バンパーを外して走行すると違反?破損時の応急処置と車検の注意【2025年最新】

事故車
バンパーが外れた状態で公道を走っている車を目にしたことがありませんか?見た目的にも危険そうですが、そのまま走行するのは法的に問題ないのでしょうか。そして、バンパーが破損してしまった場合、どんな応急処置をすればいいのでしょうか?本記事では、最新の2025年情報に基づき、一般ドライバーが知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
Chapter
バンパーの役割と設計思想の変化
バンパーなしでの走行が違法かつ危険な理由
バンパー破損時の正しい対処法
対処法1:ツメにはめ直す際の注意点
対処法2:テープによる固定の大きな誤解と正しい選択
対処法3:結束バンドによる固定がもたらす深刻な問題
応急処置の前に知るべき最重要事項
結論:最も安全で確実な対処法

バンパーの役割と設計思想の変化

自動車のバンパーは、かつて金属製が主流で、その名の通り低速衝突時に自車の車体を保護することが主な目的でした。しかし、この設計は歩行者と衝突した際に大きな傷害を与えるという重大な欠点がありました。

そのため現代のバンパー設計は、「自車の保護」から「歩行者など交通弱者の保護」へと目的を大きく転換しています。この目的を達成するため、素材は柔軟で衝撃吸収能力に優れた樹脂製が主流となりました。現在のバンパーは、外側の樹脂製カバー、内部の衝撃吸収材(エネルギーアブソーバー)、そして車体に結合される金属製の補強材(レインフォースメント)といった多層構造になっています。これにより、衝突エネルギーを効果的に吸収し、特に歩行者の脚部へのダメージを最小限に抑えるよう意図的に設計されているのです。
 
損傷した場合の対応は、その程度によって大きく異なります。「一度破損すると交換」と一概には言えず、擦り傷や小さな凹みといった軽微な損傷の場合は、修理で対応するのが一般的です。一方で、大きな亀裂や内部構造にまでおよぶ深刻な損傷の場合は、安全性を確保するために交換が必要となります。近年では、自動ブレーキ用のセンサーが内蔵されていることも多く、修理のためにバンパーを脱着した際はセンサーの校正作業(エーミング)が必須となるため、その費用も考慮して修理か交換かを総合的に判断する必要があります。

 
いずれにせよ、破損したバンパーは本来の安全性能を発揮できないため、そのままの状態で走行し続けることはできません。

バンパーなしでの走行が違法かつ危険な理由

バンパーを装着せずに公道を走行することは、法律違反であり極めて危険です。バンパーがないと、内部の金属フレームやボルトといった保安基準で禁止されている鋭利な突起物がむき出しの状態になります。この状態で歩行者と接触すれば、深刻な傷害を与える凶器となり得るため、車検に通らないだけでなく「整備不良」として交通違反の対象となります。これは事故で外れた場合も、意図的に外した場合も同様です。
 
また、破損したバンパーを放置して走行を続けると、走行中の振動や風圧で部品が脱落する危険があります。脱落した部品を後続車が避けようとして多重事故を誘発したり、歩行者に衝突したりするなど、周囲を巻き込む重大な二次被害につながる恐れがあります。  

さらに、現代の多くの車はバンパーに自動ブレーキなどの先進安全運転支援システム(ADAS)のセンサーを内蔵しています。バンパーの損傷や欠損は、単に「安全装置が機能しなくなる」というレベルの問題ではありません。センサーの位置がわずかにずれるだけで、システムが積極的に誤作動を起こすという、より致命的なリスクを生み出します。具体的には、目の前の障害物を検知できずに衝突(偽陰性)したり、何もない場所で突然急ブレーキがかかる「ゴーストブレーキ」(偽陽性)といった、新たな危険を自ら生み出す可能性があるのです。これは安全装置が凶器に変わりうることを意味し、極めて危険です。

バンパー破損時の正しい対処法

自動車のバンパーが破損した際、慌てて不適切な応急処置を行うと、かえって車両を傷めたり、走行中に部品が脱落して後続車を巻き込む重大な事故を引き起こしたりする危険性があります。また、法律に違反してしまう可能性も少なくありません。ここでは、巷でよく聞く対処法を挙げ、それが有効なのかを解説します。

