【レールマン・内田 茂】相棒は60年代のドラッグレーサー

草レースとして自然発生、1950年代に競技団体“NHRA”が発足してレースイベントに昇華。規則の範囲内でチューニング、製作したマシンを使用し、停止状態から1/4マイル(約400m)を走ってタイム=速さを競う。ドラッグレースは今もアメリカでポピュラーなモータースポーツとして親しまれている。このレースに魅せられ、入手した60年代のダッジ・コロネットをドラッグマシンに近づけてレースに参加、カーショーにも出展。そんな素敵なカーライフを送るレールマン、内田茂さんのガレージにお邪魔してお話を聞いた。
徹底したレストアとモディファイで生まれ変わった一台
平日の顔はレールマン、すなわち鉄道会社の職員。現在首都圏の駅に勤務、日夜私たちの生活を支えてくれているエッセンシャルワーカーである。そんな内田さんの休日はクルマ一筋だ。
「若い頃からクルマ好き、運転好きで、以前は仕事でもトラックやダンプカーの運転をしていました。プライベートではダットサンの620ピックアップ、トヨタ・スターレットKP61、トヨタ・カローラレビンTE27などを乗り継ぎ、ダッジ・コロネットの前は426HEMIエンジン搭載の1971年型のダッジ・チャレンジャーを所有していました。」
2003年に入手したというコロネットは1965年型。当時クライスラーがドラッグレース用に販売していたHEMIエンジン搭載のA990モデルを意識してモディファイを行ったという、ワン&オンリーな一台だ。
「実は手に入れたベース車はあちこち錆びて床に穴が空いている、傷みの激しい状態でした。そのボディを一度バラバラに分解して、サンドブラストをかけ錆を完全に除去。穴が空いた箇所はすべて鉄板を当て溶接で補修。レストアが完了した後に再び錆が出てこないように徹底的に仕上げました。」
手間を惜しまずに仕上げたボディは、内田さんの好みで鮮やかな赤にペイント、インテリアもダッシュボードやシートに至るまで真っ赤に仕立て直された。フロントにはGasser Wheelと呼ばれる4.5Jのナローなマグネシウム・ホイールにBFグッドリッチのバイアスタイヤを、リアはリーフスプリングを車体中央寄りに移設した上でインナーフェンダーを加工、10Jの極太なホイールをセット。スチール製だったバンパーはシルバーに塗られたファイバー製に交換。ボンネッドには520キュービックインチ、約8,000ccのクライスラー製V8エンジンに十分な空気を送り込めるよう、大きなエアインテークを追加。4灯だったヘッドライトを丸目2灯にモディファイ、コラムシフトはe-bayで手に入れたウインターズ製のレーシングシフターに換装するなど、こだわりポイント多数。その甲斐あって、大きくて地味な2ドアセダンは凄みをたたえたモンスターのごとき迫力を手に入れている。
ハンドルグリップやコラムまで真っ赤な華のあるインテリアだが、フロアにはゴツい形状のレーシングシフターがセットされ、ボンネットには巨大なエアインテークを装着。極端に細いフロントタイヤ、ハイトが高く極太のリアタイヤなど、随所にタダモノではない雰囲気が漂う。展示用のショーボードはムーンアイズのピンストライパー“Wildman石井”の手によるもの。
モンスターの棲み家
都内某所にある内田さんのご自宅には2台分のビルトインガレージがあり、その片方がコロネットの棲み家だ。クルマだけでなくキャビネットやスチール製の看板など、収められている多くのアイテムも貴重なアメリカン・ヴィンテージ。
ガレージの壁面にセットされた大きな窓ガラスからも見える内田さんのホビールームに足を踏み入れると、そこにはドラッグレースにまつわるたくさんのミニカー、プラモデル、雑貨、書籍やポスターなど、レアでマニアックなコレクションが詰め込まれていた。
「e-bayなどネットオークション、おもちゃショーやイベントで手に入れたり、友人からプレゼントされたアイテムもあります。いまだに増え続けているので整理が追いつかず大変なのです。」と言うが、その顔はとても楽しそうだ。
コロネットの棲み家にはヴィンテージなガレージアイテムも多数。壁のガラス窓越しに見えるのは、内田さんの大切なコレクションが収まるプライベートルームだ。
おびただしい量のドラッグレースやアメリカ車にまつわるコレクションが詰め込まれたプライベートルームも圧巻。整理が追いつかないというが、その雰囲気はビンテージ雑貨を扱うショップのよう。ワクワクする空間だ。
キレイなクルマはカッコいい!
