「ABS」の構造・役割を解説!しっかりブレーキ踏んで危険回避

ブレーキペダル

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ブレーキの制動距離を縮めてくれるABS。これまでにお世話になったことがある方は、そのありがたみを身に染みて感じているのではないでしょうか。ABSは緊急時に乗員の命を救ってくれることになるかも知れない、大切な機能です。今回はABSの役割、構造について見ていきます。

文・吉川賢一
Chapter
ABSの役割とは?
ABSの構造とは?
ABSの原理はあの「ポンピングブレーキ」

ABSの役割とは?

ABSとは「Anti-lock Braking System」の頭文字を取った名称です。

通常、ABSの無い車では、ブレーキを思い切り掛けるとタイヤがロックしてしまいます。タイヤがロックした車は、停止距離が長くなり、ハンドルを切っても曲がらなくなります。特に濡れた路面や、凍結した道路などでは、車が横滑りやスピンなどを起こしやすくなり、大変危険です。

タイヤがロックする前にドライバーがブレーキを緩めればよいのですが、足先の感覚でそれを行うのは非常に高度な技術が必要です。ABSは、ドライバーの代わりに、タイヤがロックをしないようブレーキをコントロールするシステムです。

ABSの構造とは?

ABSには、タイヤの回転を検知するセンサーと、ブレーキ液圧をコントロールする装置が装着されています。ABSはタイヤの回転数がゼロにならないよう、その直前でブレーキを少し緩める動作を強制的に行っています。

ブレーキを緩めることで、スリップが減り、車はタイヤのグリップが回復する方向に変化します。じつは、最大の制動力を得るためには、タイヤの接地面が発生する摩擦力を最大限大きくする必要があります。その際、以下の式で表すタイヤのスリップ率をみています。

タイヤのスリップ率=(車体速度―車輪速度)÷車体速度×100

上記の式が0%の場合、車体と車輪の速度は同じで、タイヤは路面を転がっている状態です。逆にスリップ率が100%になれば、タイヤは完全にロックした状態です。

乗用車用の一般的なタイヤの場合、スリップ率10%~20%あたりで最大摩擦力を得られ、それ以上はなだらかに摩擦力が低下していく特性を持っています。ABSは可能な限り、この最大摩擦力を得られるよう、ブレーキ制御を行います。

ABSの原理はあの「ポンピングブレーキ」

自動車教習所で習った「ポンピングブレーキ」を覚えているでしょうか?これは、タイヤがロックしないよう、ブレーキペダルを速く小刻みに踏む操作です。ABSは、その操作を運転手に代わってブレーキのシリンダーが行ってくれるものなのです。

ABSを作動させるには、特別な操作は必要ありません。ドライバーはブレーキを目いっぱい踏むだけ。ABSが作動すれば、ゴリゴリという音とともに振動が発生します。

さらに最近の車種では、ABSとTCS(トラクションコントロールシステム(走行中の車両の姿勢を制御するシステム)を組み合わせて、スタビリティーコントロールシステム(横滑り防止システム)を構成しています。また、衝突を回避するブレーキアシストとも連動し、安全性を向上させています。

ABSは、ブレーキングや緊急回避をサポートするという役割を担っています。特に雨の多いシーズンや路面が凍結しやすい冬などは、ABSが作動する頻度も高くなります。できれば、安全な場所で一度体験してみるとよいでしょう。

しかし、ABSはあくまでも緊急時の装置なので、普段はABSに頼らない、しっかりとした技術を身に付けましょう。

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