NAエンジン車に大径マフラーを付けると遅くなるというのは本当?

PS13

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NAでもターボでも、チューニングと言えば、ホイール/タイヤの交換と並んで多いのが、マフラーの交換です。マフラー交換による排気音の変化の「楽しさ」というのもありますが、エンジンの排気を担う部品ですので、性能的な変化も大きいものです。

NAでマフラーだけ変えると、抜けが良すぎてトルクが細くなって遅くなる…という話を聞いたことはありませんか?その真相を見ていきましょう。
Chapter
マフラーを変えるということ
さて、トルクの増大にもなるのか?
安易なマフラー交換は加速を鈍くする
抜けが良すぎて低速トルクスカスカは、半分間違い

マフラーを変えるということ

マフラーを変える=マフラーの径を大きくする、というケースがほとんどです。中には見た目上の変化や、音量の増大のみにフォーカスし、あまり径を変更しないものもありますが、多くの場合はマフラー径の拡大も含めて変更します。

マフラーの径が太くなる=排出できる排気ガスの量が増えるので、排気の流れはスムーズに、そして高回転時の詰まりがなくなり、パワーが出る、ということが、マフラー交換の意義でもあります。

これは、ターボもNAも同様です。回転数が上がる=排気ガスが増えるという事ですので、高回転時はより多くの排気ガスが排出されます。この排気ガスが順調に外に排出させることはパワーアップの基本とも言えます。

さて、トルクの増大にもなるのか?

マフラー交換によって、エンジンの性能は上がったわけなので、当然ですがパワーが上がると考えるのが普通です。そして、パワーが上がる=トルクも向上する、と考えたいところ。トルクとパワーの相関関係については、今回詳しく触れませんが、低回転域のトルクと、高回転域のパワー(馬力)と考えて問題ありません。

基本的に、加速に必要なトルクと、最高速に必要な馬力。トルクもパワーも、増大させるためにはよりスムーズなエンジンの動作=燃焼が必要です。そして、混合気を爆発させ、燃焼させるためには酸素が必要となります。

また、ご存知の通り二酸化炭素があると火は燃えません。燃焼した酸素は二酸化炭素になることから、排気ガスには二酸化炭素が多く含まれます。そのため、点火後のシリンダーからいち早く二酸化炭素を排出する事こそが、よりトルクとパワーを増大させるために必要な工程です。

安易なマフラー交換は加速を鈍くする

これは、NAに限ったことでもありません。マフラーの径を大きくする=排気ガスがスムーズに流れる、と考えたくなりますが、必ずしもそうではありません。気体の場合は液体と異なり、流れが一定とは限りません。マフラー内ではシリンダーからまっすぐに排出されるものではなく、何度ものカーブを経て排出されるものなのです。カーブした部分でぶつかった排気は、時としてちょっとした乱気流をマフラーの中で作り上げます。

このちょっとした乱気流をものともせずに外に押し出すだけの排気圧があればよいのですが、それはあくまで高回転域の話。低回転域では乱れた気流に邪魔されてしまい、排気効率が“悪くなる”こともあり得ます。こうなると、排気ガスがきちんと外に出ていかないため、低速トルクが却って細くなる事にもなりえます。

抜けが良すぎて低速トルクスカスカは、半分間違い

「抜けが良すぎて」ではなく、径が大きくなってむしろ抜けが悪くなり、トルクが細ってしまうのです。

また他にも、似たようなチューニングの事例があります。例えばエアクリーナーを交換する、というもの。エアクリーナーを交換して吸気量が増大する分、燃料を噴射する量も増えます。燃料の濃さは、濃すぎればレスポンスが悪く、薄すぎればブローにつながりますので、単にエアクリーナーを変えればエンジンの性能が上がる、というものでもないのです。

一方でマフラーを交換したら、乱気流を発生させにくいような排気圧を確保する必要がありますので、エアクリーナーの交換を行い吸気量を上げたり、ECUを制御して燃焼タイミングに手を加えたりする必要があります。
このように、チューニングパーツは何か一つを交換したら性能が向上する。というものではないことがわかります。一つ部品を変えれば、それにかかわる部品を次から次へと変更していかなければ、トータルでの性は得られません。

車の性能は絶妙なバランスの上に成り立っていると言えます。最近では、安価なチューニングパーツが簡単に手に入るようになりましたが、ノーマル状態はメーカーが様々なテストをした上で世に出しているバランスのとれたもの。チューニングにおいてはどこか一つだけ変えてどうにかなるものではなく、バランスを考慮する必要があると言えるでしょう。
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