対処法1:ツメにはめ直す際の注意点

バンパーはプラスチック製のクリップやツメで車体に固定されています。そのため、ごく軽微な接触で部分的に外れただけで、バンパー本体や固定部品に全く損傷がない稀なケースでは、押し込むことで一時的に元に戻せる場合があります。  

しかし、この方法は極めて限定的な状況でしか通用しません。バンパーが外れるほどの衝撃を受けた場合、目に見えない部分でクリップが折れていたり、受け側の車体部品が変形していたりすることがほとんどです。見た目上はまったように感じても、固定強度が著しく低下しているため、走行中の振動や風圧で突然バンパーが脱落する危険性が非常に高いです。  

 
安易に「直った」と判断して走行を続けるのは絶対に避けてください

対処法2:テープによる固定の大きな誤解と正しい選択

【危険】養生テープは絶対に使用しない

養生テープは、塗装作業などの際に周囲を保護(養生)するためのもので、粘着剤が残らないように意図的に粘着力が弱く設計されています。耐候性や耐水性も低いため、走行中の振動、風圧、雨などの過酷な環境下ではすぐに剥がれてしまい、バンパーを固定する力は皆無に等しいです。
 

【非推奨】ガムテープ(布テープ)のリスク

ガムテープは養生テープよりは粘着力がありますが、長期間貼ると強力な粘着剤が塗装面に固着し、剥がす際に塗装を傷める可能性があります。これもあくまで緊急避難的な手段であり、推奨はできません。  


【やむを得ない場合の選択肢】

どうしても修理工場まで自走する必要があるなど、やむを得ない状況でテープを使用する場合は、屋外での使用を想定した高耐候性の強力防水テープなどを選びましょう。その際も、接着面の汚れや油分を完全に除去し、バンパーと車体をまたぐように複数枚をしっかりと貼り付ける必要があります。ただし、これも一時しのぎであり、安全が保証されるものではありません。

対処法3:結束バンドによる固定がもたらす深刻な問題

結束バンドによる固定は、テープより強固に見えますが、一般車両の応急処置としては絶対に行うべきではありません。 なぜなら、以下の深刻な問題を引き起こすからです。


・車体へのダメージ

固定のためには、多くの場合ドリルでバンパーと車体に穴を開ける必要があります。この行為は車体の防錆塗装を破壊し、将来的に深刻な錆や腐食の原因となります。


・新たな法規違反の創出

結束バンドの余りを切断した断面は、非常に鋭利な突起物となります。これは、歩行者保護の観点から道路運送車両の保安基準で厳しく規制されている「外部突起物」に該当する可能性が極めて高く、違法状態となります。当然、この状態では車検にも通りません。

応急処置の前に知るべき最重要事項

安易な応急処置で走行を続けることには、以下のような重大なリスクが伴います。


・法的なリスク

破損した状態で走行すると「整備不良」と見なされ、交通違反として検挙される可能性があります。また、前述の「外部突起物規制」に違反している場合も同様です。

 
・二次災害のリスク

不完全な固定で走行中にバンパーが脱落すれば、後続車が乗り上げたり、避けようとしてスピンしたりするなど、周囲を巻き込む大事故の原因となります。


・先進運転支援システム(ADAS)への影響

先ほど述べたように近年の車は、バンパー内部に自動ブレーキなどのためのセンサーが内蔵されています。バンパーの位置がわずかにズレるだけでシステムが誤作動を起こし、予期せぬ急ブレーキや、逆に危険を検知できないといった致命的な不具合につながる恐れがあります。修理後は専門家によるセンサーの校正作業(エーミング)が必須です。

結論:最も安全で確実な対処法

バンパーが破損した際に取るべき最も安全な行動は、安易な自己判断で応急処置をして走行を続けることではありません


・安全な場所に停車する

ハザードランプを点灯させ、後続車に注意を促しながら、路肩や駐車場などの安全な場所に車を移動させます。


・専門家に連絡する

破損の程度にかかわらず、JAFや加入している自動車保険のロードサービスに連絡し、レッカー車を手配してもらうのが最も安全で確実な方法です。  

 
・速やかに修理を依頼する

レッカーで車両をディーラーや信頼できる板金塗装工場へ運び、専門家による適切な修理を受けてください。  

 
車は、あなた自身と他人の命を乗せて走る乗り物です。万が一のトラブルの際には、安全を最優先した行動を心がけましょう。
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