コロネットの他にもプリマス・アロー仕様にカスタムした1975年型、三菱ランサーセレステ(現在レストア中)、スバルR1、そして日常のアシとしてライトカスタムしたトヨタ・200系ハイエースと、複数の愛車を所有する内田さんは、出かける前に必ず洗車するというキレイ好き。忙しい時のカーケアにはシュアラスターのゼロフィニッシュも使っているという。
「クルマはキレイじゃないとイヤなのです。もちろん時間があるときにはワックスがけもしています。シュアラスターの固形ワックスは、若い頃から愛用していました。クルマ好きの仲間から評判を聞いて使い始めたと記憶しています。以来、これまでに何回洗車してワックスをかけてきたのかわからないぐらい、カーケアするのが好きです。ワックスがけは楽しいし、キレイになると愛車が一層カッコよく見えるじゃないですか。」
シュアラスターの固形ワックス『マスターワークス』を手に、愛車を磨く内田さん。「彩度が高くソリッドな赤は磨き甲斐があります。昔はスポンジに水分を含ませてからワックスをかけることを知らなくて、拭き取りが大変だと思っていました。水を使って薄くのばしてやれば簡単に拭き取れるし、ワックスの無駄遣いもないですよね。」そう言いながら、慣れた手つきでワックスがけ、シュアラスターの『拭き取りクロス』でワックスを拭き上げ『鏡面仕上げクロス』で丁寧にフィニッシュ。赤いボディの艶に深みが増してゆく。
GO with MOON, GO with CORONET!
コロネットにワックスをかけ終えた内田さんは、筆者をショートドライブに誘ってくれた。迫力あるエグゾーストノートをバックグラウンドミュージックにしながら、つい最近ムーンアイズによって開催された『横浜ホットロッドカスタムショー2022』でのエピソードも披露してくれた。
「僕をムーンアイズのスタッフだと思い込んでいる人が少なからず存在するほど、長い間ムーンアイズのイベントのお手伝いをしています。そんなご縁があって、愛車のカスタムやパーツの入手などでも、ムーンアイズとそこに集まる皆さんに大変お世話になっています。先日のホットロッドカスタムショーでは、スタッフとしてはもちろん、会場内をデモンストレーション走行する『ライドインショー』に参加する機会も頂きました。コロナの影響で、ライドインショーを走行する予定だった海外のショーバイクが届かないというアクシデントがあって声をかけていただいたのです。正直なところ少々気後れしましたが、ムーンアイズ代表のシゲ菅沼さんはじめみんな私とコロネットのことをずっと気にかけてくれていたし、とても名誉あることだと思い走ることにしました。手塩にかけピカピカに磨き上げた愛車をたくさんの来場者に見ていただけたことは、素晴らしい経験でした。」
「ナンバーを切っていた時期もあったのですが、再取得した今はもっと乗ってやりたいと思っています。レースカーのクローンとして仕上げたクルマですが、もうちょっと普段乗りしやすいように手を入れるつもりです。以前は頻繁に走っていたドラッグレースにも、いずれまた参加たいと考えています。大切な愛車ですが、クルマは飾っておくものではなく乗って楽しむもの。この先もずっとコロネットに乗りつづけていきたいですね。」そう言いながら、内田さんは愛おしそうに真っ赤に光り輝くボディを撫でた。
「気温が低い冬場は特に調子がいいのです!」と言いながら楽しそうにコロネットをドライブする内田さん。
2022年のホットロッドカスタムショーで、ライドインショーを走る内田さんとコロネットの勇姿。ムーンアイズのイベントには毎回スタッフとして参加、今やベテランとして重責を担っている。イベント後にプレゼントされるスタッフの集合写真も内田さんの宝物だ。
プライベートルームでコレクションに囲まれながらお話を聞かせてくれた内田さん。
取材協力:内田 茂
photo&text: Gao Nishikawa
記事で紹介したアイテム
SurLuster(シュアラスター)
マスターワークス カーワックス
マスターワークス カーワックス
4,400円〜(税込)
シュアラスターワックスの中でも最高峰の『マスターワークス カーワックス』
マスターワークスシリーズは、シュアラスター製品の中でも一切の妥協をせず可能な限り品質を高めたシリーズ。施工性に優れ、コスメティックグレードのカルナバ蝋を使いカーオーナーを魅了いたします。
- 品番
- SL-005
- サイズ
- 12.4x12.4x7cm;99 g
- 重量
- 99 g
【SurLuster Garage Talk with Car Lovers】これまでの記事
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