって決まるの?

はじめに、商品のコンセプト、ターゲットユーザー、目標性能を踏まえて、デザインコンセプトを決定します。

ここでは、どのような技術課題があり、それをタイヤの構造、ゴムの配合、トレッドパターン等で、どのように解決していくかを、技術部門と見極めることから始まります。

次に、デザインコンセプトを元に2Dデザイン案を50~100ほど作ります。この時点で相当な数のボツ案が出ます。さらに、3Dデザイン案を10~20ほど提案した後、モックアップという実物に似せた模型を1~5案ほど作成します。

この絞り込みの段階で、シミュレーションにより目標性能を達成しうる仕様にベースを仕上げます。

そのうえでデザイナーが、商品の魅力を表現する外観に仕上げます。そして、さまざまな部門のメンバーが集まる、パターンデザイン選考会議を経て、デザインが決定します。

デザイン決定後も、開発グループでの材料や構造の検討など、新商品誕生まではまだまだ時間が掛かります。

トレッドパターンの基本は4種類

トレッドパターンは、リブパターン、ラグパターン、リブラグパターン、ブロックパターンの4種類に分別されます。それぞれ、目的と用途が異なります。

①【リブパターン】
リブパターンとは、直線またはジグザグのタテ溝をもつトレッドパターンのことです。操縦安定性や直進性が高く、排水性がよく、横滑りに強いという特徴があります。転がり抵抗も低い傾向で、燃費も良くなります。一般的なサマータイヤが、この「リブパターン」にあたります。

②【ラグパターン】
駆動力や制動力を優先したものが、ヨコ溝のラグパターンです。ブロックの強度が高く、耐カット性にも優れており、丈夫で強いパターンです。ダンプカーやトラックで使われています。

③【リブラグパターン】
リブパターンとラグパターンの両方を併せ持つトレッドパターンです。普通の道でも悪路でも対応できる、優れた性能を持っています。トラックやバスのタイヤに良く使われています。

④【ブロックパターン】
雪道や、ぬかるんだ泥ねい地などの悪路でも、駆動力・制動力に優れているのがブロックパターンです。スタッドレスやスノータイヤ、オフロードタイヤに多く採用されています。


トラックやダンプカーについているような大きなタイヤから、バイクの小さなタイヤまで、トレッドパターンは、性能だけでなく見栄えも考慮して作られており、知れば知るほど奥が深い項目です。

ぜひ、ご自身のクルマのタイヤのトレッドパターンも、気にしてみてはいかがでしょうか。

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